Monthly Archives: 1月 2005

第2回 生まれてきてくれてありがとう

 子どもが安定して自信に満ち溢れ確固たる自分を創るための第一歩、それは“自分は生まれてきてよかった”という安心感を得ることです。
 自分が生まれてきてよかったと思えるかどうか、それは親が自分という存在を喜んでくれているかどうかに大きく影響を受けます。生まれてきて良かったという感覚が十分でないと情緒が不安定になったり、大人になってから自分の存在感を感じることが出来なかったりします。
 私は、カウンセリングのクライアントさんに、自分が子どもになったつもりで、親があなたの存在を喜んでくれているかどうかを感じてみる演習を、時々やってもらいます。“私の親は私の誕生日を喜んでくれていないようです”と答えるクライアントさんほど、死にたい気分になることが多いという結果が出ています。
つまり、親が自分の存在を喜んでいるということは、「存在すること」「生きていくこと」への大きな栄養分になるのです。
 子どもは、自分と目が合ったときに親が嬉しそうに微笑むと、“私は喜ばれている”と思うことが出来るけれど、もし顔をしかめられてしまうと“私は喜ばれていない”と感じてしまいます。親が心の中で“子どもを愛している”といくら思っていても、子どもは親の態度や言葉で自分が愛されているかどうかを判断してしまいます。だから“あなたを愛している”と態度や言葉で伝えていくことが大切なのです。
時には、子どもを膝の上に乗せ、優しく抱きしめ、“生まれてきてくれて本当にありがとう”と嬉しそうに囁いてあげてください。
生まれてきてくれてありがとうの反対の意味になってしまう反栄養語には、以下のものがあります。

あなたが生まれてから私は苦労した
→私という存在がなければ親は苦労しなかったのにと感じることがあります。
あなたは橋の下で拾ってきた
→私はいなくても良かったんだと感じることがあります。
あなたさえいなければ私は○○できたのに
→私が存在したせいで親は幸せになれないと感じることがあります。

   生まれてきてくれてありがとう。
   本当にあなたが生まれたときに心からそう思ったんです。
   毎日忙しくて、ついつい忘れていただけなんです。
   言いたかったけど、少し照れくさかっただけなんです。
   思い出しました。あなたが生まれたとき、
   かわいいあなたのお世話が出来ることは、
   私の特権であり、神様のご褒美だと思ったんです。
   今日からあなたに私の気持ちを少しずつ伝えます。
   私のこともたくさん知ってください。
   あなたが私の子どもで生まれてくれて本当に嬉しい。
   本当にありがとう。
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幼稚園や小中学校での講演活動や個人カウンセリングで活躍中の心理カウンセラー、倉成 央がおくるコラム式カウンセリング。 講演現場での出来事やカウンセリングなどの実体験を織り交ぜながら、様々な心理的アドバイスを紹介していきます。
<倉成 央 (くらなり ひろし)> 心理カウンセラー、各種(文化サークル、専門学校等)心理カウンセリング講座講師。 診療内科医院などの紹介で個人カウンセリングを行っている。また不登校や引きこもり、家庭内暴力等子供の問題や、子育ての問題、母親のストレスケアーについても、多くのカウンセリングを実施している。 幼稚園や小中学校での講演活動も行っており、主な講演テーマには「こんな言葉が子供を傷つける」「ゆとりをもって子供と接するために」などがある。

第1回 イライラ解消術

 凶悪犯罪が多発し非行の低年齢化が進むという環境の中で、子育てがますます難しくなってきているように感じます。更に核家族化が進んだために、昔のようにおじいちゃんおばあちゃんが近くに居て子供の面倒を見てくれるわけでもないので、子育てについての母親の負担は増える一方です。そのためか子育てや子供の教育についてストレスを抱えてイライラされているお母さん方が増えています。私が幼稚園に講演活動などでお伺いし、お母さん方と直接お話させていただいたときに、お母さん方のストレスを以前より強く感じるようになりました。こんな環境なのですからイライラしても仕方ないと思います。しかしそのイライラを対処しないまま放置しておくと、身体に変調ををきたしたり、育児ノイローゼに発展することがあるのです。

