第9回 「英語より大切な会話」

Aloha! この4月は日本では年度始めですね。お子さんが入園された方、ご入園おめでとうごさいます。私が日本にいた時、娘二人を入園させてほっとしたことを思い出します。桜の舞い散る下で、私から離れてゆく娘達を頼もしく思ったり、心配に思ったり、、、、、揺れる親心はまるで桜の花びらのようでした。この春同じような経験をされたお母様、お父様、ご心配いりません。お子さん達は、しっかりと大地を踏んで成長しますから、お二人の愛情を春の日のように注いで上げてくださいね。(春の日差しには意味があるのです。夏の太陽のような直接的愛情では、子どもが焼けどしてしまいます。ご夫婦の間の愛情からもれる間接的愛情で子どもはちょうど良く育つそうです。正に春の日で良いのです。)実は私は満開の桜を10年ぶりに満喫して日本から戻ったばかりです。一緒に連れて行った14歳になった息子は、日本の御伽噺(おとぎばなし)の中でしか知らなかった桜を、充分に堪能しました。日本人にとっての桜は、春、門出、出発、不安、希望、と重なり合っているようですね。

日本に行く度に、英語会話上達にかける日本人の熱意に驚かされます。今回も同じです。短期間で絶対に英語が話せれるようになる教材とか、駅前留学の広告も実に素晴らしい口上書きが車内一杯に掲げられていたり、英語の早期教育が益々盛んに浸透している事実も見たり聞いたりいたしました。英語が国際語として通用していることは確かです。英語で自由に自己表現出来ることは、国際社会で一人の人間として活動する上で、無くてはならないスキル(能力)です。ですから、早くからそのスキルを子どもの身につけさせようとする親の気持ちも解ります。ましてや英語が小学校の教科になるとなれば、当然でしょう。

でも私には、手放しでこの傾向を奨励するのには、疑問が伴います。どこの国の人でも、どの国の言語でも、言葉に長けている人には「人間好き」な人が多いようです。まして外国の言葉に長けている人は、「人間好き」プラス「健康的な好奇心(ゴシップなどではない、知識としての好奇心)」を持ち合わせていないと外国語の上達は困難です。そのためには会話を掘り下げる語学力が必要となります。自動翻訳機のように、ある単語や文章を右から左に置き換えるような会話には、やはり深みが伴いません。意思疎通は出来ても、人間としての関わりを深める会話にはなりません。これでは、バスに乗れたりパンを買えたり出来るでしょうが、友達は出来ませんし交渉ごとも実を結びません。

深みのある会話(事実を伝えるだけでなく、何故そうなったか、どうしてそう考えるのか等個人の意見を盛り込ませるように仕向ける会話)を子どもに教えるためには、やはり親子ともに自由に意思が通じ易い言語を使用することが必要です。私は娘二人とはずーと日本語で会話をしていたので、今でも深みのある会話でも私とは日本語です。時々娘達の単語や表現が見つからないと、私の英語力を加えて確認したりします。しかし息子とは英語なので、私の英語力がもどかしくなると会話もギクシャクしてきます。(特にテ―ンエイジャーの今風英語には私はお手上げです。)主人はそれを心得ているので、息子の深みのある会話は、英語で主人が訓練しています。

話をしながら考える。その考えに応じる相手の反応を吟味し又言葉を返す。相手の反応を理解するために確認したり、疑問を投げかけたり、又は違いを指摘して相手の反応を又伺う。会話とはそのように進むものではないでしょうか。英語の単語を覚えること以上に、日本語で深みのある会話をするほうが会話力の育成に大いに役立つとは思いませんか?後に英語を学んだ時、その会話力があれば英会話力は抜群に、しかも容易に会得できるはずです。幼児でも深みのある会話が出来るか疑問ですか?単語は少なくても、彼らの感性は大人の私達以上に豊かですから、大人同士よりも深みのある会話が出来る可能性は大いにあります。今夜はお子さんと深みのある会話にチャレンジしてみて下さい。

ノブコ タカハシ ムーア
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ハワイの花
ハワイには一年中さまざまなトロピカルフラワーが色鮮やかに咲ておりますが、花の種類によって時季はあります。ハワイの州花は黄色のハイビスカスです。
このハイビスカスだけでも、様々な色(赤、ピンク、紫、黄色、白、霜降りや二色のぼかし等)が楽しめますし、大きさや花びらの種類(しわのよった柔らかい花びらや、はりのある花びら等)も様々です。どうやらハワイには花好きの人が多く、品種改良を色々と試みている結果のようです。道端に咲いている花を失敬して髪に飾る女性もいますが、男性もいます。ハワイでは男性にも花が似合います。きっと日焼けした肌と明るい太陽光線の演出のお陰でしょうね。
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多民族社会ハワイから異文化理解に役立つ情報を発信している スクール ハウス インターナショナルの運営者です。異民族間 結婚の家庭で育つお子さんの生活環境、多民族化がすすむ日本社会 で国際人教育を必要とされている日本の子どもたちの家庭環境を 一日も早く整えるために、自分の体験に基ついて語ります。 ご参考にしていただければ、大変嬉しいです。

<ノブコ タカハシ ムーア>
関東学院女子短期大学英文科卒業後、デンマークのInternational Peoples’ College で 23カ国の学生と共同生活をしながら、国際理解、国際平和を学ぶ。帰国後 民間ユネスコ活動に出会い以来30年間日本社会の国際化の最先端で様々な 国際交流プログラムを企画実施する。1993年3人の子どもたちの学校教育の為 ハワイに移民。同年それまでの体験をまとめた「集まれ!地球の子ども達」を出版。 School House International のホームページはこちら>>