第14回 害虫・益虫、害鳥・益鳥

 「私、ゴキブリ、大好き!」っていう人、いらっしゃるでしょうか?おそらくどなたもいらっしゃらないことと思います。

 私は、子どものころから大の「虫好き」ですが、あのゴキブリだけは苦手です。夜、電気をつけたとき、ごそごそっと近寄ってくる、ぬめっとした茶色いはね。それが飛んで、こちらへ向かってきたときにはもう、「うわっ」とおののいてしまいます。

 一説によると、地球上のあらゆる生物が死に絶えてもゴキブリだけは生き残る、といわれています。ゴキブリは誰もが認める「害虫」の王様でしょう。

 では鳩はどうでしょう?マンションなどにお住まいの方は、糞害で困ってらっしゃるかもしれません。でも、鳩は「平和の象徴」とよばれることもあります。公園で、お年寄りがえさをやってらっしゃる光景は時にほほえましくも見えます。

 園庭にときおり、すずめがやってきます。ちょんちょんと、かわいらしい姿をみせてくれますが、お百姓さんにとってはせっかく実った稲を荒らす「害鳥」なのでしょうか。

 広辞苑で「害鳥」を見てみましょう。

「農林・水産上有害な鳥類をいうが、どんな鳥でも一年を通じて害鳥であることはない。例えばスズメは秋に穀物を食って害をするが、春夏には、虫を捕らえ、非常に有益である」。

 なんて勝手な定義なんでしょう!いえいえ、広辞苑が、じゃありません、私たち人間が、です。

 ゴキブリも鳩もすずめもほかの動物昆虫たちも「害・益」で考えられるように生まれてきたわけではありません。人間が勝手に決め付けているだけです。

 わたしには、今、人間が、地球上で最もたちのわるい「害動物」だと思えるのですが。

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かすが幼稚園 理事長・園長 米川安宜
京都市右京区の私立園。園長は同志社大学法学部卒業後、國學院大學で神道学、佛教大学で幼児教育を学ぶ。キリスト教、神道、仏教と三つの宗教の大学で学んだ特異な経験をもつ。「子どもは大人よりも能力が高い」という目で子どもと関わり、子どもの脳の発達にあった教育と、積極的な心構えを育てる新しい幼児教育を行っている。また、「幼児期こそ、しつけの最適期」として、しつけ・礼儀、道徳教育も重視している。 (http://www.kasuga.ed.jp/)