私のカウンセリングルームにも育児ノイローゼ状態の方がカウンセリングを受けにいらっしゃいます。何度かのカウンセリングを受けるうちに次第に気分がすっきりされるようです。そして「今までよりイライラしなくなった」とか「子供のことが今まで以上にいとおしく感じられるようになった」といった変化がみられ、楽になられる方が多いようです。母親は24時間子供と一緒に居ます。母親に心の余裕があれば子供のわがままもかわいいと思えるものですが、心に余裕がないとちょっとしたことでもイライラしてしまうものです。「寝ているときは子供のことが可愛いのだけど・・・普段は腹の立つことが多くて」という状態は、心がストレスを感じ始めた証拠で、要注意かもしれません。それならば心に余裕を持って子供に接すればいいということになるのですが、これは頭でわかっていてもなかなか出来るものではありません。

どうして私たちは心に余裕がなくなってしまうのでしょう。実は心の余裕の有無は、環境以上に自分自身の心の中にその原因があるようです。「もっと~しなければならない」「思い通りにいかない」という小さな思いが自分の中に蓄積されていったとします。そしてそれが心の中にいっぱいいっぱいに貯まってしまったとしたら、もう色々なアクシデントに耐える余力はなくなってしまいます。ちょっと思い通りにいかないことがあっても、もう心の中では納めきれずに、子供にイライラをぶつけてしまったり、自分を責めてしまったりすることになります。こうやって育児のストレスは大きくなっているのです。
ですから、心の中に小さなストレスを貯めていかずに、ちょっとずつ処理していくことが大切です。

日々少しずつ小さなストレスを処理していくために、まず毎日自分を褒めてあげることから始めるのもひとつの方法です。毎日イライラしながらもこんなに頑張っている自分自身を認めてあげるのです。鏡に映った自分自身に「あなたは本当によくやっているよ。少しくらいイライラするのは当たり前よ。本当にお疲れ様、偉いね。」などとやさしく話しかけてあげるのです。自分を認めることは、ストレスを退治するひとつの方法なのです。

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幼稚園や小中学校での講演活動や個人カウンセリングで活躍中の心理カウンセラー、倉成 央がおくるコラム式カウンセリング。 講演現場での出来事やカウンセリングなどの実体験を織り交ぜながら、様々な心理的アドバイスを紹介していきます。

<倉成 央 (くらなり ひろし)> 心理カウンセラー、各種(文化サークル、専門学校等)心理カウンセリング講座講師。 診療内科医院などの紹介で個人カウンセリングを行っている。また不登校や引きこもり、家庭内暴力等子供の問題や、子育ての問題、母親のストレスケアーについても、多くのカウンセリングを実施している。 幼稚園や小中学校での講演活動も行っており、主な講演テーマには「こんな言葉が子供を傷つける」「ゆとりをもって子供と接するために」などがある。

第2回 お母さん、お父さんの魔法のことば 「まかせるよ。思った通りやってごらん」  

 何をやらせても「どうやるの?」「やってやって」。
「こうしてごらん」といっても「できなーい」。
「どうしてうちの子はこんなに自信がないんだろう。
もっと自分で何でもできる子になってほしいな。」よくそんな声を耳にします。
「こうしなさい、ああしなさいといろいろと教えてあげているのに・・・」

 実はこの「こうしなさい、ああしなさい」と指示ばかりしていることや、子どもがすることに注意ばかりしていること自体が、反対に子どもの自発性が育つのを阻害したり、また自信を失わせてしまっていることが多いのです。

 自信をつける方法はまず「判断力をつけること」です。
判断力をつけるためには「自分で判断する機会をたくさんつくること」が大切です。

 そこでお母さん、お父さんの魔法のことばの登場です。
 「まかせるよ。思った通りやってごらん」

 このことばを子どもに何か手伝ってもらうときや何かに挑戦しようとしているとき、また「やって」「できない」と子どもがいってきたときに繰り返し使ってあげてください。

  ただし、結果については認め、ほめてあげることを決して忘れないでください。もし、結果が思わしくなくてもチャレンジしたことをまずほめ、それから注意する点をいってあげる。これを繰り返してください。

 園でこのことばを使い始めたとき、そのすばらしい効果には驚かされました。

 ご家庭でもこの「魔法のことば」を早速使ってあげてください。

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幼稚園ねっとにご登録いただいている幼稚園コラムです。 各幼稚園のコラムを順次ピックアップして紹介していきます。

