第19回 「Yes, No」をはっきり言わない誇らしい国、日本。

 諸外国、特に欧米から、「日本人はYes, Noをはっきり言わない」と批判を受けます。「これでは国際社会で通用しないぞ」、とまで言われます。

 さらに、多くの日本人の評論家もこれに同調して、「グローバル・スタンダードの時代に、Yes, Noをはっきり言わない日本は通用しないのです」などとの発言を繰り返している。

 これはみなさんもよくご存知で、そして「そうか、日本人、って、ダメなんやなぁ…」という印象をもたれている方も多いかも知れません。

 しかし、しかし、です。私は、はっきりと申し上げます。
 「Yes, Noをはっきり言わないのがなぜ悪い!」と。

 私たち日本人は、何千年の歴史の中ですばらしい文化をはぐくんできました。そしてその中で、物事を断る時に「またにしておくなはれ、考えておきます、今回は遠慮しておきます」という断りの言葉を生み出し、日常使用してきました。

 これは、相手に気遣い、やんわりと断る、「婉曲話法」という、優れた「断りの言葉の文化」なのです。

 「郷に入っては郷に従え」。もし、諸外国が日本で商売をするならば、まず、英語を押し付けず、日本語を、そして日本の文化・風土・国民性を勉強し、理解し、それから商談を始めるべきです。「考えておきます」は「No」だ、と知ってから商談に臨む、これが礼儀であり国際交流の基本だと思うのです。

なのになぜ、欧米の常識や考え方を押し付けられなければならないのでしょうか?

 冒頭の評論家に「あなたも日本人でしょう?そんなに日本がいやなら、国籍を変えたらどうですか?」とたずねたら、「うーん、考えておきます」。

 日本の文化に、みなさん誇りを持ちましょう!

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かすが幼稚園 理事長・園長 米川安宜
京都市右京区の私立園。園長は同志社大学法学部卒業後、國學院大學で神道学、佛教大学で幼児教育を学ぶ。キリスト教、神道、仏教と三つの宗教の大学で学んだ特異な経験をもつ。「子どもは大人よりも能力が高い」という目で子どもと関わり、子どもの脳の発達にあった教育と、積極的な心構えを育てる新しい幼児教育を行っている。また、「幼児期こそ、しつけの最適期」として、しつけ・礼儀、道徳教育も重視している。 (http://www.kasuga.ed.jp/)