Category Archives: かすが幼稚園

第10回 「失敗」か「成長の過程」か

「ガラスを砕くのも、鋼(はがね)を鍛えるのも、同じハンマーだ」

 私は、今言うと、幼稚園の職員にも「うそー!」といわれるのですが、園長に就任したころは、3分間、話をするだけで、前の日から原稿を書き、それを覚えて、また当日の朝早くおきて、散歩をしながら覚えた原稿を繰り返し暗唱したものです。

 今は、「園長の話、長いなぁ」とみなさん、心の中で思っていらっしゃるでしょうが…。とはいえ、今でもその場で急に「なにかしゃべれ」といわれるとあわててしまうほど、人前で話をするのは好きではありません。ほんと、です。

 ただ、園長になったとき、「大勢の前で堂々と話ができるようになりたい」という目標を立て、そして、話をする機会をできるだけ多く持ったり、頼まれたら断らないと決めたりしました。そして、自分が話をしているところをビデオにおさめ、あとで見て(これが苦痛でした)悪かったところを反省し、チェックしました。そうして練習を重ね、うまいへたは別にして、だんだんと話せるようになってきたのです。

 最初からいきなり自転車に乗れる人はいません。転びながら次第にうまく乗れるようになるものです。

冒頭の言葉はロシアの古いことわざだそうですが、私の好きな言葉の一つです。

 みなさん自身も子どもたちも、失敗することもたくさんあるでしょう。叱られたりすることもあるでしょうが、失敗を成長の過程ととるか、単なる失敗に終わらせるか。これはその人の考え方、とらえ方によります。

子どもたちが失敗したときは励ましてあげてください。そして是非、できたところまでを認めて、ほめてあげてください。

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幼稚園ねっとにご登録いただいている幼稚園コラムです。 各幼稚園のコラムを順次ピックアップして紹介していきます。

かすが幼稚園 理事長・園長 米川安宜
京都市右京区の私立園。園長は同志社大学法学部卒業後、國學院大學で神道学、佛教大学で幼児教育を学ぶ。キリスト教、神道、仏教と三つの宗教の大学で学んだ特異な経験をもつ。「子どもは大人よりも能力が高い」という目で子どもと関わり、子どもの脳の発達にあった教育と、積極的な心構えを育てる新しい幼児教育を行っている。また、「幼児期こそ、しつけの最適期」として、しつけ・礼儀、道徳教育も重視している。 (http://www.kasuga.ed.jp/)

第9回 子育てにマニュアルはあるのでしょうか?

 子育てに、果たして確かな「マニュアル」は、あるのでしょうか?
 さまざまな育児雑誌や子育てに関する本があります。その中で主張されているものは、それこそ千差万別、種々さまざまです。
 ある本には「叱って育てなさい」と書いてあるし、ある本には「できるだけほめなさい」と書いてある。これでは子育てに「正しい方法などない」と思われても当然です。

 あるときすばらしい実践をされている教育者の方の講演で、こんな言葉を聞きました。

「悪いことをした中学生の息子に『おまえなんか、このうちを出て行け!』と父親が言ったとします。そのとき、ある子は、親父はこれほど真剣におれのことを考えてくれているのかと『お父さん、ごめん』というかもしれません。また『そしたら出て行ってやる!』と本当に出て行ってしまう子もいるでしょう。このように、教育に『こうすれば正しい』というものは、ないのです」

 たしかに、その通りです。具体的な場面になると、その子の性格や環境、そのほかさまざまな状況によって叱り方でも違ってくるでしょう。

 川上元巨人軍監督が、「長島を叱るときは、みんなの前で、大声で叱った。しかし、王を叱るときは、二人きりのときに、説いて聞かせるようにした」と話されていました。長島さんと王さんの性格の違いで叱り方を変えていた、というわけです。

 では、子育ての基本原則のようなものがまったくないのか、というとそうは思いません。

 私は、園で行っている「生活の四大原則」は、しつけの大原則、そして、子どもの小さな達成を「ほめ、励まし、認める」言葉がけ、これだけは普遍のものだと考えているのです。

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第8回 砂場を「無菌状態」にする?