かすが幼稚園 理事長・園長 米川安宜
京都市右京区の私立園。園長は同志社大学法学部卒業後、國學院大學で神道学、佛教大学で幼児教育を学ぶ。キリスト教、神道、仏教と三つの宗教の大学で学んだ特異な経験をもつ。「子どもは大人よりも能力が高い」という目で子どもと関わり、子どもの脳の発達にあった教育と、積極的な心構えを育てる新しい幼児教育を行っている。また、「幼児期こそ、しつけの最適期」として、しつけ・礼儀、道徳教育も重視している。 (http://www.kasuga.ed.jp/)

第1回 抱きしめる、という会話

 私どもがいつも感じ、思うこと。それは保護者の方の力、特にお母さんの力の偉大さ、です。

 「子どもたちを見ているとご家庭の様子がわかります」と、私はよく皆様にお話しをします。そして「親の背中を見て子どもは育つ」と言い習わされてきましたが、ある面でそれは正しいなあ、と思わされます。

 お母さんの気持ちや愛情が「豊か」だと、お子様の気持ちも豊かです。しかし、どことなく余裕のない気持ちをお持ちだと、それも伝わってしまう、そんなことをよく感じます。

 数日前、「24歳母 乳児下腹部切る」「塾行かぬと小2長男絞殺」など、殺伐とした見出しが新聞紙面に躍っていました。なんとも胸が痛みます。前者の事件は「母親の幼児期の虐待体験から来る男性不信で発作的にやった」と記してありました。

 ここで思うのは、まず、やはり幼児期の「幼児体験」「原体験」といわれるものの影響の大きさです。「6歳までの体験は後の人生に大きな影響を与える。だからこそ、今を大切にして、褒め、励まし、認める子育てをしてください」、これもよくお話しすることです。

 次に思うことは、いくら自分が幼児期に虐待を受けていたとしても、それを抑えることがなぜできなかったのか、ということです。虐待まがいのひどいことを受けてきたすべての母親が、このような事件を起こすとは思えません。深い心の傷はあるけれど、だからこそ、自分の子どもに対しては深い愛情で接する、という子育てをされている方も多くいらっしゃるはずです。

 「抱きしめる、という会話」
今、新聞やテレビで公共広告機構がコマーシャルを流しています。

 簡単だけど、とても大切なことだと感じます。

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幼稚園ねっとにご登録いただいている幼稚園コラムです。 各幼稚園のコラムを順次ピックアップして紹介していきます。

かすが幼稚園 理事長・園長 米川安宜
京都市右京区の私立園。園長は同志社大学法学部卒業後、國學院大學で神道学、佛教大学で幼児教育を学ぶ。キリスト教、神道、仏教と三つの宗教の大学で学んだ特異な経験をもつ。「子どもは大人よりも能力が高い」という目で子どもと関わり、子どもの脳の発達にあった教育と、積極的な心構えを育てる新しい幼児教育を行っている。また、「幼児期こそ、しつけの最適期」として、しつけ・礼儀、道徳教育も重視している。 (http://www.kasuga.ed.jp/)

第15回 子どもといっぱいお話しましょう ~言葉は大きな力となります~

街がクリスマスのイルミネーションで彩られる季節になってきました。本屋さんでは、冬にちなんだ物語やクリスマスのお話が絵本のコーナーに並んでいます。お孫さんへのプレゼントでしょうか、熱心に絵本を選ばれている方にも出会いました。

 さて絵本といえば、お子さんに絵本を読んで聞かせているお母さんなら、思い当たることがあるかもしれません。同じお話を何回も読んで、とせがまれたことはありませんか? また、話をはしょって読み飛ばしたりすると、そうじゃないとやり直しさせられたりすることはありませんか?
幼児期は爆発的に言葉を習得している時期なので、同じ話を何回も聞いて分かることが楽しいし、言葉そのままを覚えるので、正確に読んでもらえないと違和感を感じるのです。

 3、4歳になると文字に対する興味や関心が出てくるので、看板の字が読めるようになったり自分で字を書きたがったりするようになります。このような『文字に対する敏感期』に、適切な方法で書き言葉を身につける環境を用意するのはもちろん大切なことで、モンテッソーリの園では『言語』という1つの分野として活動があります。親御さんもお子さんの文字の習得を意識されはじめるようです。しかしながら、言葉に対する関心はもっと前から始まっています。0歳のうちから『話し言葉の敏感期』は始まっているのです。

