Monthly Archives: 1月 2005

第1回 卵はスクランブルエッグで?

Q.「それって、どんな気持ち?」
Q.「これについて、どう考える?」

そんな、質問にあなたは、きちんと答えられますか?

A.「ん・・・わかんない」「どっちでもいい」

私が、よく聞く言葉です。
「わからない・・」
自分が何を感じているのか?どうしたいのか?

最近、カウンセリングに限らず、日常会話の中で自分の意見や考えを相手に伝えるという行為を放棄していたり、また、考えるということ自体を最初から放棄する子供が多いように感じます。

<いったい何故でしょうか?>

言ったって無駄、めんどくさいし、意見を言わなければ、否定もされないし、間違うこともない。
責任を持たないですむ・・など、自己防衛(?)の手段なのかも知れません。誰だって、傷付きたくないもの・・・
そしてそれが、どんどん癖になって、「伝えること」を止めてしまったキッカケさえ、忘れてしまうのかもしれませんね。

現代社会において、「自分の気持ちが上手く伝えられない」ということから起こるトラブルの多さをご存知でしょうか?
コミュニケーション不足による誤解や恨み・思い込みが招く事件など、数え切れませんよね。
昨今、コミュニケーションスキルを学ぶ管理職の方が多いという現状も頷けます。

<何気ない日常会話が、考えること+言葉を育てるということ>

例えば朝、「卵の料理法は?」「焼き加減はどうする?」「付け合せは?ベーコン?ソーセージ?ハム?」「ソースは何がいい?」「パンかシリアルか?」から「今日、何を着るか?」「この服のどこが好きなのか?」を子供に聞いてみてください。 
忙しいから、めんどくさいから、ついこっち(親)の都合を押し付けてしまいがちになっていませんか?  
また、聞いても子供からなかなか思ったように答えが返って来なくて、イライラしてしまうかも知れませんね。
でも、子供は黙っていてもちゃんと考えたり感じたりしています。それを言葉にするチャンスを与えてあげて下さい。
「今、何を感じてる?どんな、気持ち?」「それは、どうしてなの?」「分からないから、私に教えて欲しい」
ゆっくり、答えが返って来るはずですよ。 
そして、そのうちに気付くかもしれませんね。あなた自身も、<聞く>から<聴く>へスキルアップがされていることに!

Rei.EGUCHI

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臨床心理カウンセラー産業カウンセラー、カラーセラピストとして活躍中の枝口玲己のコラムが始まりました。 日常の何気ない子供との接し方から、新たな発見が見出せるかもしれません。

<枝口 玲己 (えぐち れいこ)> Calix 主宰 臨床心理カウンセラー (NPO法人日本臨床心理カウンセリング協会認定) 産業カウンセラー (社団法人日本産業カウンセラー協会認定) カラーセラピスト (英国オーラ・ライト認定) ニューヨークアッカーマン研究所でトレーニングを受け、家族療法を学んだのち、ヒューマニスティク心理学をサンフランシスコ・セイブルック大学院で学ぶ。 また、マイケル・ホイト博士によるセミナー「ブリーフセラピー」も履修。

第18回 「家庭教育の重要性」

新年おめでとうございます。皆様お健やかにお正月を過ごされたことと思います。

本年もお付き合いの程、どうぞ宜しくお願いいたします。

昨年に続きハワイのお正月は雨降りでした。折角お正月休みに常夏のハワイに来られたのに、太陽の顔を見ずに帰られた観光客の方も多かったようです。お気の毒でした。

今日は久々の晴天で、水平線がくっきりと見えるハワイ晴れです。この静かな水平線がいきなり盛り上がる津波を想像すると、インド洋沿岸で津波の被害に合われた方々の恐怖心が伝わってきます。亡くなられた多くの方々にお悔やみを、被害に合われた方々に心からのお見舞いを申し上げます。過去の教訓から、太平洋沿岸地域には津波警報システムがしっかりと出来ているようです。インド洋沿岸にも、このシステムが一日も早く導入されますように。そして、被害に合われた方々が、平和な日々を一日も早く取り戻すことが出来ますように。

自然の威力の前にあっては、人間の力は、本当に微々たるものですね。そのか弱い力を、偉大な力に変えるのには人間の英知が必要です。幾たびも繰り返される河川の氾濫を食い止めるために、川沿いに松を植える知恵を唱えたのは二宮金次郎でした。私の小学校時代には、薪を背負いながら本を読んで歩いている二宮金次郎の銅像が何処の学校の校庭にもありました。木造校舎が、鉄筋のビルに変わった頃から、校庭も狭くなり、二宮金次郎の銅像も姿を見せなくなったようです。
(二宮金次郎についての詳細は次のウエーブ・ページでどうぞ。)
http://www.ai-trip.com/trip/kinjiro/
http://www.terumori.jp/ninomiya.html

人間の英知を集めて、今インド洋沿岸諸国では復興の歩みを始めていますが、未来を築く多くの子ども達の被災は本当に心が痛みます。

子どもが育つ為には生きる為の必需品を親が用意する必要があります。食べさせること、着させること、そして安全に休める場(医療もこの分野に含めます)を確保すること。衣食住の確保は、人間誰にとっても最低限の生活権利としての必需品であり、親が子どものために確保出来なければ、社会が、国が、確保を要求されます。被災地の子ども達の救援のために、国連諸機関の中では先ずユニセフ(国連児童基金)が動き衣食住の確保をするのです。つまり、ユニセフは親代わりとなって子供たちに安全な生活圏を確保するために活動をします。
(日本におけるユニセフ協会:http://www.unicef.or.jp/)

