Monthly Archives: 12月 2015

第29回 近頃の若いもんは・・・

私は、神社の宮司を兼務しています。宮司、というと、氏子さん、お参りにこられる方をはじめ、いろいろな方とお話しする機会があるものです。

あるとき、近所でも評判の、口うるさいおじいさんと境内でお話をしていました。普段から、「近頃の若いもんは、なってない。思いやりの心もない」など、嘆き、というか、怒りというか、そういうことをおっしゃっているおじいさんです。

さて、話が、ひょんなことから、「悔しかったこと」というものに及びました。

私が、「おじいさん、今までで、一番悔しかったことは、何ですか?」とたずねると、

「そりゃ、おまえ、普段から仲良くしている隣のじいさんが、わしに内緒で、家を建て替え始めたときが、一番悔しかったわい」

とのこと。

私は内心、仲良しなら喜んであげたらいいのに、と思いながらも、また、何かいわれたらかなわないので、話の矛先を変えようと、「じゃ、今までで、一番うれしかったこと、って、何ですか?」と、たずねました。

すると、そのおじいさん、いわく、

「そりゃ、その家が、工事の途中で、火事で燃えたときが、一番うれしかったわ!」。

「近頃のわかいもんは・・・」なんていえないでしょう、といって、笑い話ですますこともできますが、実は、振り返ってみると、私たちの中にも、人の幸福をねたんだり、反対に、不幸を喜んだり、面白がったり、ということはないでしょうか?

子どもたちには、本当の、「他人を思いやる心」「幸せを共有できる気持ち」を持ってもらえるように子育てしたいものです。

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かすが幼稚園 理事長・園長 米川安宜
京都市右京区の私立園。園長は同志社大学法学部卒業後、國學院大學で神道学、佛教大学で幼児教育を学ぶ。キリスト教、神道、仏教と三つの宗教の大学で学んだ特異な経験をもつ。「子どもは大人よりも能力が高い」という目で子どもと関わり、子どもの脳の発達にあった教育と、積極的な心構えを育てる新しい幼児教育を行っている。また、「幼児期こそ、しつけの最適期」として、しつけ・礼儀、道徳教育も重視している。 (http://www.kasuga.ed.jp/)

第28回 慣用句

数日前の京都新聞に、文化庁の調査として、こんな記事が載っていました。「目立つ誤 慣用句」と題して記されていた記事です。

慣用句の中で、
「上や下への大騒ぎ」と使うと答えた人は59%。
「そうは問屋が許さない」と使うと答えた人は24%だったそうです。

上記、二つ、正しくは
「上を下への大騒ぎ」
「そうは問屋が卸さない」
です。

では、みなさんに質問です。
「役不足」という言葉は、どんな意味でしょうか?

正解は、「本人の力量に対し、役目が軽すぎる」、です。

もう一問。「気が置けない」の意味は?
正解は、「相手に遠慮をしなくてもよい」、です。

いかがでしたか?失礼ながら勘違いをされていた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ことわざなども、よく会話の中に出てきますが、私もよく使う「三つ子の魂、百まで」。これは正しいと考えています。

しかし、「好きこそ ものの 上手なれ」ということわざがありますね。でも、「へたの 横好き」というものもあります。両者はまったく反対の意味を表しています。

以前に「問題な日本語」という本がよく読まれましたね。今の若者の間違った言葉の用例が多く紹介されていました。

日本語はとても難しい。そして時代に応じて変わっていくものですが、子どもたちには「正しい」日本語を伝えていきたいものです。

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かすが幼稚園 理事長・園長 米川安宜
京都市右京区の私立園。園長は同志社大学法学部卒業後、國學院大學で神道学、佛教大学で幼児教育を学ぶ。キリスト教、神道、仏教と三つの宗教の大学で学んだ特異な経験をもつ。「子どもは大人よりも能力が高い」という目で子どもと関わり、子どもの脳の発達にあった教育と、積極的な心構えを育てる新しい幼児教育を行っている。また、「幼児期こそ、しつけの最適期」として、しつけ・礼儀、道徳教育も重視している。 (http://www.kasuga.ed.jp/)

第26回 おのが姿をうつしてもみよ。

私は、京都の大学を出てから、神社の神職の免許を取るために、東京の國學院大學の「専攻科」という、1年間、みっちり神職になるための勉強と修行をするところに通いました。

入学していきなり明治神宮に放り込まれ、早朝からふんどし一丁で、禊(みそぎ)と称する水浴びで身を清め、社殿の雑巾がけ、それからおかゆの朝食、講義、作法の練習など、大学時代には比較的のんびりと暮らしていた私にとって、まさにカルチャーショックのような「修行」でした。

