第16回 子どもと一緒にクッキング ?料理は五感を刺激します?

 毎日寒いですね。お風邪などひいていらっしゃいませんか。
 気候のいいときには午前中、公園に行って子どもを遊ばせていたお母さん方も、おうちでお子さんと過ごす時間が増える季節です。「ずっと家にいるとどうしてもルーズになって、食事やお昼寝の時間がまちまちになったりして、なんとなく1日が終わってしまう」というお宅はありませんか。
 本来、朝のうちに外に出て太陽の光を浴びると、体内時計がしっかりセットされて気持ちよく過ごせるので、ひとまわりお散歩してくるのもおすすめです。でも、ずっと家にいることになりそうな時、一緒にクッキングはどうでしょう。
 子どもに手伝ってもらうより、私がやってしまったほうが手っ取り早いし片づけも簡単。いえ、ここで大事にしたいのは「作る」という過程でお子さんにフルに五感を使う体験をしてもらうことです。

 まずエプロンをして手を洗いましょう。手の洗い方をよく見せて子どもにも手をきれいにしてもらいます。たとえばクッキーなら、粉や砂糖、バターなど分量を量って準備しておいたものを、子どもの背の高さにあったテーブルなどに並べます。
 これは小麦粉、これは砂糖、といった具合に紹介したら、これらを混ぜたり、こねたり丸めたり、型を抜いたり、ひとつひとつの活動をゆっくりやって見せながら子どもにもまねしてやってもらいましょう。形ができたら、天板に並べて焼きます。何をしてもらうかはお子さんの発達によります。
 2歳くらいなら型抜きしたり丸めたりだけでも楽しい活動になります。3歳以上なら、生地の感触を味わったり、焼けるときのいい匂いを知ったり、出来上がったものをそれぞれのお皿に取り分けたり、自分の作ったものを味わったり、と五感を刺激する楽しさに満ちた体験になることと思います。

 テレビやゲーム、コンピュータといったものに囲まれて生活するようになった昨今、現実とバーチャルの区別のつかない子どもたちが増えているような気がします。こんな時代だからこそ、自分の感覚を使って実際に体験する、その大切さを切実に感じます。人格の基盤が作られる乳幼児期の子どもたちに、五感を使った楽しい体験ができる機会をたくさん提供していくのも、私たち大人の責任なのではないでしょうか。

 なにはともあれ、時間も手間もかかりますが、子どもと一緒に作ったものを
「おいしいね」と言いながら一緒に食べる。こんなひとときを持つのもいいと思いませんか?

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新宿区河田町にあるWASEDA Frontier Kids Learning Centerの園長、橋本 恵理が、自らの子育て経験を活かし、モンテッソーリ教育の内容を身近な例を挙げながら紹介。「個性と自立心を養う」教育法であることをお伝えしていきます。

<橋本 恵理 (はしもと えり)> 早稲田大学理工学部卒業。大手保育事業会社にて認可保育園や駅型保育所などの立ち 上げ経験を持つ。2003年、幼児教育におけるベンチャー企業である?フューチャーフ ロンティアーズ取締役(COO)に就任。現在、新宿区河田町にモンテッソーリメソッ ドをベースに日本人を対象としたインターナショナルスクール WASEDA Frontier  Kids Learning Centerの園長として、また2児の母としても活躍中。