Category Archives: 子どもをどうすれば守れるのか

幼稚園・園関係者 パート2

 安心で安全な幼稚園(保育園でも同じ)づくりを行おうとするとき、最も効果的な方法が人的防犯力だと申し上げました。そしてこの人的抑止力とは、園関係者の皆様の防犯力のことです。
 幼稚園は犯罪弱者と呼ばれる女性の方々が多く勤める施設であり、さらに最弱者である園児がたくさん生活している施設でもあります。そのような施設にあって本当に安全な施設づくりができるのかと思われるかもしれませんが、安心してください。できるのです。

 子どもや女性、高齢者の方々が犯罪弱者と呼ばれるのは犯罪被害の回避法の知識がまったく備わっておらず、さらに抵抗力や防御力がないにひとしいからなのです。先生がたをふくめた園関係者の皆様が「犯罪被害回避法」を身につけ、さらに「防御・撃退法」を身につければ園児たちを守れます。

 それでは、安全な幼稚園づくりの基本、人的防犯力による安全な園づくりの第一段階、危険察知力を備えるということについて解説します。
 まず、幼稚園で発生している犯罪被害の多くは、無人となった園の職員室や園長室への金品狙いの侵入盗のパターンです。ですから、安全な園づくりを行なううえで侵入盗対策は避けて通れない防犯対策ではありますが、ここでは省略します。何故なら、おそらく多くの関係者の皆様は、とりあえず園児を預かっているときの侵入者による被害対策・防犯方法を知りたがっておられるのではないかと思うからです。もし、いやいや、夜間の侵入盗対策も教えてほしいということであれば、機会をみつけてお話したいとおもいますが、とりあえず、ここでは園児がいる時間帯の安全確保、被害回避法についてお話をしておきます。
 まず、幼稚園の安全確保で最もたいせつなことは、幼稚園の敷地内へ入ってこられる訪問者のチェックがどれほどできているかということです。敷地内へ誰かが入ってきたらすぐにわかるように、また誰かがすぐに対応できるような園のシステムになっているでしょうか?この点を必ずチェックしてください。
 もし、敷地内へ誰かが入ってきても誰も気づかない、見えない、知らないような環境ならかなり問題です。なぜかというと、もし、その訪問者が凶器を持って園児や関係者を殺害しようという凶悪な意思を持った人物だったら、何の抑止力もなく園内や室内に侵入されて凶行を許してしまうことになるからです。それこそ池田小事件のような悲惨なことになってしまいます。

 まず、最初に皆様方が備えなければならない防犯力とは、このように危ない状況や場面を早期に発見・察知することのできる能力です。これを危険察知力といい、専門的には体感レーダー(警察関係者は体感治安と呼んでいます)というものです。
 これは、危ない、おかしい、怪しい、変だ、怖いなどという感覚のことで、例えば幼稚園へ入ってこようとする人を見て、危ない、おかしい、怪しい、変だと感じることができるか、見分けることができるどうかということです。難しいと思われるかもしれませんがそれほど難しいことではありません。どういう人が怪しいか、怖いか、危ないか、変かを知っていればいいのです。しかし、先ほどもいいましたが敷地内へ入ってこようとする人物を、園関係者の誰も見ることができない、わからない、知ることのできないような建物の構造やシステムでは園の防犯の最も基本的な早期発見という防犯力の一つが働かないということになります。
 皆様の園はこのように、敷地内に入ってこようとする人物のチェックができるような構造やシステムになっていますか?と聞いたのは以上のような理由からです。次に、建物内へ入ってこようとする人物はチェックできますか?さらに廊下や室内に入ってこようとする人物の発見やチェックはできますか?これができないようでは全く無力で無防備な園になります。
 