 最近、幼稚園に、次のようなDMがたびたび届き、営業にも来られます。それは、「砂場には大腸菌などの雑菌がいっぱいなのをご存知ですか?」などのうたい文句で、砂場を「抗菌」する薬品の販売や、消毒処理をする、というようなものです。

 DMならシュレッダー行きですし、営業にこられたら、私は「いりません。やりません」と答えています。

 なぜ?と思われるかも、ですが、砂場どころか、幼稚園は「雑菌だらけ」だからです。驚かないでくださいね。実は、ご家庭、お店、デパート、電車、バス、はたまた空気中、世の中にはもともと雑菌がいっぱい、なのです。

 最近、抗菌グッズ、がはやっていますが、こんなものは実はぜんぜん役に立たっていない。意味がほとんどない、と言ってもいいと思います。

 もし、仮に、「無菌」の状態で、生れたときからお子様を育てたとしたら、例えば、6歳になって、突然雑菌だらけの世の中に出たら、とたんにいろんな病気にかかってしまいかねません。

 子どもは、もちろん私たちもですが、幼い頃から大腸菌などの雑菌によっておなかをこわしたりしながら、だんだんと抵抗力を身につけていくものなのです。完全な無菌状態での生活、というのは身の回りを抗菌グッズでかためても不可能です。

 電車のつり革より、トイレの便座のほうが、菌が少なかった、という実験報告を聞いたこともあるくらいです。

 砂場に犬猫の糞がある、のは論外ですが、おなかを壊すこともあるかもしれないけれども、大腸菌などをわざわざ殺し、無菌状態にするほうがおかしい、そう私は考えているのです。

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第7回 過激なゲームは絶対禁物です!

 昨年は地震や台風などの自然災害の多い年でした。そして幼い少年少女の、考えられないような残虐な事件も数多く起きた一年でした。

 そういう事件の報道を見ていて、あるひとつの特徴があることに私は注目しています。それは、人を殺した後の、その加害者である少年少女の「態度」です。「父母を殺した後、妹としばらく談笑していた」「取調べのとき、淡々としている」といった報道を見聞きされていることと思います。

 もし、私が、まかり間違って人をあやめてしまったとしたら、それこそどこかに隠れて布団にでもくるまって、ブルブル震えていることでしょう。なのに、その子どもたちは、「淡々と」しているのです。なぜでしょうか?

 以前、「殺人ゲームの影響」という題で、殺人や格闘の過激なゲームの悪影響について書いたことがあります。すっぱいレモンを想像しただけでつばが出てくる。これはイメージによって、脳が間違った信号を送るわかりやすい例です。

 大変精密にできている人間の脳ですが、このような「欠陥」がある。繰り返しインプットされた情報について、脳はイメージしたものと実際に体験したこととの区別ができないのです。

 では、殺人ゲームを何度も何度も繰り返した子どもの脳はどうなるでしょうか?もうおわかりですよね。そう、その子の脳は、無意識のレベルで実際の殺人とゲームとの区別がつかない状態になっているのです。だから淡々としていられるし、また簡単に人を殺すことができるわけです。

 だからこそ、特に脳の基礎ができる幼児期には過激で特にリアルなゲームは絶対避けていただきたい。ご家族がされているのを見るのも同じです。

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第6回 専業主婦、バンザイ!

