第14回 「最近、思いきり笑ったことがありますか?」

Aloha! 今年の夏から秋にかけて南半球の海水の温度が異常高騰したようで日本では台風の当たり年、アメリカ(正確にはカリブ海)ではハリケーンの当たり年となってしまいました。ハワイの夏も、例年よりも不安定な曇り空が多かった気がします。日本ではもう残暑の頃でしょうか?暑い夏だったそうですから、残暑が短いといいですね。

最近は暗いニュースが毎日のように報道され「テロ」という言葉が日常用語になりつつあり、大変残念なことです。毎日緊張の連続、毎時間心配の連続、毎分不安を抱く連続では、どこの国民でも、民族でも、人間の精神は磨り減って心がすさんできます。それがどういう状態かというと、すぐに「きれ」てしまう人間になります。「きれ」て他人に攻撃的になるか、自分に刹那的になり自殺を考えるケースさえも生じかねません。このように自分を「きれ」やすい状態にさらさないためにも、世の中の出来事の正悪を判断する力、自分の人生を前向きに考える力、自分と他人や社会との関わりを肯定的に築ける力を養う必要性が、特に現代人には一人一人に要求されているようです。でも忙し過ぎたり疲れ切ったりした心では、これらの力が養えません。
そんな時何よりもの心の癒しは、笑いです。特に子ども達の屈託のない無邪気な笑いは、だんとつの特効薬です。

大人になると様々なしがらみに縛られ、笑いも、周囲への配慮からの含み笑いであったり、笑える動機も解らず単に周囲につられての笑いであったり、一人で妄想の世界に戯れる忍び笑いであったり・・・、
そんなこんなで天真爛漫な心で笑える機会が減ってしまいます。
でも、子ども達の真っ白な心が、理屈なしの楽しさに感動して上げる笑い声ほど天真爛漫な笑い声はありません。「笑う門には福来たる」
という日本のことわざがありますが、やはりれっきとした根拠があるのです。こちら多民族社会にも、民族間のギスギスを笑いの潤滑油で吹き飛ばしてしまうような笑い話が多くあります。

幼稚園児をお持ちの皆様は、この笑いの特効薬を身近におもちなのですから、羨ましい限りです。お子さん達の屈託のない笑いの渦の中に思い切り飛び込んでください。涙を流すほどに笑った後には、きっとご自分の心が軽やかになったのを感じるはずです。

我が家のように子どもがティーンエイジになると、子どもを正しく大人の世界に導かせるために親の頭脳作戦を要求されるので、単に子どもにつられて笑ってばかりもいられなくなります。時には14歳の息子と腹を抱えて笑うこともありますが、近所の子ども達や通りすがりの子ども達の屈託のない笑いから、心の癒しを分けてもらうことも多いです。

子ども達の屈託のない無邪気な笑いは、幸せの象徴です。そんな子ども達の笑い声が失せないようにするのが、私たち大人の責任です。
こんなに素晴らしい心の癒しを与えてもらえるのですから、子どもの笑い声を守るのは当然の大人の責任ですよね。
今夜は思い切りお子さんと笑いあって下さいね。

ノブコ タカハシ ムーア
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ハワイのコメディアンと笑い話
有名なフランク・デリマは、ハワイの学校に出向いて様々な笑い話を披露しています。 彼自身様々な民族の混血で、様々な文化への造詣も深く多民族社会におけるコメディアンとしての自分の役割も良く心得ているようです。
「神様があなたの願い通りの鳥に変えて上げると3人の人に言いました。アメリカ人は鷹と言って、空に雄雄しく飛び去りました。日本人は鶴と言って、空に優雅に飛び去りました。ポルトガル人はペンギン鳥と言って、海にポチャリと落ちました。」(注:ハワイにはポルトガル人をからかうジョークが多いですが、これはプランテーション時代に砂糖農場主の白人たちから、白人であったポルトガル人が同じ移民である東洋人達を監督する仕事を与えられ優遇されていたその時のひがみが反映しているようです。)
次は、デリマの作品ではありませんが、映画タイタニックが上演された後作られたジョークです。
「沈没しかかっている船に残っている人達に救助隊がやって来ましたが、アメリカ人、ドイツ人、ブラジル人、日本人の4人が怖がって海に飛び込みません。そこで救助隊員がアメリカ人に、?お前には保険がかかっている!と言ったらアメリカ人は海に飛び込みました。?これは命令だ!と言ったらドイツ人は飛び込みました。ブラジル人には、?飛び込むな!と言ったら飛び込みました。日本人には?皆飛び込んだぞ!と言ったら飛び込みました。そして、4人全員が救助されました。」(注:ハワイではこれらのジョークをお互いに笑って済ましてしまいます。目くじらを立てるようでは、多民族社会に生活できません。ハワイに住むとハワイ人になってしまい、自分の民族を客観的に見れるようになるようです。)
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多民族社会ハワイから異文化理解に役立つ情報を発信している スクール ハウス インターナショナルの運営者です。異民族間 結婚の家庭で育つお子さんの生活環境、多民族化がすすむ日本社会 で国際人教育を必要とされている日本の子どもたちの家庭環境を 一日も早く整えるために、自分の体験に基ついて語ります。 ご参考にしていただければ、大変嬉しいです。

<ノブコ タカハシ ムーア>
関東学院女子短期大学英文科卒業後、デンマークのInternational Peoples’ College で 23カ国の学生と共同生活をしながら、国際理解、国際平和を学ぶ。帰国後 民間ユネスコ活動に出会い以来30年間日本社会の国際化の最先端で様々な 国際交流プログラムを企画実施する。1993年3人の子どもたちの学校教育の為 ハワイに移民。同年それまでの体験をまとめた「集まれ!地球の子ども達」を出版。 School House International のホームページはこちら>>