 安全な園づくりで最初に行なうべきことは、園の敷地内へ入ってこようとしている人物を誰かが必ずチェックできる、あるいは発見できる、みることができる構造やシステムになっているかどうかを点検してみてください。そして、発見しづらい、見づらい、わかりづらい場所や箇所があるならばそれらを改善する必要があります。監視カメラをつけるとか人感センサー付アラームをつけるなど、最低限の物理的な補強が必要になります。しかし、これらは物理的防犯ではありません。あくまでも人的防犯力を備えるための補強的措置とお考えください。そして敷地内への訪問者(侵入者)の発見やチェック体制ができれば、次は建物内への訪問者(侵入者)の発見やチェック、そして廊下や室内のドア前などでの発見やチェックが可否の点検を行なってください。
 
 園児を預かっている時間帯での安全な園づくりで最も大事なことは、訪問者の早期発見であるということを知っていただければと思います。そして、発見したら瞬時にその訪問者の安全度を判断する防犯力(危険察知力)を身につけていただかなければなりません。この第一段階の防犯力は、何が危ないのか、おかしいのか、怪しいのか、変なのかということを学ぶことです。
 それでは次回に、何が危ないのか、おかしいのか、怪しいのか、変なのかという判断力を身につけるための要点を解説したいと思います。

 それから話がかわりますが、今「いじめ」が大変世の中を騒がせています。でも、いじめはなくなりません。なぜなくならないのか!どうしたらいじめがなくなるのか、やめさせられるのか、など議論が百出していますが、園児や小学校のいじめは簡単に辞めさせられます。それは「いじめと」はどういうものか、そして、なぜそういうことをしてはいけないのかということなどを誰も教えていないからです。これまで学校では「いじめ」に関する指導や教育はタブー視されてきました。要は見ざる、言わざる、聞かざる、知らざるという卑怯な対応で過ごしてきたからです。
 「いじめ」は「8態」と呼ばれる形態があり、この8態を絵に描いてしっかり教えればいいのです。教育関係者に言いたいものです。幼稚園の先生がたを見ならいなさいと、皆様方の園児に対する対応こそ「いじめ」をやめさせるヒントがあふれていると思います。
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・防犯コンサルタント
・日本防犯診断士協会 常務理事

<中山 天(たかし)>
1948年 熊本県生まれ
1977年 東京出版株式会社 常務取締役就任
1982年 東京出版株式会社 代表取締役就任
1999年 社業のかたわら続けてきた自力防犯・犯罪被害の回避力に 関する研究を実践するために会社を自主閉鎖(2006年5 ~6月には再建の予定)日本防犯診断士協会の設立準備を開始
2003年 特定非営利活動法人 日本防犯診断士協会設立 常務理事就任
総合防犯コンサルタントとして、防犯診断士 (防犯コンサルタント)の指導・育成、著述、各種防犯セミナーの講演 などを主な活動としている。
http://www.bouhanshindan.npo-jp.net

幼稚園・園関係者 パート1

このところ忙しくて幼稚園及び園関係者のための防犯についてのお話が遅くなってしまいました。
それでは早速、幼稚園の防犯の要点についてお話をすすめます。

まず、幼稚園の防犯には3つのテーマがあります。
1、園内活動中に園児を守るための防犯
2、園外活動中に園児を守るための防犯
3、閉園後の教職員の金品狙い、その他の犯罪被害を防ぐための防犯
この3テーマです。まずは1のテーマについてお話をいたします。
 
平成13年6月8日、大阪の池田小で刃物を持った男が小学校内に侵入して8人の児童を殺害し、教師を含む15人に重傷を負わせるという惨い事件がありました。残念ですが、このような惨い事件が幼稚園では絶対におきないという保証ができないほど、現代社会は病んでいると思われます。
 では、このような惨い事件が幼稚園で発生しようとした時、防げるかあるいは被害を最小限限度にできるかと問われると、多くの関係者は不安ではないかと思います。でも、あの事件とほぼ同じ動機による事件が発生したある小学校では、女性教師の機敏な行動で男児2名が頭部に傷を負うという程度で被害を最小限度におさえたのです。たとえ女性でも、危機的状況下における被害回避法あるいは抑止法を知っていれば、このように被害を最小限度に抑止できるということを証明しています。
 今回はこのような、外部からの犯罪企図者(侵入者)から園児を守るための防犯に絞って解説します。