 子どもは、言葉を習得する能力を持って生まれてきます。ただし、環境の中に言葉がなければ、いくら人間の子どもとして生まれてきたからといっても、ひとりでにしゃべれるようになるわけではありません。周りに豊かな話し言葉の環境が必要なのです。
周りのことなどまだ何も分からないように見える0歳の赤ちゃんにも、お母さんは「おなか空いたのね、おっぱいにしましょうねー。」というふうに話しかけたりしますね。これもお母さんが用意してあげられる大切な言語環境です。赤ちゃんはお母さんの温もりや愛情とともに自分に向けられたメッセージをしっかり感じ取っています。たとえ今返事をしなくても、話しかけられたり家族のおしゃべりを聞いたりといった豊富な話し言葉の環境に取り巻かれていると、子どもの内面ではたくさんの言葉が吸収されていきます。そのうちに楽しいおしゃべりをしてくれることでしょう。

 人類が進化してきた道のりで、私たちの直接の祖先といわれているホモ・サピエンスが最後に生き残ったのは、言葉を操る能力を持っていたからだとも言われています。新しい進化が、考えを組み立てたり知識を伝えたりする力、すなわち言葉によってもたらされたというのは、とても大きな意味があると思います。子どもたちの中にその能力は受け継がれているのですから。

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新宿区河田町にあるWASEDA Frontier Kids Learning Centerの園長、橋本 恵理が、自らの子育て経験を活かし、モンテッソーリ教育の内容を身近な例を挙げながら紹介。「個性と自立心を養う」教育法であることをお伝えしていきます。

<橋本 恵理 (はしもと えり)> 早稲田大学理工学部卒業。大手保育事業会社にて認可保育園や駅型保育所などの立ち 上げ経験を持つ。2003年、幼児教育におけるベンチャー企業である㈱フューチャーフ ロンティアーズ取締役(COO)に就任。現在、新宿区河田町にモンテッソーリメソッ ドをベースに日本人を対象としたインターナショナルスクール WASEDA Frontier  Kids Learning Centerの園長として、また2児の母としても活躍中。

第14回 天気のいい日は散歩に出かけましょう ~子どもと歩く~

雨の多かったひと月でしたが、皆さん元気にお過ごしでしたか。雨が続くと、専らお子さんと家の中で過ごす時間が多くなります。こんな気候だからこそ、晴れた日には時間をつくってお子さんと散歩に出かけてみませんか。
一人で歩けば10分の道のり、今日は1時間と覚悟してパン屋さんにお買い物という手もあります。

子どもを外出に誘ったら、トイレを済ませ上着を着、靴をはいて・・・と身支度をするわけですが、これは子どもが自分の身の回りのことをできるようになるチャンス。「トイレに行っておこうか」「上着を着ましょう」のように一つづつ声をかけて支度をします。自分でできないところは、「ここが袖。手をいれようね」といったように、意識づけてお手伝いしましょう。『物事をしっかり見る』という姿勢はこんなことでも養われていきます。

さあ、久しぶりの晴れ間に外に出ると、いろんな発見があることでしょう。
空の青さ、乾いたアスファルト、日陰の湿った草むら、色づいた実をいっぱいつけた柿の木に出会うかもしれません。お子さんがどんなものに興味を持つのかあらためて知ることもできます。側溝の穴に小石を落としてみたり、縁石の上ばかり歩きたがったり、階段が好きだったり。ベビーカーで出かけていた時には気づかなかったものに、お子さんが気づかせてくれることもあります。お子さんとの時間を楽しみながら歩いてください。
横断歩道を渡る、車の通る道を歩く、踏切を渡るなど、子どもと歩く際には危険なところがいくつかあります。コースを考えるとともに、手をつないで歩きながら、いずれ一人で歩いていけるようになるために何を示しておくべきか、考えておくことも必要でしょう。

人類が進化してきた道すじで大きなターニングポイントとなったのが、二本足で立って歩いたことでした。この後、私たちの祖先は、手を使い指先を駆使して脳を発達させ、私たちはヒトとしてここまで発展してきました。
お母さんのおなかの中から生まれてきた一人の子は、その昔海からの上陸を果たした祖先のように、生命の進化をたどりながら成長し、今ヒトとして歩み始めています。
私は人類の進化に立ち会っているのだ、と思いながらお子さんと一緒に歩くのも、楽しいと思いませんか。

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新宿区河田町にあるWASEDA Frontier Kids Learning Centerの園長、橋本 恵理が、自らの子育て経験を活かし、モンテッソーリ教育の内容を身近な例を挙げながら紹介。「個性と自立心を養う」教育法であることをお伝えしていきます。

