Monthly Archives: 11月 2005

第11回 インドのカレー

 先日の幼稚園で開いた「お母さんの勉強会」は、松居和さんの講演でした。

 仕事柄、今までたくさんの教育・子育てについての講演を聴いてきましたが、松居さんのお話は、海外での実際のご経験を通してのもので、とても説得力があります。私の嫌いな「欧米では…」「スウェーデンでは…」の論調で、よく教育評論家が、物知り顔で唱える教育論を、舌鋒鋭く論破されます。

「松居先生、困った母親がいるんです」
とある園長先生。

「自分がカレーを好きだからといって、子どもに毎日カレーしか食べさせないんですよ」。

 それは問題ですね、といって3秒後に松居さんははっと気づいたそうです。

「でも、園長先生、インド人は毎日カレーを食べてますよ」。

 インドの田舎で1年間生活をされた経験からの答えに、園長先生は
「あっ、ほんとですね。どうして私、こんなことにこだわっていたのかしら」。

 松居さんはおっしゃいます。

「世の母親の抱えている問題の80%は、この『インドのカレー』を思い出してくだされば解決するんですよ」「子育てに、正解はないんです。親の趣味でやればいいんです」

 また、こんなお話もありました。「砂場で遊んでいる3歳児より、幸せになれない。なぜなら、大人は競争に勝つこと、お金持ちになることを幸せと考える『ものさし』を持ってしまっているからです。幸せのものさしを変えるだけで、砂場の砂でも幸せを感じることができるのです」。

 幸せのものさしを、一度見直してみることが、心の豊かさを得るためには必要かも知れませんね。

—————————————————————————

幼稚園ねっとにご登録いただいている幼稚園コラムです。 各幼稚園のコラムを順次ピックアップして紹介していきます。

かすが幼稚園 理事長・園長 米川安宜
京都市右京区の私立園。園長は同志社大学法学部卒業後、國學院大學で神道学、佛教大学で幼児教育を学ぶ。キリスト教、神道、仏教と三つの宗教の大学で学んだ特異な経験をもつ。「子どもは大人よりも能力が高い」という目で子どもと関わり、子どもの脳の発達にあった教育と、積極的な心構えを育てる新しい幼児教育を行っている。また、「幼児期こそ、しつけの最適期」として、しつけ・礼儀、道徳教育も重視している。 (http://www.kasuga.ed.jp/)

第27回 「一人っ子の生活環境」

ALOHA! 日本では秋が深まり、秋の果物の美味しい季節ですね。運動会や遠足と野外活動の楽しい、秋でもありますね。美しい秋を、そして秋の味覚を、ご家族そろって満喫していらっしゃることでしょう。

さて私は編集活動に追われており、先月号は失礼させていただきました。私が過去に発信した、メイル・マガジンをホノルルで編集し楽しいイラストや写真入りの本に再編集しております。印刷工場はタイにあるそうです。来年一月出版の予定で準備を進めております。完成しましたら又お知らせいたしますので、どうぞ宜しく!

私の15歳の息子が、昨日思いがけないことを言いました。「16歳になったら、仕事が出来る許可をもらいAプラスの仕事をしようと思うけど、どう思う?
小さい子ども達の面倒を見るのは楽しいと思うんだ。」私は一瞬自分の耳を疑いました。Aプラスとは、小学校の授業終了後、学校で実施している児童活動です。
兄弟のいない児童、家に帰っても共稼ぎの両親が留守の家庭の児童、その他の家庭事情からすぐに家に帰らない児童を集めて、様々な活動をしています。
息子が冗談から「弟が欲しい」と言ったことはありましたし、友達の幼い弟や妹と楽しく遊んだ報告を受けたこともしばしばありました。しかし、自分からAプラスの仕事を選ぶとは思いませんでした。いつまでも我が家のベービーだと思っていたら、そして彼のビッグ・ブラザー役をしてくれる人を見つけたいと思っていたら、母親の思いなどそっちのけで息子は息子の思いがあるようです。まあ、その思いが16歳まで本当に変わらないかどうかは別問題ですが、、、、、。

出生率の低下が、多くの一人っ子を生み出しているのは世界的な傾向です。その一人っ子の面倒を見るのは、人間ではなく機械がしている事実も確実に広がっています。幼い時からテレビやコンピューターを相手にして育ってしまうと、どのような弊害が起こるのか、まだ論じられている段階で実証例はありません。デパートで買った生きたカブトムシが死んでしまったら、「ママ、カブトムシの電池を換えて!」と子どもが言ったのは10年ほど前です。「生命の大切さを子ども達に教えなくては」と叫んでるうちに、日本における自殺者の数は年々増加し年間3万人以上にも及ぶ異常事態となってしまいました。ご存知のように人間の成長は、この地球上の生物の中でも長い時間が費やされています。18年も20年もかけて一人前となる生き物は、人間以外にいないのでは、、、、、。
それにも拘らず、今日目まぐるしく変化する大人社会の影響を受けて、子ども達の生活環境は、子どもが人間の子どもらしく成長できない生活環境です。

日本の幼稚園で、幼稚園の送迎バスに一人で乗り降りできない児童が増えているそうです。転んでも自分を反射的に守る行動ができず、顔から転んで顔に怪我をする子も増えているようです。兄弟でふざけ合ったり、近所の子ども達と追いかけっこをしたりする生活環境がすっかり失われてしまいました。親にしてみれば、コンピューター・ゲームで一人おとなしく遊んでいてくれれば、手がかからず助かるのですが、、、、、、これは人間の子どもとしての本来の姿では、決してありません。(この点においては、私も息子のことで大いなる反省があります。)子どもが人間として健やかに成長し、生きるたくましさと喜びを知るためにも、私達大人は意識的に生活のスピードをスローダウンさせる必要がありますよね。大人の忙しさを言い訳にせず、子どもの目を見つめて話を聞く時間は必ず出来るはずです。

我が家の息子が16歳になっても、Aプラスの仕事に興味を持ち続けますように、母親として私は密やかに願っています。
ノブコ タカハシ ムーア

************************************
ハワイ州の花
ハワイの州花は、黄色いハイビスカスです。1988年に正式な州花とされたそうです。植物のアオイ科に属するハイビスカスは、原生種と世界の様々な地から持ち込まれた種が交配され、現在では5,000種ものハイビスカスがあるそうです。
ハワイのあちらこちらで見かけるハイビスカスは、色も様々で、その色の美しさにしばしば魅せられます。ついでながら、ハイビスカスはレイには利用できません。その代わり耳の後ろにつける髪飾りとしては、男性にも愛用者がいます。
************************************

多民族社会ハワイから異文化理解に役立つ情報を発信している スクール ハウス インターナショナルの運営者です。異民族間 結婚の家庭で育つお子さんの生活環境、多民族化がすすむ日本社会 で国際人教育を必要とされている日本の子どもたちの家庭環境を 一日も早く整えるために、自分の体験に基ついて語ります。 ご参考にしていただければ、大変嬉しいです。

<ノブコ タカハシ ムーア>
関東学院女子短期大学英文科卒業後、デンマークのInternational Peoples’ College で 23カ国の学生と共同生活をしながら、国際理解、国際平和を学ぶ。帰国後 民間ユネスコ活動に出会い以来30年間日本社会の国際化の最先端で様々な 国際交流プログラムを企画実施する。1993年3人の子どもたちの学校教育の為 ハワイに移民。同年それまでの体験をまとめた「集まれ!地球の子ども達」を出版。 School House International のホームページはこちら>>