 まず1つ、幼稚園の防犯には、環境的抑止力、物理的抑止力、他力的抑止力、人的抑止力の4つの方法があります。簡単にいいますと、環境的抑止力とは、犯罪企図者が侵入を避ける幼稚園づくりのことです。通行人や近隣の住人などの目が集まっていて、不審な行動をすればただちに通報されそうな園です。このように環境的に犯行を行いづらい園をつくる方法が一つです。この防犯方法は費用はかかりません。だが、地域住人の方々や保護者の方、自治体の支援・協力が不可欠となります。

 次に、物理的抑止力ですが、わかりやすくいいますと、園の敷地を見通しのよい、しゃれたデザインの高さ3メートル前後のフェンスで囲んでしまうというものです。あるいは監視カメラやセンサー付きアラーム、ライト、電気錠をつけるなど防犯設備を備えて守るという方法です。費用のある幼稚園はこの方法でそれなりの効果が得られます。しかし、予算がない園や開放的な学習環境を望まれる園には適しません。

 3番目の他力的抑止力とは、早くいえばガードマンを配置するということです。しかしガードマンの配置には費用が莫大にかかります。ですから、保護者やボランティアの方々にお願いをして、園内にいてもらうということになります。この方法だと、お金をかからずに犯罪企図者が避ける園づくりができます。しかし、お願いや打ち合わせ、各種費用や保険の整備などそれなりに負担は軽くはありません。

 4番目の人的抑止力とは園関係者自身による防犯力の強化です。実はこの方法がもっとも費用がかからず、時間もかからず、煩雑なお願いや打ちあわせも不要で、すぐにできる防犯法です。そして、最も効果的な抑止力となります。安心・安全園づくりの最も適しています。

 次回からは、この園関係者による幼稚園の防犯力の強化について、解説をしていきます。

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・防犯コンサルタント
・日本防犯診断士協会 常務理事

<中山 天(たかし)>
1948年 熊本県生まれ
1977年 東京出版株式会社 常務取締役就任
1982年 東京出版株式会社 代表取締役就任
1999年 社業のかたわら続けてきた自力防犯・犯罪被害の回避力に 関する研究を実践するために会社を自主閉鎖(2006年5 ~6月には再建の予定)日本防犯診断士協会の設立準備を開始
2003年 特定非営利活動法人 日本防犯診断士協会設立 常務理事就任
総合防犯コンサルタントとして、防犯診断士 (防犯コンサルタント)の指導・育成、著述、各種防犯セミナーの講演 などを主な活動としている。
http://www.bouhanshindan.npo-jp.net

第6回 保護者パート5

 前回、子どもの防犯年齢についてお話をしました。
0~8歳までの子どもを犯罪に巻き込ませたくなければ、目を離さないことであると申し上げました。これが、保護者による園児の防犯の基本ということです。

 例えば、ニュージーランドでは13歳までの子どもに対して、親が子どもから目を離すことを禁じる法律があるほどです。それほど厳しく保護者の保護責任を明示しています。またアメリカでも、幼児を一人で放置することを法律で禁じています。子どもは事件のみならず、事故にもあいやすくちょっと目を離した隙に事件や事故にあってしまったというケースが看過できないほど多発している過去の事例を教訓としているわけです。

 さらにアメリカでは、同じ家の中にいても、幼児が寝室で寝ていれば、その横にマイクをおいて別の場所、例えば台所で作業をしていても幼児の泣き声が聞こえるように受信器を携帯して、子どもが目ざめて泣きだしたら、飛んでいくというような努力をしている家庭も少なくありません。それほど子どもの保護責任をしっかり自覚しているのです。
 日本では、往々にして子どもを一人にして放置する保護者が少なくありません。しかも、保護者が目を離した隙に子どもが事件や事故の被害にあうケースが断続的に発生しています。
 これらの事件や事故をみると、日本の保護者の中に、子どもを守るという意識の低い人々やこどものから目を離さないことの重要さを知らない人々が少なからず存在することがわかります。
子どもを事件や事故から守ることができるのは保護者だけなのだということをしっかり肝にめいじておいてほしいものです。

