Monthly Archives: 8月 2005

第8回 遊び方に見る、子どもの育ち~3歳まで~

子どもは、そこに同じ年頃の子どもがいれば、すぐに仲良くなって、一緒にごっこ遊びを始められるというものではありません。
体や言葉の発達と同様に、遊び方も、0歳の頃から、だんだん成長・発達してくるものです。

年齢はあくまでも目安ですが、「ままごと」を例にとって、遊び方に見られる、子どもの発達を追ってみたいと思います。

1歳近くなる頃から、大人の真似をする「見立て遊び」が始まります。大人が、ままごと道具のコップを持って、「ゴクゴク」と飲む振りをしてみせると、子どももコップを持って「ンクンク」と飲む振りをするようになります。
もし、食事の時に、空のコップを差し出したら、「入れてちょうだい!」と身振りで訴える子どもが、遊びの時はうれしそうに空のコップを口へ持っていく・・・。小さいながらも、「遊び」ということを理解している証拠であり、「ままごと」の第一歩を踏み出した瞬間です。
私は、まだまだ赤ちゃんと思っていた子どもの、そんな人間らしい姿・仕草を見ると、本当に感動してしまいます。

「ままごと」は、このように「食べる振り」「飲む振り」から始まりす。
そのうち、「お皿を並べる」「お皿に食べ物を入れる」「どうぞと差し出す」など、お母さんがしてくれていることを、自分もやってみるようになります。「お母さん」という役割を演じるようになるのです。

この頃の「ままごと」は、自分一人であったり、大人対自分で進みます。近くで、同じ年頃の子どもが、同じように「お母さん」を演じていることもありますが、二人が積極的に一緒に遊ぼうとすることは、まだ少ないでしょう。「平行遊び」と呼ばれる時期です。
誰かが、お皿を並べて遊んでいる。おもしろそうだな・・・と、自分も隣でやってみる。保育園などでは、何人もの1~2歳の子どもが、ままごと道具を囲んでいる姿も見られます。でもそれは、「お母さん」「お父さん」「お姉さん」「赤ちゃん」・・・などの役割が決まった「ままごと」ではありません。一人一人が、みんな「お母さん」。それぞれが自分の中の「お母さん」のイメージで遊んでいます。
かと言って、周りの子どもに全くの無関心というわけでもありません。おもしろそうなことは真似してみる。時には一緒になってやってみたい・・・。だから、この時期は、おもちゃの取り合いなどのトラブルがよく起こります。
近くの友達の使っているおもちゃを、すぐに取ろうとする子。大人から見たら、「困った子」に見えるかもしれません。でも、ただ、周囲の友達に関心が強く、「真似したい。一緒に遊んでみたい。」という気持ちを行動に移しただけなのです。まだ、気持ちの伝え方を知らないだけなのですから、「困った子」と決めつけず、「○○ちゃんもやってみたかったんだね。」と気持ちを受け止め、同じようなおもちゃを見せ「ここにも同じのがあるよ。」と知らせたり、「貸してって言ってみようか。」と教えてあげればいいのです。
これも、遊びが発達していく一つの段階と言えるでしょう。

友達と関わりながら、「ままごと」をしようとするのは、3歳前後からでしょうか。
それ以前の子どもは、大人が良い仲介役となってあげれば、一緒に遊ぶこともできますが、それをせず、「ほら、仲良くしなさい。「一緒に遊ばなきゃ、ダメでしょう?」「うちの子、ちっとも友達と遊べない・・・」「いじめられているのかしら・・・」などと、言ったり悩んだりするのは、ちょっと早すぎるような気がします。
その子の遊びは、まだ、その段階にないのですから。

3歳前後の子どもは、自分の周囲の子どもに強い関心を示すようになり、一緒に遊びたいと思うようになってきます。もちろん、個人差は大きいものですが。
続きは、次回に。

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元保育士の「ゆっこせんせい」が12年の保育経験を活かして、子供たちとの遊びの中で気づいたこと、発見したことなどを中心にお届けしていきたいと思います。

<さとうゆきこ>
筑波大学心理学専攻、中退。92年、私立保育園就職。勤務しながら、保育士資格取得。0歳~5歳の各歳児の保育に携わる。04年、退職。現在は、HP「ゆっこせんせいのおもちゃ箱」にて、オリジナル手作り布おもちゃを発表し、布おもちゃの素晴らしさを伝えるべく、活動中。7歳と9歳の男の子の母でもある。
HP「ゆっこせんせいのおもちゃ箱」:http://yukkotoy.com/