 「女性の社会進出」、最近よく耳にすることばですね。女性が仕事を続けながら安心して子育てできる社会を作ろうということです。進歩的文化人といわれる人々が唱えるこのことば、ちょっと待ってという感じです。

ことばだけを聞いていると「そりゃそうだ」と思うのですが、よく考えるとおかしい。

 一体、「社会」とはどういう社会のことをいうのでしょうか。この「社会進出」と聞くと、まず頭に浮かぶのが、会社などでバリバリ仕事をしている姿、働いている女性像です。だとすると、家庭で子育てに専念しているいわゆる「専業主婦」は「社会に進出」していないのでしょうか。時代遅れの女性なのでしょうか。

 私は決してそうは思いません。というのも、「子育て」は他のどんな仕事より、生きがいとやりがいを与えてくれるすばらしい仕事だ、と考えているからです。

専業主婦もそれだけで立派に「社会に進出」していると思うのです。

 そして、あたかも専業主婦が社会に進出していないかのように錯覚させ、「私も仕事をしなければ」と思わせるような風潮は改めないと、と思っています。

 誤解のないように付け加えると、私は決して子育てと仕事を両立させている女性をダメだと言っているのではありません。だって、たとえば農業を営む家庭、それこそ昔からお父さんとお母さん、一緒に畑仕事に出かける。時には子どもを
背中におぶって、収穫したホウレンソウを洗う。

こういう家庭に「女性の社会進出」などというと、「何をいまさら」でしょう?

 一方気をつけておかなければならないのが、この「女性の社会進出」を助けるために福祉を充実させる結果、いわゆる「子育て放棄」を助長すること。

ほとんどのお母さんにはあてはまらないとは思うのですが、やはりこの危険性は知っておかなければならないと思います。
というのも、こんなことばを聞いたことがあるからです。

「世の中が、子どもを生め生め、っていうから生んだの。後はちゃんと行政が面倒みてくれなきゃ」

 これは違うと思うのです。こういう極端なことをいう人をたくさん生み出す社会であってはならない。
いつの世も「子育て」は何よりもすばらしい、自分をも育ててくれる仕事―もちろん両親にとって―であってほしいものです。

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第5回 「真剣」に、しかし「深刻」にならない 。

 いつも私が、子育てのキーワードとしてお願いしている、「お子様のことに対して、常に『真剣』に考えていただきたいのですが、決して『深刻』にならないで下さい」ということ。
 子どもたちは、時に「幼稚園、行きたくないー」と言ったり、「○○ちゃんが、いじめはる」と言ったりすることがあります。その原因はさまざまで、私たちの知りえないところにある場合もあります。

 例えば、こんなケースがありました。

「幼稚園、行きたくない」と言い出した、とのご相談をお母さんから受けました。いろいろお話しして、考えていったところ、こういう状況がその原因となっていたのです。

 実は、下の弟さんが、まだ1歳くらいで、風邪で数日熱を出し、その間、お母さんが弟さんにかまいっきりになっていらっしゃった。そこでお姉ちゃんは、「お母さんを独占されている」と感じ、「もっと私もかまってほしい」との気持ちから、「行きたくない」と駄々をこねていた、というわけです。もちろん数日でそれは解決しました。

 こんなとき、お母さんは、「幼稚園で、何かあったんやろうか。誰かにいじめられてるんやろうか」と、原因を外に求めがちになり、そして時に「深刻」に考えこんでしまわれることがあります。

 「いじめはる」と言う場合も、担任に聞いてみると、いわゆる「お互いさま」のことが多い。誤ってひじがあたったのが原因で、けんかになるケースなどが多いものです。そして、何日かすれば解決することがほとんどです。

 どうぞ、「真剣」には考えても、決して「深刻」にはならないで下さい。

これは子育ての上で、とても大切なポイントです。

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京都市右京区の私立園。園長は同志社大学法学部卒業後、國學院大學で神道学、佛教大学で幼児教育を学ぶ。キリスト教、神道、仏教と三つの宗教の大学で学んだ特異な経験をもつ。「子どもは大人よりも能力が高い」という目で子どもと関わり、子どもの脳の発達にあった教育と、積極的な心構えを育てる新しい幼児教育を行っている。また、「幼児期こそ、しつけの最適期」として、しつけ・礼儀、道徳教育も重視している。 (http://www.kasuga.ed.jp/)