<橋本 恵理 (はしもと えり)> 早稲田大学理工学部卒業。大手保育事業会社にて認可保育園や駅型保育所などの立ち 上げ経験を持つ。2003年、幼児教育におけるベンチャー企業である㈱フューチャーフ ロンティアーズ取締役(COO)に就任。現在、新宿区河田町にモンテッソーリメソッ ドをベースに日本人を対象としたインターナショナルスクール WASEDA Frontier  Kids Learning Centerの園長として、また2児の母としても活躍中。

第13回 トイレトレーニングと自立 ~トイレトレーニングは自分で脱ぎ着ができるようになるチャンスです~

しばらく続いた暑さもようやく終わり、秋の気配が少しずつ色濃くなってきました。
さてこの夏、おむつ外しに挑戦したけどだめだったわ、というお宅もあったことと思います。おむつが外れる時期は、季節にかかわらず子どもの成長と密接な関係があるようです。

子どもの体は脳の発達に伴って機能が充実していきます。寝返りを打つ、ハイハイをする、歩く、というおもてに現れる成長は、お子さんの脳のなかで起こっている変化でもあるのです。
おしっこが出る、とか出たとかの感覚を自覚するというのも、そのひとつです。遊んでいる途中に体をぶるっとさせたり、部屋の隅に行ってじっとしていたりといったサインが見られたら、トイレトレーニングができる時期になったなと思ってください。 

トイレトレーニングは子どもが自分の身の回りのことをできるようにするよい機会でもあります。
トイレに誘ってタイミングが合わなくても、がっかりすることはありません。パンツやズボンの着脱を練習するチャンスです。
パンツ型のおむつ又はトレーニングパンツと、子どもが自分でふちを持ちやすいゴムのウエストのズボンを用意します。子どもがトイレから出たら、床に座った足の先に、パンツ、ズボンの順にはけるようにそれぞれを置きます。
パンツのゴムの部分を子供に持たせて片足ずつ通し、ひざの上まで上げるように補助します。子どもに立ってもらってウエストまで上げるのを助けます。おしりが引っかかることが多いので、主に後ろのほうを補助するといいでしょう。ズボンがある場合も同様です。
「自分で履けたね。出来ないところはお手伝いするから次も自分で履いてみようね。」
これを、トイレに行くたびに繰り返していれば、トイレトレーニングが完成する頃には自分でパンツの脱ぎ履きもできる子に育ってくれていると思いませんか?

自分の身の回りのことが出来るようになることは、自分でトイレにいけるようになるのと同じように大切です。
モンテッソーリの教育は教具を使ってするお仕事だけをさすのではありません。普段の生活の中で子どもの自立を助けるいろんな方法を、ご家庭でも工夫して、楽しく子育てしていきましょう。

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新宿区河田町にあるWASEDA Frontier Kids Learning Centerの園長、橋本 恵理が、自らの子育て経験を活かし、モンテッソーリ教育の内容を身近な例を挙げながら紹介。「個性と自立心を養う」教育法であることをお伝えしていきます。

<橋本 恵理 (はしもと えり)> 早稲田大学理工学部卒業。大手保育事業会社にて認可保育園や駅型保育所などの立ち 上げ経験を持つ。2003年、幼児教育におけるベンチャー企業である㈱フューチャーフ ロンティアーズ取締役(COO)に就任。現在、新宿区河田町にモンテッソーリメソッ ドをベースに日本人を対象としたインターナショナルスクール WASEDA Frontier  Kids Learning Centerの園長として、また2児の母としても活躍中。

第12回 生活の中で子どもは自分を成長させます ~水に親しむ~

暑い日々が続いていますが、お子さんといっしょにどんな毎日をすごしていらっしゃいますか。ぬれても気にならないこの季節、水に親しむにはいいチャンスです。冷たくて気持ちがいいだけでなく、触ると確かに手ごたえはあるのに握ることは出来ない不思議な存在。そして赤ちゃんにとってはお母さんのおなかの中の記憶ともどこかでつながっている懐かしい存在かもしれません。