第25回 「言葉の大切さ」

ALOHA! 日本では夏の行事真っ盛りの頃ですね。お盆に、夏祭り、花火大会と。こちらハワイの巷では‘バック ツー スクール’(Back to School)の言葉が飛び交う時季となりました。直訳は‘学校に戻る’つまり、新学期です。

ラジオから子ども達の可愛い声が流れてきました。「‘バック ツー スクール’の言葉を聴いたら何を思いますか」との質問に子ども達が答えている声でした。「早起きしなくちゃいけないこと!」「女の子にやさしくしなくちゃいけないこと!」(勿論これは男の子の声)「お友達に会えること!」「OOOOのお店で学用品を揃えて、一生懸命に勉強してよい子になること!」これは、OOOOの今年のラジオ・コマーシャルの一コマですが、数年前は同じスポンサーで親の心理を良く現したテレビ・コマーシャルをこの時季に流していました。

‘一年でもっとも素晴らしい時季’のクリスマス・ソングをバックに、親がOOOOのお店でショッピング・カートを引きながらルンルン気分で学用品をカートに入れてゆきます。その後ろから、子ども達が口をへの字にしてしぶしぶついて行きます。あの時は思わず笑ってしまいましたが、今年のラジオ・コマーシャルの方が学校を肯定的にあつかっているようですね。でも、本当に長い夏休みの間の子どもの生活プランを立てることは、こちらの親達にとって大変な仕事なのです。(余談ですが、OOOOの学用品はこの時季に大量に仕入れる為か、値段が安くなり親は大助かりです。私もこの時季に文房具を買いだめします。)

以前お知らせした通り、ハワイでは幼稚園の一年間は小学校に付属されています。ですから、日本の年長組み(5、6歳児)は小学校に通います。その前はプレ・スクールと呼ばれ殆どが私立の小規模な施設になり費用もかなりかかります。(一人、一ヶ月4~6万円)共稼ぎ夫婦ですと、片親のパートでの収入がそっくり子どものプレスクール代にとられてしまうと、嘆く親も多いです。それ故、公立小学校の幼稚園に子どもが通うようになると、親は本当に‘ほっと’します。(注:幼稚園に通うようになった子には、‘バック ツー スクール’とは言いません。念のため。)

同じ言葉‘バック ツー スクール’でも、親と子ではだいぶニュアンスの異なった言葉として受け取られますが、この時季ハワイの親子のコミュニケーションで大事な言葉でもあります。

さて、ご存知のように子どもの成長過程で、言葉の発達は大切な成長過程の一つです。でも、その発達速度、発達の仕方、言葉とのかかわり方などは、人それぞれの違いがあります。言葉とは自分の意思を伝え自分の世界を広げる大事な手段であることに気づくと、人はその活用をどんどん広げる楽しみも覚えますよね。

私の長女が生まれた時主人と私の二人だけの家庭に参加した彼女の言語環境は、英語と日本語でした。つまり私たち夫婦の会話は英語と片言の日本語、私が電話で話す音は日本語、ラジオからは英語か日本語の音が流れるという環境でした。彼女は普通の日本人の子ども達が言葉を発する歳になっても、言葉が出てきませんでした。主人は英語で彼女に語りかけ、私は日本語で彼女に語りかけていたので、彼女の頭脳が異なる音から意味を理解するのに時間がかかるのだろうと、気長に待ちました。案の定、二歳過ぎて長女が言葉を発するようになると、彼女は英語と日本語の使い分けをちゃんと知っていました。几帳面でコツコツ・タイプの彼女は、成長と共に言語の才能を着実にのばし、三年前には私の著書「集まれ!地球の子ども達」を英訳しました。

次女が生まれたとき、長女はまだちゃんとした言葉を発せれない状態でしたが、行動力が活発な次女は、英語の音も日本語の音も使い分けをすることもなく、勝手に発しました。一歳前には、ごちょごちょと英語とも日本語とも判断のつかない音を口に出していました。彼女は一人前に、それらの音で自己存在を表現していたつもりのようです。現在でも彼女は日本語会話には不自由しません。一方日本語の読み書きは漢字が苦手な次女ですが、英語でも難しい単語はかなり努力して学んでいるようです。その代わり、表現力の豊かさは大学教授達からも褒められるそうです。

長男は、一歳未満で父親と日本を離れました。出発までの残り少ない日々、私は彼をお風呂に入れながら「はとぽっぽ」の歌を一生懸命歌いました。オーストラリアに行った長男に電話で話しても私の存在がわからず、受話器を通して「はとぽっぽ」の歌を私がうたったら「マミー!マミー!」と彼は叫びました。今でも彼にとって「はとぽっぽ」の歌の響きは、母親と別れた寂しさと母親の温もりが同居して甘酸っぱく彼には聞こえるようです。片言の日本語しか話せない15歳になった現在の彼は、若者の話す英語のスラングを一生懸命私に教えています。

