第17回 「忘れる」と「記憶していない」は違う!

 幼稚園で毎日繰り返し行っているルーティーン(日課活動)、いろんな動植物、絵画、俳句、論語などなど本当に多種多彩にわたっています。先月書いた、BOI(Bit Of Intelligence)を増やすのがこの活動の目的です。

 さて、お母様はじめ保護者の方から、「子どもって、結構いろんなことを覚えますけど、すぐに忘れてしまいます」という声を聞くことがあります。確かに、すぐ忘れてしまうかも知れません。でも、「忘れる」ということと、「記憶していない」ということは根本的に違うものなのです。

 あるものを見たとき、視覚を通して脳に入り、最終的には「海馬」といわれるところに、すべて記憶として残されていきます。

 例えばこんな経験を、誰もがおもちではないでしょうか?初めての場所に一泊で家族旅行に行った。いいですねぇ。温泉に入ってゆっくりくつろぐ。楽しい時間はあっという間にたってしまう。

帰りの電車で、ぼんやり窓の外を眺めていると、「あ、この看板、昨日、行きに見たな。この景色、覚えてる。この駅、この踏み切り、そうそう行きに通過したな」。

 いかがですか?行きの電車の車窓から、「この風景、看板を覚えておかなければ…」というわけではないにもかかわらず、記憶には残っている。

 これが本当の意味での「記憶」なのです。付け加えれば、イメージ・感性を主に司る「右脳」の働きなのです。

 6歳までの幼児期は、特にこの能力が優れて活発に働く時期です。子どもたちは「忘れる」かも知れませんが、「記憶」にはしっかりとそのイメージや情報は残っているものなのです。

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かすが幼稚園 理事長・園長 米川安宜
京都市右京区の私立園。園長は同志社大学法学部卒業後、國學院大學で神道学、佛教大学で幼児教育を学ぶ。キリスト教、神道、仏教と三つの宗教の大学で学んだ特異な経験をもつ。「子どもは大人よりも能力が高い」という目で子どもと関わり、子どもの脳の発達にあった教育と、積極的な心構えを育てる新しい幼児教育を行っている。また、「幼児期こそ、しつけの最適期」として、しつけ・礼儀、道徳教育も重視している。 (http://www.kasuga.ed.jp/)