Monthly Archives: 6月 2004

第9回 伸びゆく子どもに私たちができること ~人格の基礎を作る時期に、あなたの思慮深い愛情を~

 お子さんの誕生日を迎えると、その子が生まれたときの事を思い出されるお母さんも多いことでしょう。まだ新生児の頃、お子さんが授乳するお母さんの顔をじっと見ていたのを覚えていますか? 腕の中の子どもの顔を見るのは、幸せなひとときだったのではないでしょうか。

 自分のことを何一つできないこの時期の子どもを母親が世話をすることは、母子の間に大事な関係を育みます。互いに触れ合ったり匂いをかいだり、声を聞いたり、見つめあったりすることが、子どもの安定した情緒を育み、受け入れられているという実感が、生きていく上での信頼感の基となっていくのです。

 生まれ出てきたこの世界が、母親との交流によって信頼できるところだと感じることのできた子どもは、興味をもってさまざまな行動を起こし始めます。次のステージへと進むのです。体を動かし、手を使い、いろいろなことを試すことで、この世界を知ろうとします。

 大人は見ただけで理解するということができますが、この時期の子どもは体や手を働かせる中で、この世界がどんなものなのかを学んでいきます。

 この時期、周りの大人も、子どもが一方的に世話をされる存在から次の段階へ進んだのだということを理解して接することが求められます。今、どんな援助が必要なのかを知ることが、子どもの調和の取れた成長に大きな影響を及ぼします。

 2歳を過ぎると一般的に反抗期と呼ばれる時期が訪れます。これは人格を形成する過程で、自立への大きな一歩となる大事な時期です。

 自分が思うように動けるようになり、まわりの世界を理解できるようになってきた今、彼らは一人前の人間として認められることを望みます。その結果、親の決定したことをそのまま受け入れるのではなく、自分の意見も認めてほしいと主張するのです。

 この時期には、自分が一人の人間として尊重されていると実感する機会を持つことが大切です。とはいえ、これは子どもの意見にすべて従うということではありません。一方的に命令するのではなく、選択肢を与えて決断を求めるのもいいでしょう。自分が認められているという実感と経験を通して、子どもは正しい意味での自我をもち、他を尊重することや協力するということを学んでいきます。

 子どもたちの持つ潜在能力に最大限に応える援助を私たちがしていくためには、子どもについての的確な知識を携えて、しかしがんじがらめになることなく、目の前の子どもに愛情を注いでいきたいものです。

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新宿区河田町にあるWASEDA Frontier Kids Learning Centerの園長、橋本 恵理が、自らの子育て経験を活かし、モンテッソーリ教育の内容を身近な例を挙げながら紹介。「個性と自立心を養う」教育法であることをお伝えしていきます。

<橋本 恵理 (はしもと えり)> 早稲田大学理工学部卒業。大手保育事業会社にて認可保育園や駅型保育所などの立ち 上げ経験を持つ。2003年、幼児教育におけるベンチャー企業である㈱フューチャーフ ロンティアーズ取締役(COO)に就任。現在、新宿区河田町にモンテッソーリメソッ ドをベースに日本人を対象としたインターナショナルスクール WASEDA Frontier  Kids Learning Centerの園長として、また2児の母としても活躍中。

第11回 「たいくつを楽しむゆとり」

ALOHA! 日本では紫陽花の美しい季節になりますね。雨に濡れた紫陽花の花とその葉に乗っているカエルは、日本のカレンダーの6月の代表的な絵ですね。懐かしく思い出します。この紫陽花、実は日本からシーボルトがオランダに持ち帰り品質改良されて日本に逆輸入されたとも言われております。ヨーロッパにも、ハワイにも似た花がありますが、雨と紫陽花が結びつくのはやはり日本の気候風土が生み出したイメージのようです。

さてこちらハワイでは、ゴールデンシャワーと呼ばれるマメ科の木に見事な黄色い花房が咲き誇る時期です。このゴールデンシャワー、和名はナンバンサイチカと呼ばれていますが、ハワイでは黄色だけでなくオレンジや白の花もあります。風に吹かれてこの花が散る光景は、まるで日本の桜吹雪。こちらの表現では、まさにシャワーを浴びるような気分にさせられるのでこのような名前がついたようです。

昨日大変ショッキングなニュースが日本から届きました。小学生6年生女児による友人殺害が学校内で起こったニュースです。日本の教育関係者は、度重なる児童による凶悪事件の度に色々と対策し関係者の指導をしているようですが、やはり社会の本質的問題が解決されないまま上辺だけの対策や指導には限度があります。教育には、家庭教育、学校教育、社会教育があるのですが、日本において家庭教育がおろそかになってきたのはやはりバブル経済の発展期からのようです。