第4回 物は考え様、ですね。

 今日、境内を掃除していると、頭に鳥のフンが落ちてきました。
一瞬ギョッとしましたが、「ウンがついたかな」とちょっと嬉しくも思いました。

 松下幸之助さんが、ある時、「成功の要因は?」と聞かれてこう答えられたそうです。

「成功の理由には三つある。ひとつ目は、父の商売がダメになり、私はどん底の貧乏を味わったからだ。二つ目には、私は小学校中退で働き、学歴がなかったからだ。三つ目に、私は体が弱かったからだ。これが、私がここまで会社を創業発展させることができた理由だ」

 上記の三つは、普通ならばどれも失敗の要因に挙げるものばかりです。
「私にも、もっと資産があったらなぁ」、「もっといい大学を出てれば出世できたのに」とか、「病気がちでなかったらもっと働けるのに」、よく聞く話です。

 ところがそれを松下さんは成功の要因だといわれる。
 理由を聞くと、
「どん底の貧乏だったから、お金のありがたみが痛いほどわかったし、一所懸命働く事ができた。もし貧乏でなかったら、中途半端にしか働かなかっただろう。また学歴がなかったから、どんな人のことばも先生のことばに聞こえた。もし、大学まで出ていたなら、人のことばに謙虚に耳を貸さなかっただろう。体が弱かったから、仕事を人に任せるほかなかった。もし、健康だったら何でも自分が、と思っていただろう。幸いなことに天は自分に貧乏、無学歴、病弱な体を与えてくれた」
 
 私たちはなかなかここまで達観できないかもしれません。しかし、やはり物は考え様。砂漠で水筒に水が半分。「もう半分しかない。ダメだ」か、「まだ半分ある、さあ歩こう」か、です。

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第2回 お母さん、お父さんの魔法のことば 「まかせるよ。思った通りやってごらん」  

 何をやらせても「どうやるの?」「やってやって」。
「こうしてごらん」といっても「できなーい」。
「どうしてうちの子はこんなに自信がないんだろう。
もっと自分で何でもできる子になってほしいな。」よくそんな声を耳にします。
「こうしなさい、ああしなさいといろいろと教えてあげているのに・・・」

 実はこの「こうしなさい、ああしなさい」と指示ばかりしていることや、子どもがすることに注意ばかりしていること自体が、反対に子どもの自発性が育つのを阻害したり、また自信を失わせてしまっていることが多いのです。

 自信をつける方法はまず「判断力をつけること」です。
判断力をつけるためには「自分で判断する機会をたくさんつくること」が大切です。

 そこでお母さん、お父さんの魔法のことばの登場です。
 「まかせるよ。思った通りやってごらん」

 このことばを子どもに何か手伝ってもらうときや何かに挑戦しようとしているとき、また「やって」「できない」と子どもがいってきたときに繰り返し使ってあげてください。

  ただし、結果については認め、ほめてあげることを決して忘れないでください。もし、結果が思わしくなくてもチャレンジしたことをまずほめ、それから注意する点をいってあげる。これを繰り返してください。

 園でこのことばを使い始めたとき、そのすばらしい効果には驚かされました。

 ご家庭でもこの「魔法のことば」を早速使ってあげてください。

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かすが幼稚園 理事長・園長 米川安宜
京都市右京区の私立園。園長は同志社大学法学部卒業後、國學院大學で神道学、佛教大学で幼児教育を学ぶ。キリスト教、神道、仏教と三つの宗教の大学で学んだ特異な経験をもつ。「子どもは大人よりも能力が高い」という目で子どもと関わり、子どもの脳の発達にあった教育と、積極的な心構えを育てる新しい幼児教育を行っている。また、「幼児期こそ、しつけの最適期」として、しつけ・礼儀、道徳教育も重視している。 (http://www.kasuga.ed.jp/)