そのせいでしょうか。子どもたちは水が大好きです。石鹸を使って手を洗うことを覚えると、もうきれいになった手を何度も何度も繰り返して石鹸で洗おうとする子も珍しくありません。 
おとなにとっては手の汚れを落とすのが目的で、きれいになったらもうおしまい、というのは当然のことなのですが、子どもは違います。水道から出る水が洗面器にたまったり、ちょうどいい分量のところで自分で水を止めることができたり、石鹸をこするとぬるぬるしたり、手をこすり合わせると泡が増えていったり、というような手を洗う過程自体が楽しいのです。すこし大きくなると、このような興味も消えてしまうので、もしこんなお子さんの姿を見たら、できるだけ見守ってあげたいですね。

でも、その後は洗面台のまわりがびしょびしょ。「あーあ」とため息をついてふき取っていたお母さん、子どもが扱いやすい大きさの小さな雑巾を用意しましょう。洗面台に飛び散った水、床にこぼれた水に気づかせて、雑巾でゆっくり拭いてみせます。水が吸い取られてきれいになったら、「きれいになったね。気持ちがいいね。Aちゃんの雑巾はここに置くことにするから、水がこぼれたときにはこうやって拭こうね。」
ここで、子どもは拭くという行為に興味を持つかもしれません。リビングでお茶をこぼしてしまったときに、雑巾で拭くことを思い出すかもしれません。それとも、顔を洗って洗面台を汚したお父さんに、雑巾で拭くときれいになるんだよ、と教えてあげるかもしれませんね。ぬれた雑巾を絞っているお母さんを見て、出てくる水に興味を持つ子もいるでしょうし、私が絞るという子も出てくるでしょう。

スポンジが水を吸うように、いろいろなことを吸収するこの時期に、日々変化していく子どもと過ごす時間は宝物だと思います。ちょっとした工夫が子どもを育て、子どもの世界を広げます。楽しみながら子育てしていきましょう。

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新宿区河田町にあるWASEDA Frontier Kids Learning Centerの園長、橋本 恵理が、自らの子育て経験を活かし、モンテッソーリ教育の内容を身近な例を挙げながら紹介。「個性と自立心を養う」教育法であることをお伝えしていきます。

<橋本 恵理 (はしもと えり)> 早稲田大学理工学部卒業。大手保育事業会社にて認可保育園や駅型保育所などの立ち 上げ経験を持つ。2003年、幼児教育におけるベンチャー企業である㈱フューチャーフ ロンティアーズ取締役(COO)に就任。現在、新宿区河田町にモンテッソーリメソッ ドをベースに日本人を対象としたインターナショナルスクール WASEDA Frontier  Kids Learning Centerの園長として、また2児の母としても活躍中。

第11回 豊かな感覚を育もう ~感覚教育はお母さんもいっしょに楽しむところから始まります~

 まわりの環境から必要なものをどんどん吸収していく乳幼児期には、特別に敏感な感受性を発揮する「敏感期」が訪れます。
 今日はその中で、「感覚の敏感期」と呼ばれる時期に対応している「感覚教育」についてお話ししましょう。

 私たちがまわりのものを知るための窓口となっているのが、「目、耳、鼻、皮膚、舌」という感覚器官です。「目で見る」「耳で聞く」「鼻でにおいを嗅ぐ」「手で触る」「舌で味わう」というように、五感を使うことによってその刺激は脳に伝わり、脳はそれを認識し必要な指令を体の器官に伝えます。
さて、私たちが生きていくために必要なこの五つの感覚が完成されるのが幼児期です。
 お子さんが、上空を飛ぶヘリコプターの音にいち早く気づいたりしたことはありませんか。またお気に入りのぬいぐるみやタオルの感触やにおいを楽しんでいつまでも離さないといった経験をお持ちの方もいらっしゃることでしょう。
 子どもは身近な環境を懸命に知ろうとする中で、音や肌触りといった情報のわずかな違いを見分ける力をつけていきます。このために、それぞれの器官をよりよく使って感覚を洗練させていく感受性が敏感になります。人間として発達していくために、この「感覚の敏感期」に、外界から感じ取る感覚を磨いておく必要があるのです。

 モンテッソーリ教育には、この敏感期に対応した「感覚教育」という分野があります。モンテッソーリの園を見に行くと特徴的な「はめ込み円柱」「ピンクタワー」「茶色の階段」「赤い棒」などの教具は、子どもたちが感覚を用いてそれぞれのわずかな違いを比べて段階づけていくという活動に使われます。
 これらは子どもの発達に則した優れた教具ではありますが、大切なこの「感覚の敏感期」にご家庭でも出来ることはたくさんあります。

