第10回 子どもとおもちゃ

私は、私立保育園に12年ほど勤めた後、現在は、オリジナルの布おもちゃを作っています。

現役時代も、軍手人形やままごと用のバッグなど、時々作っていたのですが、やはり、日々の保育やその準備に追われる毎日で、プラスαの仕事は、なかなか、はかどらなかったものです。
退職後、時間に余裕ができると、自然と布のおもちゃを次々作っていました。
現在40余のおもちゃをHP「ゆっこせんせいのおもちゃ箱」で紹介しています。
子育て中のお母さん方や、保育の現場にいる方に、気軽に作っていただきたくて、簡単ではありますが、作り方も載せています。

布おもちゃというと、赤ちゃん用という印象があるかもしれません。
確かに私のおもちゃにも、0歳向けのものも多くあります。
でも、発達に応じていろいろな成長段階で楽しめるおもちゃも作っています。

2歳前後からは、ボタンやスナップを使ったおもちゃや、ひも通し遊び(布で作ったリングにひもを通して遊ぶもの)ができるものなどがあります。この時期は、ちょうど指先の機能が発達し始める頃なので、こんな遊びに、子どもたちは夢中
になるのです。

幼児向けのものもあります。
今までのコラムでも、お話してきましたが、友だちとの「ごっこ遊び」が盛んになる時期なので、それを助けるようなおもちゃ・小道具を作ってみました。
エプロン・人形用おんぶひも・人形用お布団・バッグ・お財布・ティアラなどなど。
また、レースやサテンで簡単なスカートも作りました。100円ショップのレースのテーブルクロスやのれんなどを利用して作ると、安くて簡単で、子どもたちも大喜びのお姫様グッズができます。今は、素敵なドレスやなりきりセットみたいなものもおもちゃ屋で販売されていますが、高価なものを買わなくても、お母さんや保育者のアイディアと子どもの豊かな想像力があれば、身近なものでも、十分、遊びは盛り上がると思います。

私が、おもちゃをデザインする時は、まず、子どもの遊ぶ姿を思い浮かべます。
「あの時の遊びに、こんなおもちゃがあったら、もっと盛り上がるだろうな。」
「この時期の子どもだったら、こんな遊びに夢中になるだろうな。」
「こんなおもちゃだったら、繰り返し遊ぶだろうな。」

まず「子ども」がいて、「遊び」があって、それを助ける「おもちゃ」があるのです。私にしてみれば、「おもちゃ」は3番目です。
お店には、カラフルなもの・メロディーやメッセージのでるもの・多機能なもの・キャラクターをあしらったものなど、様々に子どもの目を惹くおもちゃが並んでいます。それが、悪いというわけではありません。ただ、主役は子どもだということ、おもちゃは子どもの遊びを助ける存在であるということは、忘れないでほしいなと思うのです。
「このおもちゃを与えたら喜ぶだろうな。」ということだけなく、「このおもちゃを与えたら、どんな遊びをするだろうか。」ということを、ちょっと考えてみることをお勧めします。
欲しがるからと、華やかなおもちゃをいっぱい与えて、結局、ちっとも遊ばない!なんてことにならないためにも。

————————————————————————————–

元保育士の「ゆっこせんせい」が12年の保育経験を活かして、子供たちとの遊びの中で気づいたこと、発見したことなどを中心にお届けしていきたいと思います。

<さとうゆきこ>
筑波大学心理学専攻、中退。92年、私立保育園就職。勤務しながら、保育士資格取得。0歳?5歳の各歳児の保育に携わる。04年、退職。現在は、HP「ゆっこせんせいのおもちゃ箱」にて、オリジナル手作り布おもちゃを発表し、布おもちゃの素晴らしさを伝えるべく、活動中。7歳と9歳の男の子の母でもある。
HP「ゆっこせんせいのおもちゃ箱」:http://yukkotoy.com/