 基本的には通園中の事件、事故に関する被害も保護者の責任です。(ただしスクールバスなどがある場合は、バスに乗せるまで)欧米でも、アメリカでも、ニュージーランドでも学校の校門までは親の責任です。
 ちょっと考えていただければわかりますが、一人の先生や保母さんあるいは園長先生が、通園中の園児や子どもたち一人一人を守ることができるでしょうか、できるわけがありません。守りたくとも守れないのです。それでは誰が守れるのか、そう保護者であるあなたしかいないのです。
 
 はっきり申し上げて、あなたの愛する子どもを、国が事件や事故から守ることなどできません。もちろん警察官だって守れません。地域の住人でも、法律でも守ることはできないのです。守りたくとも守れないのです。唯一、守ることが可能なのは保護者だけなのです。
 子どもは国の宝、礎だからみんなで、国で、社会で守ろう、などという無責任なスローガンが唱えられますが、このような曖昧で根拠のない文言など信じてはいけません。
 あなたの愛する子どもを守れるのは、あなたしかいないのです。
たとえ父親でも、そばにいなければ守れません。幼児はそばにいなければ守れないのです。

 よく幼稚園児までは、母親などが自転車の後ろに乗っけて園まで送迎する姿を目にします。ところが小学校に入ると突然そのような送迎をしなくなります。防犯年齢でも申し上げましたが、8歳までは、親や保護者あるいは大人が送迎しなければなりません。
なぜなら、8~9歳までは子どもは聞いたことと行動がともなわないからです。(もちろん個人差はありますが)
 
 生活のため、収入のためなどという理由で幼児(園児)を一人で放置する時間があるならば、その間に子どもが事件や事故に巻き込まれてもしようがないのです。それはあなたの責任だということを覚悟しておくことです。せめて9歳までは、一時たりとも子どものそばを離れないぐらいの姿勢で子どもを守ってほしいものです。
 そして9~13歳になると防犯の基礎指導年齢になります。子どもが自力で、犯罪や事故の被害を避ける方法を指導する責任が保護者に発生してきます(9~13歳の防犯指導についてはここでは省略します)。
 
 園児をもつ保護者の防犯についてはこの項で終わりたいと思います。次回からは、保育園や幼稚園内(関係者)のための「迫りくる犯罪から園児を守るための防犯」について書かせていただこうと思っています。なぜなら、園児に対する保護者の防犯と園・園関係者の防犯はまったく違うからです。

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・防犯コンサルタント
・日本防犯診断士協会 常務理事

<中山 天(たかし)>
1948年 熊本県生まれ
1977年 東京出版株式会社 常務取締役就任
1982年 東京出版株式会社 代表取締役就任
1999年 社業のかたわら続けてきた自力防犯・犯罪被害の回避力に 関する研究を実践するために会社を自主閉鎖(2006年5 ~6月には再建の予定)日本防犯診断士協会の設立準備を開始
2003年 特定非営利活動法人 日本防犯診断士協会設立 常務理事就任
総合防犯コンサルタントとして、防犯診断士 (防犯コンサルタント)の指導・育成、著述、各種防犯セミナーの講演 などを主な活動としている。
http://www.bouhanshindan.npo-jp.net

第5回 保護者パート4

 4月2日、15階のマンション通路から、小3男児が投げ出されて死亡するという事件がありました。逮捕された犯人が、子どもか女性なら誰でもよかった、と自供しています。もし、犯人の目の前に、園児が一人で遊んでいれば、男児と同じように殺害された可能性は高いということになります。
 私が、登下校時だけでなく、自宅周辺のほうがもっと危ないケースが多いとお伝えしてきたことがわかっていただければと思います。
 今回は、保護者が園児をどうしたら守れるのかということについて、できるだけわかりやすくのべてみたいと思います。
 これまでの話の中で、子どもには防犯(安全)年齢があると述べてきました。

