第16回 「生きる力」、園長の考え方

 「生きる力を育む教育」。文部科学省が打ち出し、その延長のひとつが「ゆとり教育」でした。

 まず「ゆとり」を、と、量的・質的に教える内容を減らした。
その結果、生きる力を育むどころか、基礎学力の驚異的な低下をまねき、さらに命を「殺傷」する子どもをも育ててしまうことになった、みなさんもよくご存知のとおりです。

 先日、ある小学校の先生が、
「お役人の『机上の空論』ですわ。現場のことを何もしらない」と
嘆いておられましたがまったく同感です。

 さて、かすがようちえんでは、「生きる力」とは、つまるところ「問題解決能力」だと考えています。

 わかりやすく説明しましょう。

 たとえば、バトミントンをしていて、誤って屋根に羽根が乗ってしまった(1. 問題の発生)。
 羽根をとる方法を考える(2. 検討)。
 考え付いたさまざまな方法を、最善の方法で試みる(3. 実行)。
 うまくいかなければ修正する(4. 修正・変更・調整)。
 羽根を取ることができた(5. 解決・適応)。

 これが、すべての「問題解決」の手順です。そして、この中でもっとも大切なものが、「2.解決法の検討と?修正・変更・調整」だと考えます。

それを多種多彩に、数多く考え出す能力がもっとも大切だ、そう考えているのです。

 その要素の単位をBOI(Bit Of Intelligence)つまり「情報・知識の粒」と呼んでいます。毎日のルーティーンで、子どもたちが「ビーオーアイ!」といっているものもこのひとつです。

 これが多ければ多いほど、その組み合わせのパターンが累乗的に多くなり、問題解決にいたる「方法の選択肢が多くなる」=本当の意味で「賢い」=「生きる力が豊か」に育つ、そう私は考えています。

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かすが幼稚園 理事長・園長 米川安宜
京都市右京区の私立園。園長は同志社大学法学部卒業後、國學院大學で神道学、佛教大学で幼児教育を学ぶ。キリスト教、神道、仏教と三つの宗教の大学で学んだ特異な経験をもつ。「子どもは大人よりも能力が高い」という目で子どもと関わり、子どもの脳の発達にあった教育と、積極的な心構えを育てる新しい幼児教育を行っている。また、「幼児期こそ、しつけの最適期」として、しつけ・礼儀、道徳教育も重視している。 (http://www.kasuga.ed.jp/)