幼稚園児の年齢は外の世界も広がり、言葉も急速に発達する時期ですよね。この年齢のお子様をお持ちのお父様、お母様,お子さん達にたくさんの言葉を伝えてあげて下さいね。児童書、紙芝居、映画、や様々な体験の中から楽しい言葉、嬉しい言葉、美しい言葉をたくさん教えて上げて下さい。お子さんが大きくなったら、そういう言葉がきっとお子さんからあなたに返ってくるはずですからね。
ノブコ タカハシ ムーア

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ハワイの語の母親
以前さまざまな言語で母親を意味する言葉を調べたら「M」の音で始まる言葉が多くありました。ママ、マンマ、マー、マミー、マモン、マム、マザー、ムーチン、ムッター、モアー、メーなど等。ではハワイ語(ポリネシア原住民の言語)ではと調べたら、makuahine(マクアヒネ)とあり、母親やおばの意味になります。つまりmakua 親と女性を意味するwahineが一緒になったようです。母親だけでなくおばも意味することから、多くの女性が母親代わりになって子育てに参加していた様子がうかがえます。そして子どもがもっとも早く発しやすい音‘M’で、やはり始まっていました。
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多民族社会ハワイから異文化理解に役立つ情報を発信している スクール ハウス インターナショナルの運営者です。異民族間 結婚の家庭で育つお子さんの生活環境、多民族化がすすむ日本社会 で国際人教育を必要とされている日本の子どもたちの家庭環境を 一日も早く整えるために、自分の体験に基ついて語ります。 ご参考にしていただければ、大変嬉しいです。

<ノブコ タカハシ ムーア>
関東学院女子短期大学英文科卒業後、デンマークのInternational Peoples’ College で 23カ国の学生と共同生活をしながら、国際理解、国際平和を学ぶ。帰国後 民間ユネスコ活動に出会い以来30年間日本社会の国際化の最先端で様々な 国際交流プログラムを企画実施する。1993年3人の子どもたちの学校教育の為 ハワイに移民。同年それまでの体験をまとめた「集まれ!地球の子ども達」を出版。 School House International のホームページはこちら>>

第9回 子育てにマニュアルはあるのでしょうか?

 子育てに、果たして確かな「マニュアル」は、あるのでしょうか?
 さまざまな育児雑誌や子育てに関する本があります。その中で主張されているものは、それこそ千差万別、種々さまざまです。
 ある本には「叱って育てなさい」と書いてあるし、ある本には「できるだけほめなさい」と書いてある。これでは子育てに「正しい方法などない」と思われても当然です。

 あるときすばらしい実践をされている教育者の方の講演で、こんな言葉を聞きました。

「悪いことをした中学生の息子に『おまえなんか、このうちを出て行け!』と父親が言ったとします。そのとき、ある子は、親父はこれほど真剣におれのことを考えてくれているのかと『お父さん、ごめん』というかもしれません。また『そしたら出て行ってやる!』と本当に出て行ってしまう子もいるでしょう。このように、教育に『こうすれば正しい』というものは、ないのです」

 たしかに、その通りです。具体的な場面になると、その子の性格や環境、そのほかさまざまな状況によって叱り方でも違ってくるでしょう。

 川上元巨人軍監督が、「長島を叱るときは、みんなの前で、大声で叱った。しかし、王を叱るときは、二人きりのときに、説いて聞かせるようにした」と話されていました。長島さんと王さんの性格の違いで叱り方を変えていた、というわけです。

 では、子育ての基本原則のようなものがまったくないのか、というとそうは思いません。

 私は、園で行っている「生活の四大原則」は、しつけの大原則、そして、子どもの小さな達成を「ほめ、励まし、認める」言葉がけ、これだけは普遍のものだと考えているのです。

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幼稚園ねっとにご登録いただいている幼稚園コラムです。 各幼稚園のコラムを順次ピックアップして紹介していきます。

かすが幼稚園 理事長・園長 米川安宜
京都市右京区の私立園。園長は同志社大学法学部卒業後、國學院大學で神道学、佛教大学で幼児教育を学ぶ。キリスト教、神道、仏教と三つの宗教の大学で学んだ特異な経験をもつ。「子どもは大人よりも能力が高い」という目で子どもと関わり、子どもの脳の発達にあった教育と、積極的な心構えを育てる新しい幼児教育を行っている。また、「幼児期こそ、しつけの最適期」として、しつけ・礼儀、道徳教育も重視している。 (http://www.kasuga.ed.jp/)