子どもの防犯の基本的な考え方は、
 1 0~8歳までは保護年齢
 2 9~13歳は指導年齢
 3 14~17歳は性被害の指導年齢
 4 18歳以上は大人の防犯(自己責任=自力防犯)
の4段階にわけると、効果のある防犯指導ができやすくなります。

子どもの防犯といってもそれぞれ違いがありますから、最初に、その違いについて知っていただくことはとても重要です。もちろん個人差がありますから、これが厳密な区分けではないことを理解してください。平均的な基準としてということです。
 
このコラムをお読みになる方々は、1の0~8歳児の防犯についてお知りになりたいのではないかと思います。
これまでもお伝えしてきましが、この年代の子どもは片時も目を離さず、常にそばにいて保護することが防犯の基本です。
そして、園や学校関係者に子どもを手渡し、引き取るまでの時間いがいはすべて親の保護責任ということになります。
 1 通園中、通学中
 2 自宅近くの公園や路上で
 3 自宅や団地内の敷地内、建物内で、
 4 自宅に一人でいるとき
このすべての状況下で発生する、犯罪被害に対する子どもの保護責任は保護者にあるということです。
 
それから一つ忠告しておきます。
「知らない人についていってはいけません」という指導は、8歳までは役に立ちません。さらにつけくわえておけば、例え9~17歳までの指導年齢に達した子どもでも、このような曖昧な指導では役にたたないということを考えてみてください。 子どもへの防犯指導は、一つづつ具体的にわかりやすく指導することが基本です。特に14~17歳の女子には「性被害」の指導がなければ本当の防犯指導にはならないということも大事なキーワードの一つです。

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・防犯コンサルタント
・日本防犯診断士協会 常務理事

<中山 天(たかし)>
1948年 熊本県生まれ
1977年 東京出版株式会社 常務取締役就任
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1999年 社業のかたわら続けてきた自力防犯・犯罪被害の回避力に 関する研究を実践するために会社を自主閉鎖(2006年5 ~6月には再建の予定)日本防犯診断士協会の設立準備を開始
2003年 特定非営利活動法人 日本防犯診断士協会設立 常務理事就任
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第4回 保護者パート3

 前回のテーマから続きます。
宮崎勤事件の教訓に、子どもたちが狙われて連れ出された場所が自宅周辺で、一人でいるときに声をかけられて連れ去られているという、たいへん重要なキーワードがあります。
 子どもの防犯というと、通学時の連れ去り事件対策が中心になりがちですが、実は、この事例にかぎらず、子どもたちは通学路よりも自宅の近くや周辺で遊んでいるときに犯罪に巻き込まれているケースが少なくありません。

 ではなぜ、通学路での事件が多発しているかのように感じるのかというと、それは事件の特徴がおおきく影響しています。

 登下校中に子どもが連れ去られたりすると、保護者や学校関係者がその行方を捜します。見つからなければ最終的には、行方不明事件として警察に捜索願いを届けでることになり大騒ぎになるわけです。
 そして多くのケースで、行方不明が発覚してから数時間後、遠く離れた山中で放置された子どもが、第三者などに発見されて保護され、事件がおおやけになってしまうというパターンが多いのです。当然、テレビや新聞などの記事やニュースで取り上げられることになり、登下校時の被害が私たちの目にとまりやすくなるわけです。そのようなことから、登下校時の事件が多発しているかのように錯覚してしまうのです。

