第11回 インドのカレー

 先日の幼稚園で開いた「お母さんの勉強会」は、松居和さんの講演でした。

 仕事柄、今までたくさんの教育・子育てについての講演を聴いてきましたが、松居さんのお話は、海外での実際のご経験を通してのもので、とても説得力があります。私の嫌いな「欧米では…」「スウェーデンでは…」の論調で、よく教育評論家が、物知り顔で唱える教育論を、舌鋒鋭く論破されます。

「松居先生、困った母親がいるんです」
とある園長先生。

「自分がカレーを好きだからといって、子どもに毎日カレーしか食べさせないんですよ」。

 それは問題ですね、といって3秒後に松居さんははっと気づいたそうです。

「でも、園長先生、インド人は毎日カレーを食べてますよ」。

 インドの田舎で1年間生活をされた経験からの答えに、園長先生は
「あっ、ほんとですね。どうして私、こんなことにこだわっていたのかしら」。

 松居さんはおっしゃいます。

「世の母親の抱えている問題の80%は、この『インドのカレー』を思い出してくだされば解決するんですよ」「子育てに、正解はないんです。親の趣味でやればいいんです」

 また、こんなお話もありました。「砂場で遊んでいる3歳児より、幸せになれない。なぜなら、大人は競争に勝つこと、お金持ちになることを幸せと考える『ものさし』を持ってしまっているからです。幸せのものさしを変えるだけで、砂場の砂でも幸せを感じることができるのです」。

 幸せのものさしを、一度見直してみることが、心の豊かさを得るためには必要かも知れませんね。

—————————————————————————

幼稚園ねっとにご登録いただいている幼稚園コラムです。 各幼稚園のコラムを順次ピックアップして紹介していきます。

かすが幼稚園 理事長・園長 米川安宜
京都市右京区の私立園。園長は同志社大学法学部卒業後、國學院大學で神道学、佛教大学で幼児教育を学ぶ。キリスト教、神道、仏教と三つの宗教の大学で学んだ特異な経験をもつ。「子どもは大人よりも能力が高い」という目で子どもと関わり、子どもの脳の発達にあった教育と、積極的な心構えを育てる新しい幼児教育を行っている。また、「幼児期こそ、しつけの最適期」として、しつけ・礼儀、道徳教育も重視している。 (http://www.kasuga.ed.jp/)