第1回 抱きしめる、という会話

 私どもがいつも感じ、思うこと。それは保護者の方の力、特にお母さんの力の偉大さ、です。

 「子どもたちを見ているとご家庭の様子がわかります」と、私はよく皆様にお話しをします。そして「親の背中を見て子どもは育つ」と言い習わされてきましたが、ある面でそれは正しいなあ、と思わされます。

 お母さんの気持ちや愛情が「豊か」だと、お子様の気持ちも豊かです。しかし、どことなく余裕のない気持ちをお持ちだと、それも伝わってしまう、そんなことをよく感じます。

 数日前、「24歳母 乳児下腹部切る」「塾行かぬと小2長男絞殺」など、殺伐とした見出しが新聞紙面に躍っていました。なんとも胸が痛みます。前者の事件は「母親の幼児期の虐待体験から来る男性不信で発作的にやった」と記してありました。

 ここで思うのは、まず、やはり幼児期の「幼児体験」「原体験」といわれるものの影響の大きさです。「6歳までの体験は後の人生に大きな影響を与える。だからこそ、今を大切にして、褒め、励まし、認める子育てをしてください」、これもよくお話しすることです。

 次に思うことは、いくら自分が幼児期に虐待を受けていたとしても、それを抑えることがなぜできなかったのか、ということです。虐待まがいのひどいことを受けてきたすべての母親が、このような事件を起こすとは思えません。深い心の傷はあるけれど、だからこそ、自分の子どもに対しては深い愛情で接する、という子育てをされている方も多くいらっしゃるはずです。

 「抱きしめる、という会話」
今、新聞やテレビで公共広告機構がコマーシャルを流しています。

 簡単だけど、とても大切なことだと感じます。

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かすが幼稚園 理事長・園長 米川安宜
京都市右京区の私立園。園長は同志社大学法学部卒業後、國學院大學で神道学、佛教大学で幼児教育を学ぶ。キリスト教、神道、仏教と三つの宗教の大学で学んだ特異な経験をもつ。「子どもは大人よりも能力が高い」という目で子どもと関わり、子どもの脳の発達にあった教育と、積極的な心構えを育てる新しい幼児教育を行っている。また、「幼児期こそ、しつけの最適期」として、しつけ・礼儀、道徳教育も重視している。 (http://www.kasuga.ed.jp/)