父親を仕事にとられた家庭で、母親だけの家庭教育がゆがんでしまうのは当然です。時間の問題ではなく精神的に父親の存在が子どもに伝えられていればまだ良いのですが、逆に母親さえもパートの時間にとられ、子どもには塾やら習い事のフルスケジュールを与えて子どもを管理するといった、家庭教育不在の時代があったのです。そしてその時代は、今でも日本社会(正確には日本のみならず、急速な経済発展社会では常に弱者―子どもや老人―が犠牲になります。)にもまだその影が深く残っていると思います。

ハワイに来てある会社でマネージャーの仕事に私が付いてから10年になりますが、英語でマネージ(MANAGE)をする人と呼ばれて初めて私の意識の中にマネージの観念が植え付けられました。

MANAGEとは管理することなのですが、日本語だと管理者となってなんだかふんぞり返っているようなイメージですが、英語だと自分がコントロールできる状態に物事を持ってゆくとなります。ですから職場ですと、人材の確保と教育、経費の収支、経営がスムーズにゆくように設備の点検から日々の業務運営を支障なく遂行するための必要な事項の管理を管理者としての責任の基に管理しなくてはなりません。つまりなんでも屋です。しかも決められた時間内に行なうのですから時間の管理、又自己の健康管理も必要です。こうなると、管理されない自分の時間と空間の必要性が生まれ、その時間と空間を確保する知恵も付いてきます。

子どもの頃は、この管理の概念が全く無く、何もすることが無い時間を「つまらない」とか「たいくつだ」とか言って遊び相手を捜したり、からかってくれる相手を家族(私は大家族の家庭に育ちました)の中に求めたり、それでも誰も見つからないと自然の中に自分を置いて時を過ごしたものです。流れる雲の形をボケーとしながら眺めたり、庭の蟻の動きを飽きもせずに見つめたり、流れる川のきらめきに心を奪われたり、日溜りでごろっとしながらうとうとしたり、、、、こういう時間や空間は子どもの時の特権だっかのかしら、それともその時代の生活の一部だったのかしら、、、、、、、。

いや、今でもちゃんとあるのです。管理されない時間や空間の中に自分を置くその心地良さは「ゆとり」と呼ばれるようになりました。

変化の激しい現代社会で多くの人を管理するのに、つい合理性のみを優先した管理方法が選ばれがちです。でも人間の心や気持ちはそんな単純に合理的に割り切れるようなものではないのですよね。それゆえ、家庭教育が変化の激しい時代こそより重要になってくるのです。

家庭での教育は、人間管理の教育ではなくむしろ脱管理教育であるべきです。社会の集団生活の中で管理され拘束されている人としての心や気持ちを開放できる場が、家庭であって欲しいのです。つまり、父親母親という全く異なる性の狭間でも、又親と子どもの年代の狭間でも、お互いに認め合い必要となる自分の存在を確認できるところが家庭なのです。

ですから、脱管理教育は「甘やかすこと」とは、まったく異なりますし、又「躾」は管理とは異なり良き生活習慣を子どもにつけさせるために親が家庭で
教える必要があります。厳しく躾けていても、親の愛情が伝わっていれば、子どもは不安なく成長します。家庭における自分の必要性はあるがままの自分を受け入れてくれるということでから、家族間でお互いの自我がぶつかり合うのは当然です。それにも関わらず、お互いが必要になり認め合えるところに家族の絆があり愛情が育まれてゆくはずです。

お父さん、お母さん、職場や社会では管理されたり管理したりする人であっても、家庭では管理者ではなく父親母親となって外で管理されて疲れている子ども達に「ゆとり」をあげてください。家族揃った時間がとれたら、なにも人ごみの中に出掛けなくても家族揃って退屈な時間を楽しんではいかがですか?お金を使わなくても良いし、時間に振り回されなくても良いし、、これ以上大人にとってリラックス出来ることはありません。

子ども達ですか?始めは文句をいうかもしれませんが、親たちが自分に向き合ってくれると解れば結構喜んで従うはずですよ。家族揃って庭で食事をするとか、キャンプごっこをするとか、いつもとは異なる生活のリズムを家庭の中に起してみてください。そういうときのお父さん、お母さんの話(失敗談とか、子ども時の思い出とか、自分の親の思い出とか)を幼稚園児であっても子どもは真剣に聞いているものです。そして、生涯覚えています。
       