 それに対して、自宅周辺で被害をうけたケースの大多数は、被害を受けた子どもは、まっすぐに自宅に逃げ帰ってきます。第一発見者が家族になるのです。
 特に、女児や女子が性被害などを受けたケースでは、近隣の住人の風評被害などから子どもを守るために、また、さまざまなマイナスやダメージなどを考えて、被害を届け出ないで泣き寝入りをしてしまうというケースが多いのです。このような事情から、自宅周辺での事件や被害が表にでることはほとんどありません。だから一般の保護者は、家の近くで子どもたちが深刻な被害やダメージを受ける事件や犯罪被害が多発していることに気がつきにくく、警戒心が希薄になり隙や油断が生じやすくなるのです。

 このような実情を知っている専門家からみれば、「いま、子どもは家の近くで遊んでいるから大丈夫だろう」という認識は、とても危ないということになります。保護者の方は、8歳までの子どもはたとえ自宅の周辺であっても、屋外では注意と監視が必要だということを肝に銘じて守ってほしいものです。

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・防犯コンサルタント
・日本防犯診断士協会 常務理事

<中山 天(たかし)>
1948年 熊本県生まれ
1977年 東京出版株式会社 常務取締役就任
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第3回 保護者 パート2

 先日、最高裁で宮崎勤に死刑判決が下されました。
これで彼の死刑が確定したことになります。
ここで、死刑制度にたいして是非をいうつもりはありません。
死刑制度と園児を守るということは別の話だからです。

 話をもどします。彼に殺害されたのはなんの抵抗力もない、罪もない4人の女児です。逮捕されたきっかけは、自宅周辺で遊んでいた女児7歳に「写真のモデルになって」と声をかけ、車に乗せて山中へ連れ去り、裸にして写真をとっている現場に、女児が見知らぬ男の車に乗せられて連れ去られる場面を見た父親が、車を追いかけて駆けつけ取り押さえたからでした。
 父親の機転(危険察知力)がなければ、女児の生命は危機に直面していただろうし、この男も逮捕されずに犯行を続けていた可能性が高かった思われます。
 
 この事件で、注意すべきは被害にあった子どもたちは5人とも「4歳、7歳、4歳、5歳、7歳」という8歳未満の女児であったということです。
 この年齢の子どもたちにいかに自衛力がないかがわかります。8歳までの子どもに対して私が、保護責任のある「保護年齢」だと提唱していることを理解していただけると思う。このように、むごくて悲しい事件を尊い教訓として活かしおなじような悲劇を繰りかえさせないために役立たせることが、女児たちに対して私たちができる精一杯の合掌ではないかとおもいます。

 さらに、この事件には子どもをむごい犯罪にまきこませないためのいくつかの尊い教訓が残されています。最初の犠牲者になった女児4歳は、一人で、歩道橋を歩いているときに声をかけられています。次の7歳女児も、一人で、自宅近くで遊んでいるときに「道を教えて」と声をかけられています。3番目の女児4歳は、一人で、自宅のある団地の敷地内で遊んでいるときに「あったかいところへいこう」と声をかけられています。4番目の女児5歳も、自宅近くの公園で、一人で遊んでいるときに「写真をとってあげる」と声をかけられています。
 助かった5番目の女児7歳も、自宅の近くで、一人で遊んでいるときに、同じように「写真をとってあげる」と声をかけられています。
 8歳までの子どもを、一人で遊ばせることの危なさに気づいていただければと思う。

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・防犯コンサルタント
・日本防犯診断士協会 常務理事

<中山 天(たかし)>
1948年 熊本県生まれ
1977年 東京出版株式会社 常務取締役就任
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第2回 保護者 パート1

 1月16日、福島県の幼稚園で、園庭であそんでいた男児が、屋根から崩れ落ちてきた雪で死亡するという悲劇が発生した。
 悲しく残念な事故で、関係者の心痛や心情を思うと心が痛む。先生がたが、「庭の中央で遊ぶように、くれぐれも屋根の下にいかないように」と、何度も強く指導したにもかかわらず、悲劇が起きてしまった。

