第22回 「育児はがまんくらべ」

ALOHA! 新緑の日本では、行楽シーズンですね。ご家族揃って楽しむ時間が沢山とれる季節でもありますね。でも、日本では暑さが急上昇しているそうですから、お体もお気をつけください。

こちらハワイもお天気がはっきりしない日が、毎年増えているような気がいたします。地球温暖化の影響は、世界中で様々な影響を与えているようですね。
「地球は青かった」とは、宇宙飛行士の有名な言葉ですが、もはやそれは過去のことになってしまうかもしれません。「地球の青さが薄らいでいる。しかも東アジアが特にひどい。」とは最近のある宇宙飛行士の言葉です。青い空と青い海を、子ども達にはいつまでも残して上げたいですね。それは、生命の喜びの色ですから。

私たちの故郷地球をいとしむように、お子さんは親御さんにとって掛替えのない宝です。昨日は知人の若い白人カップルが、生まれて間もない息子を連れて来て私に紹介してくれました。「へーえ、パパとそっくりな目をしているじゃないの」と私が言うと、若い父親は笑みを顔いっぱいに浮かべました。アメリカ本土からハワイに渡ってきた若い二人が、ようやく生活が落ち着き家庭を築くことになったのです。お二人の幸福感がそのまま愛情となって、生まれて2ヶ月のお子さんをやわらかく包んでいました。

皆様の中には、‘そんな頃もあったな?。’と思い出される方もいらっしゃるでしょう。そんな天使のような存在のお子さんが、一人で動き回り、物をいい、幼稚園に行くようになるまでの子育ては、楽しいばかりではない体験をしていらっしゃる方も多いと思います。子どもが幼い時期の子育ては、親御さんに特に体力と忍耐が要求されます。この要求に答えられないと、幼児虐待のような悲惨な結果になりかねません。

私の娘達が日本で幼稚園に通い始めた時、長女は5歳で年少組でしたが、次女は4歳でその下のピヨピヨ教室に週3回通いました。長女は集団生活に溶け込むのは早い方でしたが、次女は「わが道を行く」タイプでした。ある朝、幼稚園に行く時間になって長女はすっかり出かける用意が出来ているのに、次女はまだ朝食を終わらせずにべビィーチェアーに座ったままです。その朝の朝食が気にいらなかったのか、幼稚園に行きたくないのか、はたまた私の堪忍袋がいつ切れるのかをためしているのか、、、、、何を言っても非協力的でした。幼稚園に遅れてしまうと心配する長女に、これでは不公平です。しかも、朝食途中で次女を幼稚園につれて行ったら、今後も実力行使をして非協力的な人になってしまう恐れもあります。本とにこの時は、私の手が次女にかかりそうでした。次女は、こちらの煮えくり返りそうな感情など気にもせず、鼻歌など歌いながら朝食をこね回しています。長女も見ていることです。私は冷静を取り戻して、即断をしなくてはなりません。状況から見て、次女のペースに乗らないこと。しかも、長女の要望を無視はできません。長女を幼稚園に連れてゆく間、10分足らずとはいえ、一人残される次女に何かがあっては困ります。次女はべビィーチェアーから降りないように充分に言い聞かせました。そして、その間に朝食を食べ終えるように言い聞かせました。私は長女だけを自転車に乗せ、何とか幼稚園の時間に間に合わせました。

急いで帰宅すると、次女は言われたとおりべビィーチェアーに座ったままで、私をほっとさせました。でも朝食もそのままです。朝食が済んでいれば、もう一度次女を連れて幼稚園に行こうと思っていたのですが、こうなると次女とがまんくらべをする必要がありそうです。朝食が終わるまで、チェアーから降りないように次女に厳重に伝えました。幼稚園を休ませても、娘にとってこれは重要なレッスンであると、私は決めました。そして私は自分の予定通り家事を行いました。次女にちらりちらりと目をくばりながらも、相手にはしませんでした。

次女は,半日椅子に座っているのにも飽きてしまったのか、11時ごろになって
「マミー、終わったよ!」と私を呼びました。この頑固娘は、4時間たってやっと朝食を終らせました。そして彼女も私の頑固さが解ったようで、翌日からは、さっさと朝食を終わらせるようになりました。本当に子育てはがまんくらべです。

小さい時かなり我が強かった次女ですが歳と共にまーるい性格になってゆき、いつも何かにつけ心配ばかりしていた長女が歳とともにリーダー・シップを発揮するようになりました。子どもの成長はやはりー長?い目で見なくてはなりませんね。その時の状況や感情だけで、「この子は?だ」と決めつけてはいけません。
子どもの成長過程で芽生える様々な可能性を、摘み取ってしまいかねないからです。がまんくらべの報酬は、親子ともに成長ができることです。

あれから18年以上がすぎ、自然が大好きで教育に情熱を注いでいる次女と、都会派で芸術や近代技術に長けた長女ですが、二人ともそれぞれに私の良き友達でもあります。そして今となっては,がまんくらべは懐かしき思い出です。

ノブコ タカハシ ムーア

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パパイヤ
「お父さんの嫌いな果物はなんでしょう?」と日本のなぞなぞにありましたが、パパイヤはここハワイではみんに愛好されています。以前パパイヤの小さな苗をいただき庭に植えたら、3年後には大木に成長して美味しい実をいっぱいにつけてくれました。緑色の実が黄色になったらさっさともぎ取らないと、鳥に先を越されてしまいます。私は、熟れたパパイヤをま二つに切って中央の黒い小さな種を取り除き、レモン汁をかけて食べる食べ方が好きです。でも沖縄やフィリピンから来た人たちは、熟す前の緑色のパパイヤを利用した料理も知っているようです。
さらに詳しいことはこちらをどうぞ!
http://www.miyosi.co.jp/vegetable/papaya/
http://www.hana300.com/papaiy.html

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多民族社会ハワイから異文化理解に役立つ情報を発信している スクール ハウス インターナショナルの運営者です。異民族間 結婚の家庭で育つお子さんの生活環境、多民族化がすすむ日本社会 で国際人教育を必要とされている日本の子どもたちの家庭環境を 一日も早く整えるために、自分の体験に基ついて語ります。 ご参考にしていただければ、大変嬉しいです。

<ノブコ タカハシ ムーア>
関東学院女子短期大学英文科卒業後、デンマークのInternational Peoples’ College で 23カ国の学生と共同生活をしながら、国際理解、国際平和を学ぶ。帰国後 民間ユネスコ活動に出会い以来30年間日本社会の国際化の最先端で様々な 国際交流プログラムを企画実施する。1993年3人の子どもたちの学校教育の為 ハワイに移民。同年それまでの体験をまとめた「集まれ!地球の子ども達」を出版。 School House International のホームページはこちら>>