ノブコ タカハシ ムーア
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アメリカにある唯一の宮殿
大統領制度のあるアメリカに本物の宮殿があるのをご存知ですか?アメリカ国民の中にはハワイ州がアメリカ合衆国の一部であることを知らない人もいるくらいですから、日本の皆様が「アメリカに宮殿?」と思われても不思議はありません。
アメリカにある唯一の宮殿は、ここハワイ州のホノルルのダウンタウンにあります。カメハメハ大王がハワイ諸島を統一し王朝を成立させましたが、その後今から約100年前にカラカウア王が建てたイオラニ宮殿がそれです。煌びやかな宮殿ではありませんが、質素な中にもハワイらしい趣のある宮殿です。ハワイに来られたら是非イオラニ宮殿の見学ツアーにも参加して、ありし日のハワイ王朝を偲んでみて下さい。
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多民族社会ハワイから異文化理解に役立つ情報を発信している スクール ハウス インターナショナルの運営者です。異民族間 結婚の家庭で育つお子さんの生活環境、多民族化がすすむ日本社会 で国際人教育を必要とされている日本の子どもたちの家庭環境を 一日も早く整えるために、自分の体験に基ついて語ります。 ご参考にしていただければ、大変嬉しいです。

<ノブコ タカハシ ムーア>
関東学院女子短期大学英文科卒業後、デンマークのInternational Peoples’ College で 23カ国の学生と共同生活をしながら、国際理解、国際平和を学ぶ。帰国後 民間ユネスコ活動に出会い以来30年間日本社会の国際化の最先端で様々な 国際交流プログラムを企画実施する。1993年3人の子どもたちの学校教育の為 ハワイに移民。同年それまでの体験をまとめた「集まれ!地球の子ども達」を出版。 School House International のホームページはこちら>>

第13回 夫婦の絆

暑くなって参りましたね。
そろそろ梅雨入りで、ちょっぴりうっとうしい気分でもありますが・・・・。

さて、私鎌田が高齢者施設訪問から得られることはたくさんありますよ、と前回までも申し上げて参りましたが、今月号では“夫婦の絆”について皆様とご一緒に考えてみたいと思います。

つい先だって、イラクで戦場カメラマンであり、フリージャーナリストでもある男性が反米勢力の人々によって殺害されました。

殺害されたその方は、還暦を迎えてもなお戦場の生の姿を自身の目で見、自身の口から伝えていきたいという信念から、いつでも死を覚悟で戦場に乗り込んで行かれたといいます。

そんな方が、現実にそんな事態に巻き込まれ尊いその命を断ったとき、奥様はおっしゃいました。

「本望だったと思います・・・・、でも、もう一緒に話したり暮らしたりできないのかと思うと淋しくなります・・・」と・・・・。

奥様は日頃よりご主人と同様のお仕事をなさってこられ、ご主人を尊敬しご主人の最高の理解者でもあったようです。

そんな姿をテレビで見、改めて素晴らしい夫婦だなと思ったり、感心したりしたところですが、一方でここ最近お伺いした高齢者施設でこんな光景を見つけました。

「あなたとは、以前どんなお話しをしたかしら?」
相手に合わせていろいろと会話を楽しまれるそのお方は75歳の女性。

「ああ、クソ亭主の話だったわね・・・・」
なんとどぎついセリフ・・・・、と思ったそのとたん、次に発せられた言葉は次のようなものでした。

「でもね、ある方に言われたの。あなた、ご主人が生きていらっしゃるからそんな憎まれ口が聞けるのよ・・・って。確かにそうね、良く考えてみたら自分が具合悪くなった時、何が食べたい?なんて言ってくれるの亭主しかいないものね。そう考えたら若い時いっぱい苦労させられたけど、今頃になって“有り難いな”なんて思ったりして・・・・」

うーん、重みのあるお言葉・・・・。
何気ないそんな会話の中にも、永年連れ添ってきて、ケンカや揉め事ばかりのご夫婦でも、人生の終盤を迎えた時、「ああ、この人は自分にとって最愛の人だったんだ」と思える人生も素敵ですよね。

幼稚園児をお持ちのお母様方にとっては、まさに今がお子様の将来のこと、旦那様の将来のこと、ご自身の将来のことでいっぱいいっぱいの毎日のことと思われますが、いっとき人生の先輩達のそんな生き方・考え方を参考にして、ご夫婦の絆についてじっくりと話し合ってみるのも良いのではないでしょうか?

オフィス 鎌田  代表 鎌田妙子

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元保育園園長、鎌田妙子が、今まで学んできた子育て理論や体験談などをもとに、子育ての悩みどころに対してアドバイスしていきます。毎回身近な事柄をテーマに、子育てアドバイスをお届けしていきますので是非ご覧ください。

<鎌田妙子> 1975年、北海道大学教育学部発達心理学研究室終了、認可施設 財団法人慈愛会保育園園長として9年間勤務。施設型保育の限界を超えるべく1986年独立。当時、日本では珍しいベビーシッター事業を立上げ、現在オフィス鎌田の代表として活躍中。