 子どもには、防犯年齢(安全年齢)というものがあることに気づいている人が少ないのが残念でしょうがない。0~8歳ぐらいまでの子どもは、どのように注意や指導をしてもあるいは、頭で理解できたとしても行動がともなわないのだ。(防犯指導を行なっている専門家でも気づいている人は少ない。)
 これをわたしは、防犯上の「保護年齢」と表現している。もちろん個人差はあるのだが、平均的には小2ぐらいまでの子どもをさす。だから、この年齢の子どもをお持ちの保護者、あるいは園関係者のかたは、片時も目を離していけないということを知っておいてほしいものである。

 保護者の場合、幼稚園までは園まで送迎して、小学校になると突然、送迎しなくなる方がすくなくない。しかし、小2までは親の送迎が必要なのだ。

 保護年齢の子どもは「屋外では1分以上」目を離してはいけない。これが保護年齢をもつ親の保護責任なのである。この年齢の子どもを守りたければ、園児のそばに常に保護者か関係者がいて、かたときも目を離さないで監視しておくことが求められる。
 ちょっと目を離したばかりに、今回の事故にかぎらず深刻な被害やダメージを受けたケースは枚挙にいとまがないぐらい発生しているのだから。 そんなことをいったって、「仕事や家事もあるし」と怒られる保護者の方も少なくないと思う。しかし、小2までの子どもを、仕事や家事の都合で放置せざるをえないならば、それだけのリスクを覚悟してもらわなければならない。
 なぜなら、今の日本はそれほど危ない社会だからということになる。
 こんにちの日本は、保護者のかたがたが過ごしてきた過去の社会環境とは、まったく変わってしまっているからです。

 私は子どもに関する講演で、保護者には防犯上3つの責任があると常々お話している。
 ひとつは保護責任、もう一つは指導責任、最後に結果責任である。今の日本はたいへん危ない社会で、自分だけがよければという我欲の社会になってしまっています。これをモラルハザード(倫理が崩壊した)社会という。
 このような危ない社会環境のなかで、迫りくる犯罪から園児を守るために必要な5つの防犯力があります。保護者、園関係者、行政関係者にはこの5つのテーマをしっかり知っていただきたいものです。

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第1回 防犯の基本

防犯診断士や防犯リーダーを指導・養成している日本防犯診断士協会常務理事で防犯コンサルタントの中山 天(たかし)です。

 子どもたちが襲われて、むざんな被害をうける事件が続発しています。そして、もっと深刻なことは、このような悲しい、悔しい事件がこれからも続くということです。
 その理由などを述べると、専門的な難しい解説になってしまいます。ここでは、子どもをお持ちのお母さまがたが「子どもをどうすれば守れるのか」ということに役立つようなお話をしてみたいとおもいます。
 どのような学習にも基本や定義があるように、防犯にも基本があります。そして最も大事なのがこの基本です。今回はその基本をわかりやすくお話します。

 近所に、病院に通院する母子がいました。男の子は小学校の低学年です。母子はそれぞれの自転車で通院していました。この母親は、信号が「青」になると、まわりにいる人びとが驚くほどの大きな声で「GO」と叫んで交差点を渡ります。この号令を聞いた男の子も、母親にならって「GO」と復唱しながら一目散に交差点を渡るのです。そして、信号が赤だと「STOP」といって止まります。その大きな声とメリハリのある行動で、近所では「元気のいい母子」ということで、とても有名でした。

 ある日のことです。交差点で信号が「青」に変わりました。自転車にのった男の子は、いつものように「GO」と大きな声をだして交差点をわたりはじめました。そこへ、信号無視の大型トラックが突っ込んできたのです。
 男の子は即死でした。トラックの運転手のわきみ運転が原因でした。
 信号が「青」ならわたって、「黄」なら注意、「赤」なら止まれぐらいのことはだれでも知っているルール(法律)です。では、なぜ、この男の子はルールを守っていたのに、尊い命を奪われることになったのでしょうか。
 運転手が悪い、そのとおりです。運転手が悪いに決まっています。それでは、もし、あなたやあなたの家族が被害者だとしたら、相手が悪いのだからしょうがないとあきらめますか?それで納得できますか?信号が「青」でも、車は必ず止まるとは限りません。わき見運転やいねむり運転、飲酒運転やよっぱらい運転、スピードのだしすぎや自動車の欠陥など、状況しだいで信号が「青」でもけっして安全ではないはずです。
 信号が「青」なら安全だと信じて交差点で命をなくした男の子に、自分は何も悪いことしていない、正しいことをしている。それでどうして被害を受けなければならないのかと自問自答する、多くの犯罪被害者やその家族のかたがの無念さ、悔しさがだぶってみえます。