そのときうけた講義の中で、次の一句が今でも心に残っています。

立ち向かう/人の姿は鏡なり/おのが姿をうつしてもみよ

立ち向かう人の心の中には、自分自身の心が映っているのだ。だから、素直でやさしい心で対すると、相手にもそれが伝わり、やさしい心と物腰で対してくださる。しかし、険悪で嫌味な心で接すると相手もまた、険悪な心と態度で相対するものだ、というような意味です。

私たちは、さまざまな人との出会いの中で生きています。自分の気の合うタイプの人の時は、すぐに打ち解けることができるものです。

しかし、「苦手なタイプだな」「いやな人だな」と感じる人は、おのずと接するのを避けたりするものでしょう。

でも、そのような人とも前述の、「おのが姿の鏡」だ、という考えで接してみる、このこともとても大切なことだと思うのです。

自分に合う人だけが回りにいるわけではありません。時には合わないと思われる人とお付き合いをする必要も出てくる、こんなことも子どもたちにうまく伝えていきたいですね。

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京都市右京区の私立園。園長は同志社大学法学部卒業後、國學院大學で神道学、佛教大学で幼児教育を学ぶ。キリスト教、神道、仏教と三つの宗教の大学で学んだ特異な経験をもつ。「子どもは大人よりも能力が高い」という目で子どもと関わり、子どもの脳の発達にあった教育と、積極的な心構えを育てる新しい幼児教育を行っている。また、「幼児期こそ、しつけの最適期」として、しつけ・礼儀、道徳教育も重視している。 (http://www.kasuga.ed.jp/)

第25回 空気に感謝する

水道の栓をひねると水が出る。ガス・コンロのスイッチをひねると火がつく。当たり前のことように行っていること、日常生活の中にたくさんありますよね。

家族がいて、当たり前、友だちがいてあたりまえ。でも、考えてみると、当たり前のように思っていることに、本当に感謝しなければならないことが多いことに、実は気づくのです。

私たちは、生きるためには空気を吸わなければならない。でも、普段はそれを意識していません。
  
地震などの自然災害にあったときにはおそらく痛感することなのでしょうが、食べ物ももちろん、水もなければ生きていけない。

空気や水や食べ物などだけではなく、私たちの身の回りには、家族や友だちをはじめ、たくさんの人たちがいて、私たちの生活を支えてくださっています。「お金を払って」、という資本主義の世の中だからでしょうが、本当は、どんなことも「してもらって」生きているのです。

環境問題も最近取り上げられることが多くなりましたが、自然の力で生かされていることが本当はとても大切で、私たちが今、気づかなければならない最も大事なことなのかも知れません。

地球温暖化、CO2の排出規制、などなど、たくさんのことが問題視されています。日本に暮らす私たちには、まだまだ「対岸の火事」のようにしか、とらえられない面があるのかも知れませんが、地球規模では大変に深刻な問題が起こってきています。海水の水面がこれから上がってきたら、オゾン・ホールがこれ以上、広がったら。

目に見えない、そして普段意識も感謝もしない「空気」に対しても感謝の気持ちを持つ。今からとても大切なことになるのかも知れません。

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かすが幼稚園 理事長・園長 米川安宜
京都市右京区の私立園。園長は同志社大学法学部卒業後、國學院大學で神道学、佛教大学で幼児教育を学ぶ。キリスト教、神道、仏教と三つの宗教の大学で学んだ特異な経験をもつ。「子どもは大人よりも能力が高い」という目で子どもと関わり、子どもの脳の発達にあった教育と、積極的な心構えを育てる新しい幼児教育を行っている。また、「幼児期こそ、しつけの最適期」として、しつけ・礼儀、道徳教育も重視している。 (http://www.kasuga.ed.jp/)

第23回 ともに子育てをする

 「米川さん、保護者の方々のご協力が、幼稚園には、絶対必要なのです。ともに子育てをするのが幼稚園なのですよ」

 以前、長野県の白百合幼稚園に、橋上先生と一緒に見学にうかがった折、園長先生から聞かせていただいた言葉です。

 幼稚園によっては、できるだけ保護者に負担をかけないようにすることによって入園希望者を募っていらっしゃるところもある。

 言葉が適切ではない、とご指摘を受けるかも知れませんが、私はいつもこういうのです。「幼稚園は断じて『コインロッカー』ではない」

 子育て支援、はしていくべきです。しかし、私は、子育て「放棄」支援はしたくない。子育て支援の目的は、決して子育てを「楽」にすることでは、ない。子育ては、みなさま十分ご承知のとおり、「しんどいもの」です。決して楽ではない。それは一人の人間を育てる、という、とても重要で、大切で、大変な「一大事業」です。楽なわけがありません。

 私は、子育ては、「しんどいけど、楽しいな」、と思っていただく、そのようにかかわらせていただくことが、幼稚園のできる、最高の子育て支援だ、そう考えているのです。

 保護者の方と私どもが「ともに子育てをする」、それが幼稚園なのです。

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