第22回 『議論』が鼻につく今日この頃。

 テレビなどを見ていると、いろいろな人の会話の中に、「議論」という言葉が多いことが、最近とても気になっています。以前から、なのかも知れませんが、特にここ数年、よく耳にするようになってきたように思えます。

 特に政治家の方々の発言に多い。
 「この問題は、もっと議論をする必要があると思います」
 「議論を深めていくことが大切だと思っています」などなど。

 もちろん、重要な問題について議論することはとても大切なこと、です。議論することなしに、独断専行したり、軽薄な決断をしたりして、政治を進められては困ることもあるでしょう。

 しかし、私は言いたいのです。「何でもかんでも『議論、議論』してもらわなくてもいい。それより拙速で構わないから、即、『行動・実行』してもらったほうがいいこともある」、と。

 私たちが、生きている社会は、何事も議論や相談をしてばかりで進んでいくわけではありません。もちろん、衆知を集めることは大切なことです。でも、「あれこれ考えていても仕方がない。とにかく、すぐやろう!」と、進めていくこともたくさんありますよね。そして、そのほうが結局よかった、ということが多い。

 議論、議論、と、問題と自分の責任を先送りにする、そんな考えが見え隠れしているように思えてならないのです。

 子どもたちにも、みんなで相談して決めることの大切さ、と同時に、自分の責任の下に、決断して、即、行動する勇気をも伝えていきたい、と常々思っています。
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かすが幼稚園 理事長・園長 米川安宜
京都市右京区の私立園。園長は同志社大学法学部卒業後、國學院大學で神道学、佛教大学で幼児教育を学ぶ。キリスト教、神道、仏教と三つの宗教の大学で学んだ特異な経験をもつ。「子どもは大人よりも能力が高い」という目で子どもと関わり、子どもの脳の発達にあった教育と、積極的な心構えを育てる新しい幼児教育を行っている。また、「幼児期こそ、しつけの最適期」として、しつけ・礼儀、道徳教育も重視している。 (http://www.kasuga.ed.jp/)