 毎日の生活の中でお子さんにいろんな体験をさせてあげてください。お散歩の途中で青空を見たり、夕焼けの空を鑑賞したり、ときには雨を手のひらに受けてその感触を楽しんだっていいんです。洗面器に水を汲んで水遊びも子どもは大好きですし、お母さんが歌を歌ってあげるのもいいでしょう。軟らかいおやつとちょっと歯ごたえのあるおやつ、甘い味つけとちょっと酸っぱい味つけ、カレーのにおいやホットケーキの焼けるにおい。なあんだと思われるかもしれません。でもお母さんもいっしょに楽しむ生活の中に、感覚を豊かに育むチャンスは潜んでいるのです。

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新宿区河田町にあるWASEDA Frontier Kids Learning Centerの園長、橋本 恵理が、自らの子育て経験を活かし、モンテッソーリ教育の内容を身近な例を挙げながら紹介。「個性と自立心を養う」教育法であることをお伝えしていきます。

<橋本 恵理 (はしもと えり)> 早稲田大学理工学部卒業。大手保育事業会社にて認可保育園や駅型保育所などの立ち 上げ経験を持つ。2003年、幼児教育におけるベンチャー企業である㈱フューチャーフ ロンティアーズ取締役(COO)に就任。現在、新宿区河田町にモンテッソーリメソッ ドをベースに日本人を対象としたインターナショナルスクール WASEDA Frontier  Kids Learning Centerの園長として、また2児の母としても活躍中。

第1回 ごっこ遊びのなかで育まれるもの~その1~

はじめまして。「ゆっこせんせい」こと「さとうゆきこ」と申します。
12年間、保育園に勤務し、たくさんのこどもたちと、たくさん遊んだ経験から、私なりに気づいたこと・発見したことを、お話していきたいと思います。

園生活のなかで、またはお家の周りで、子どもが友達と自由に遊べる時間や場所は、どのくらいあるでしょうか。
3~5歳になった子どもたちにとって、少~し大人の目から離れて、友達同士の世界でたっぷり遊ぶ時間はとても大切です。
この時期の子どもに不可欠な遊びの一つが「ごっこ遊び」です。
そして、「ごっこ遊び」のなかで自然に育まれる力の一つが、「イメージの共有」=「コミュニケーション能力」なのです。

例えば、レストランごっこをしようとする時、子どもはそれぞれ自分の体験をも
とに遊びを作っていきます。
「この本、メニューにしよう。」
「うん。はじめに、お水を持ってくるんだよね。」
「ケーキもあるレストランにする?」
「うん、そうしよう。」
「ラーメンもあるよね?」
「ラーメンはないよ。」
「ラーメン、あるよう。食べたことあるもん。」
「それはラーメンやさんでしょ?」
「レストランには、ないかな・・・」
「ないよ。」
「うん、わかった。ラーメンはないレストランね。」
自分の体験と相手の体験は異なるけれども、それを言葉で伝え合い、想像力を働かせ、友達と共通のイメージを作り上げていく・・・そのイメージがピタリと合い、ふくらみを持つと、子どもの遊びは大変盛り上がります。
何十分でも一つの遊びが続くこともありますし、また、次の日も続きを遊びたいと思うでしょう。

こんな遊びの体験をたくさんした子どもは、友達が大好きになり、友達の言葉に自然と耳を傾けることができるようになります。それが、高いコミュニケーション能力につながっていくと思うのです。

お母さんや先生が、「お友達と仲良くしなさい」「よくお話を聞きなさい」と言い聞かせても、そういった能力は教え込んで身に着くものではありません。
豊かな子ども同士の遊びのなかにこそ、高いコミュニケーション能力を育む種が蒔かれているのです。

「ごっこ遊び」の素晴らしさは、まだまだありますが、それは、また次回にしたいと思います。

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元保育士の「ゆっこせんせい」が12年の保育経験を活かして、子供たちとの遊びの中で気づいたこと、発見したことなどを中心にお届けしていきたいと思います。

<さとうゆきこ>
筑波大学心理学専攻、中退。92年、私立保育園就職。勤務しながら、保育士資格取得。0歳~5歳の各歳児の保育に携わる。04年、退職。現在は、HP「ゆっこせんせいのおもちゃ箱」にて、オリジナル手作り布おもちゃを発表し、布おもちゃの素晴らしさを伝えるべく、活動中。7歳と9歳の男の子の母でもある。
HP「ゆっこせんせいのおもちゃ箱」:http://yukkotoy.com/