第1回 抱きしめる、という会話

 私どもがいつも感じ、思うこと。それは保護者の方の力、特にお母さんの力の偉大さ、です。

 「子どもたちを見ているとご家庭の様子がわかります」と、私はよく皆様にお話しをします。そして「親の背中を見て子どもは育つ」と言い習わされてきましたが、ある面でそれは正しいなあ、と思わされます。

 お母さんの気持ちや愛情が「豊か」だと、お子様の気持ちも豊かです。しかし、どことなく余裕のない気持ちをお持ちだと、それも伝わってしまう、そんなことをよく感じます。

 数日前、「24歳母 乳児下腹部切る」「塾行かぬと小2長男絞殺」など、殺伐とした見出しが新聞紙面に躍っていました。なんとも胸が痛みます。前者の事件は「母親の幼児期の虐待体験から来る男性不信で発作的にやった」と記してありました。

 ここで思うのは、まず、やはり幼児期の「幼児体験」「原体験」といわれるものの影響の大きさです。「6歳までの体験は後の人生に大きな影響を与える。だからこそ、今を大切にして、褒め、励まし、認める子育てをしてください」、これもよくお話しすることです。

 次に思うことは、いくら自分が幼児期に虐待を受けていたとしても、それを抑えることがなぜできなかったのか、ということです。虐待まがいのひどいことを受けてきたすべての母親が、このような事件を起こすとは思えません。深い心の傷はあるけれど、だからこそ、自分の子どもに対しては深い愛情で接する、という子育てをされている方も多くいらっしゃるはずです。

 「抱きしめる、という会話」
今、新聞やテレビで公共広告機構がコマーシャルを流しています。

 簡単だけど、とても大切なことだと感じます。

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かすが幼稚園 理事長・園長 米川安宜
京都市右京区の私立園。園長は同志社大学法学部卒業後、國學院大學で神道学、佛教大学で幼児教育を学ぶ。キリスト教、神道、仏教と三つの宗教の大学で学んだ特異な経験をもつ。「子どもは大人よりも能力が高い」という目で子どもと関わり、子どもの脳の発達にあった教育と、積極的な心構えを育てる新しい幼児教育を行っている。また、「幼児期こそ、しつけの最適期」として、しつけ・礼儀、道徳教育も重視している。 (http://www.kasuga.ed.jp/)

第3回 子どもたちの『目』

ある保育園でのお話です。園児の父親の中に、三人、どうしようもない父親がいたそうです。
どんな風に「どうしようもなかった」のかは聞いていないのですが、とにかくどうしようもなかった。そしてその父親たちに、保育園も、ほかの保護者もとても手を焼いていたそうです。
 ところがその保育園の園長先生、年配のおばちゃん先生ですが、すごいパワーの、日本で三本の指にはいる(その人いわく)先生でした。

 園長先生は秘策を練りました。その秘策とはいわゆる「お泊り保育にその三人を参加させ、子どもたちの世話を一緒にさせる」というものでした。

「なんで俺たちが…」という顔と風貌で現れた当の三人。何十人という幼児の世話をあれこれ命じられ、いやいやながら動き始めました。

 ところが夜を迎える頃になると彼らの表情や態度に変化が出始めました。鋭かったまなざしに優しさが現れてきたのです。

 翌日、園児が帰るころには、三人の顔はすっかり柔和になり、「とてもいい経験をさせていただきました。ありがとうございました!」と口々に御礼をいって帰っていったそうです。そして、その後、すっかり「よい父親」になったそうです。

 「うっそー!」と思われるでしょうが、本当の話です。

 私も教諭の免許を取るために、幼稚園で実習をしたのですが、たくさんの幼児を前にしてまず感じたのは、「なんてキレイな目をしているんだろう」ということでした。それに比べて大人になった自分の、ある意味で汚れた目と感受性にショックを受けたことをはっきり覚えています。

 子どもに「教えてやっている」、だけでなく、純粋なその目から何かを感じてみてください。

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