第2回 保護者 パート1

 1月16日、福島県の幼稚園で、園庭であそんでいた男児が、屋根から崩れ落ちてきた雪で死亡するという悲劇が発生した。
 悲しく残念な事故で、関係者の心痛や心情を思うと心が痛む。先生がたが、「庭の中央で遊ぶように、くれぐれも屋根の下にいかないように」と、何度も強く指導したにもかかわらず、悲劇が起きてしまった。

 子どもには、防犯年齢(安全年齢)というものがあることに気づいている人が少ないのが残念でしょうがない。0?8歳ぐらいまでの子どもは、どのように注意や指導をしてもあるいは、頭で理解できたとしても行動がともなわないのだ。(防犯指導を行なっている専門家でも気づいている人は少ない。)
 これをわたしは、防犯上の「保護年齢」と表現している。もちろん個人差はあるのだが、平均的には小2ぐらいまでの子どもをさす。だから、この年齢の子どもをお持ちの保護者、あるいは園関係者のかたは、片時も目を離していけないということを知っておいてほしいものである。

 保護者の場合、幼稚園までは園まで送迎して、小学校になると突然、送迎しなくなる方がすくなくない。しかし、小2までは親の送迎が必要なのだ。

 保護年齢の子どもは「屋外では1分以上」目を離してはいけない。これが保護年齢をもつ親の保護責任なのである。この年齢の子どもを守りたければ、園児のそばに常に保護者か関係者がいて、かたときも目を離さないで監視しておくことが求められる。
 ちょっと目を離したばかりに、今回の事故にかぎらず深刻な被害やダメージを受けたケースは枚挙にいとまがないぐらい発生しているのだから。 そんなことをいったって、「仕事や家事もあるし」と怒られる保護者の方も少なくないと思う。しかし、小2までの子どもを、仕事や家事の都合で放置せざるをえないならば、それだけのリスクを覚悟してもらわなければならない。
 なぜなら、今の日本はそれほど危ない社会だからということになる。
 こんにちの日本は、保護者のかたがたが過ごしてきた過去の社会環境とは、まったく変わってしまっているからです。

 私は子どもに関する講演で、保護者には防犯上3つの責任があると常々お話している。
 ひとつは保護責任、もう一つは指導責任、最後に結果責任である。今の日本はたいへん危ない社会で、自分だけがよければという我欲の社会になってしまっています。これをモラルハザード(倫理が崩壊した)社会という。
 このような危ない社会環境のなかで、迫りくる犯罪から園児を守るために必要な5つの防犯力があります。保護者、園関係者、行政関係者にはこの5つのテーマをしっかり知っていただきたいものです。

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・防犯コンサルタント
・日本防犯診断士協会 常務理事

<中山 天(たかし)>
1948年 熊本県生まれ
1977年 東京出版株式会社 常務取締役就任
1982年 東京出版株式会社 代表取締役就任
1999年 社業のかたわら続けてきた自力防犯・犯罪被害の回避力に 関する研究を実践するために会社を自主閉鎖(2006年5 ?6月には再建の予定)日本防犯診断士協会の設立準備を開始
2003年 特定非営利活動法人 日本防犯診断士協会設立 常務理事就任
総合防犯コンサルタントとして、防犯診断士 (防犯コンサルタント)の指導・育成、著述、各種防犯セミナーの講演 などを主な活動としている。
http://www.bouhanshindan.npo-jp.net