 実は、自分や家族の生命や身体、財産を守るための防犯の基本というのは、「ルール」や「法律」を知ることではありません。
信号が青であっても、交差点に侵入してくる「車」に「危ない!」と感じれば、わたってはいけないのと同じように、自分が危ない、怖い、おかしい、変だ、いやだと感じたら、その場から離れる、遠ざかる、近づかないという行動ができなければならないのです。しかし、ほとんどの子どもは、何が危ないのか、なぜ危ないのか、どう危ないのかという、危険を察知するための知識がまったく備わっていないません。だから、簡単に犯罪に巻き込まれてしまうことになります。
 子どもたちが、とても簡単に犯罪に巻き込まれてしまのは、このような基本的な防犯の知識、何が危ないのか、なぜ危ないのか、どう危ないのかということをまったく知らないからです。知らなければ避けようがありません。さらに、抵抗力(体力)もありません。被害を避ける技術も知識も体力もないのです。だから、これからも子どもたちが犯罪に巻き込まれてしまうケースが、もっと増えることになると冒頭に申し上げたのです。

 もうひとつ問題なのは、子どもを保護し、指導する責任のある保護者や学校関係者の多くが防犯の基本的な知識すら備えていないことです。知らないものを教えることなどできるはずがありません。さらにくわえれば、防犯の指導方法すらわかっていない保護者や関係者が少なくありません。自分の子どもを守りたければ、基本的な防犯の知識と指導の要点ぐらいは学習することです。なぜなら、子どもの防犯の基本とは
1、保護者や関係者が、犯罪被害回避に役立つ知識を身につける。
2、小2までの子どもは身辺の保護が不可欠である。
3、小3までに、子どもたちの身につくように、被害回避に役立つ行動や習慣、生活ができるように、効果のある指導を行なう」ことだからです。

 現代社会は、子どもたちを(特に女児、女子を)狙う大人たち(その多くは男)が少なからず存在しています。しかも、現在の日本は、このような子どもたちを狙う犯罪者に対して、有効な抑止力がなにひとつ整備されていません。逆に、犯罪者をかばうような、援護するような風潮さえあるのです。
 そのような危ない社会の中で、子どもを守るために役立つことを何もしない、していないというのは無責任としかいいようがありません。
 ちょっと厳しい話になってしまってすみません。でも、この文をお読みのかたは違います。なぜなら、何とかしたいという気持ちをもっていらっしゃるからです。
そのような、あなたのために 次回は、子ども犯罪被害者にしないためには、保護者や関係者は何を学べばいいのか、どのように教えればいいのかということについてお話しをしてみたいと思います。
 今回はここまでにしておきます。

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・防犯コンサルタント
・日本防犯診断士協会 常務理事

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1977年 東京出版株式会社 常務取締役就任
1982年 東京出版株式会社 代表取締役就任
1999年 社業のかたわら続けてきた自力防犯・犯罪被害の回避力に 関する研究を実践するために会社を自主閉鎖(2006年5 ~6月には再建の予定)日本防犯診断士協会の設立準備を開始
2003年 特定非営利活動法人 日本防犯診断士協会設立 常務理事就任
総合防犯コンサルタントとして、防犯診断士 (防犯コンサルタント)の指導・育成、著述、各種防犯セミナーの講演 などを主な活動としている。
http://www.bouhanshindan.npo-jp.net