第1回 モンテッソーリ教育について ?こどもの才能は「敏感期」に決まります。?それを発見するのは、お母さんのすぐれた観察力です。

 6歳までの幼児期は、子どもにとって自分を形成する最も大切な時期に当たります。この時期の子供には、特有の行動や興味が現れます。

 子どもが誕生してから2歳頃までの様子を思い出してみてください。生まれたばかりの頃、眠って起きてお乳を飲んでうんちをするだけの繰り返しだった子が、手足をバタバタさせるようになる。指をはじめとしてあらゆるものをしゃぶるようになり、声を出して笑うようになって周りや人の顔をじっとみつめたりするようになる。

 誰も教えないのに必死になって寝返りを打とうとする時期がしばらく続いた後、ひょっこり寝返りを打つようになる。おすわりも油断するとひっくり返るほど不安定だったのが、座っていられる時間がどんどん延びていき、連続寝返りやほふく前進とあわせて部屋の中を一人で移動するようになる。
 さあ、こうなるともう目が離せません。電気のコードを引っ張ったり、ティッシュを全部引っ張り出してしまったり、いつのまにかキッチンまで来て包丁の入っている扉をあけてしまったり・・・といった嵐のような日々を思い出す方も、今まさに真っ最中という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
 日常生活の中で、大人の都合にはおかまいなしに突き進むこの時期の子どもは、いったいどこへ向かおうとしているのでしょう。

 子どもは、自分が生まれてきたこの世界がどんなところなのか、どんなものでできているのか、どんな法則で成り立っているのか知ろうと、全力でこの世界に関わっていきます。そしてからだの発達と相伴って、子どもは自分でできることを次々に増やしていきます。すなわち周りの環境を取り込みながら自分を構築していくのです。
 では、大切な時期にある子どもたちに、大人はどのように関わっていけばよいのでしょうか。その鍵はモンテッソーリの考え方の中にあるといえます。

 モンテッソーリ教育を知るうえで、この時期の子どもがもっている爆発的なエネルギーの存在と、子どもが環境を吸収しながら自立への道を歩んでいることをまず知っておいていただきたいと思います。

—————————————————————————
新宿区河田町にあるWASEDA Frontier Kids Learning Centerの園長、橋本 恵理が、自らの子育て経験を活かし、モンテッソーリ教育の内容を身近な例を挙げながら紹介。「個性と自立心を養う」教育法であることをお伝えしていきます。

<橋本 恵理 (はしもと えり)> 早稲田大学理工学部卒業。大手保育事業会社にて認可保育園や駅型保育所などの立ち 上げ経験を持つ。2003年、幼児教育におけるベンチャー企業である?フューチャーフ ロンティアーズ取締役(COO)に就任。現在、新宿区河田町にモンテッソーリメソッ ドをベースに日本人を対象としたインターナショナルスクール WASEDA Frontier  Kids Learning Centerの園長として、また2児の母としても活躍中。