次に子ども達に必要なのは教育です。教育には、家庭教育、学校教育、社会教育があることは再三ご説明しておりますが、被災地における援助で、ユニセフの緊急援助の次に活躍するのが国連機関の中ではユネスコです。ユネスコ(国連教育・科学・文化機構)が長期計画をもって子ども達の自立とコミュ二ティーの復興の為に活動します。
(日本における民間ユネスコ活動:http://www.unesco.jp/indexb.html)
ユネスコは必要に応じて3つの教育に従事することがありますが、私たち個人の家庭においては「衣食足りて礼節を知る」との教えがあるとおり、衣食住の生活圏が確保出来たら、次に親の役割はモラルを教え、礼儀や節度を教える家庭教育に励まなくてはなりません。もちろん、身(自身)を美しくさせる躾(しつけ)も家庭教育の賜物です。

家庭を失った子どもの悲劇は、生活圏は得られても家庭教育を習得する機会を失う悲劇です。

お父さん、お母さん、皆様の英知を発揮して忍耐強くお子様の力を伸ばして上げて下さい。お子様にとって家庭は本当にかけがえのない世界ですし、世界にとってはどの子もかけがえのない未来の地球人ですから。

ノブコ タカハシ ムーア
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椰子の実
火山の噴火で出来た島、ハワイ諸島にはハワイオリジナルの植物は何もありません。今でこそハワイのイメージそのものになっている椰子の木も、島崎藤村の詩「椰子の実」http://www.asahi-net.or.jp/~LD3T-NSKW/tbyashij.htmlのように波に運ばれて来てハワイの島に辿り着き生殖を始めたか、南国からの移民の人によって持ち込まれたものかは定かではありませんが、いずれにせよ海の彼方から運ばれてきたものです。椰子の木の実は大変硬く、これを鉈ですっぱっと切るのには特殊な技術がいるようです。観光地では、椰子の実にストローを挿してジュースが飲めるようにして売っています。私は余り好物ではありませんが、好きな人も結構いるようです。今回の津波の被災者で6日間海に漂流していたインドネシア男性は、椰子の実のジュースで命を繋ぎ生還しました。南の島にとっては、やはりなくてはならない植物です。
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第19回 もうすぐ今年も終わりますね

皆様、もうすぐ今年も終わりますが、風邪など、ひいてはいらっしゃいませんか? (私鎌田は、今現在風邪引きの真っ最中です、♪まっ赤なお鼻のおばさん状態)

今年は、本当にいろいろな事がありました。

まずは異常気象に驚かされ、そのせいかどうかはわかりませんが、人の心がどこかへ消えて無くなってしまったのではないか、と思われるような悲しい事件もたくさん発生しましたね。

ここのところ、厚生労働省と文部科学省との間で、長年に渡って討議され続けてきた幼保一元化問題がまたしても浮上しているわけですが、幼稚園と保育所のそれぞれの立場の問題点ばかりが先行し、またしても、上記の問題に関る抜本的な問題解決には到底及ばない状況です。

国は、少子化にストップをかけようと何年間も言い続けながら、実際には決してそれらに効をきたさない施策ばかりであることになんとも理解に苦しみます。

どう考えても、社会の構成員となるべき子ども達の育ちに関る国家予算を年々減らし続けていくことに対しては、社会にとって大切な子ども達を一体全体誰がどう育てていけと言うのか、と怒りさえ覚えます。

そんな中、私鎌田はこの度ご縁があり、来年4月にOPEN予定の横浜市認可保育所の園長をお引受けすることとなり、昨日、3回に渡って入園説明会をさせて頂いたわけですが、1回目から3回目まで、実に様々なご意見やらご質問を頂いて、昨今の保護者の皆様方の積極性と個性を充分に感じさせられた1日でありました。

前述のように、不信感を抱かざるを得ないような世の中、大切なご自身のお子様を託す場所として細かいところまで気になさるのは、ある意味当たり前とも言えましょう。

でも、少し・・・疲れ果てました。

お正月まであと僅か、来年はどんな年になるのでしょうか・・・・。

何が起こるのか、それらにどう対応して、どう生きぬいていけば良いのか、はまさに自身が判断し、自身が責任を持って受け入れていくしかないわけですから、ウエットな見方ではなく、ドライな見方も必要なのかもしれません。

でも、やっぱり本音はちょっぴり淋しい気がします。

今の世の中、信頼を築くのは容易ではないということなのでしょうが、それって社会の崩壊に向かっているような気がしてなりません。

自分のことしか考えない、他人を信用しない、自分の価値判断を押し通そうとする、それじゃぁ仲間の輪は大きくなりませんよね。

私は“人”が好きです。
いろいろな人がいて、ややこしいから、難しいから、面白いのです。
これまでもいっぱい失敗もし、悲しい思いもしてきました。
でもそれが人間なのだろうと思っています。

人には“心”があります、つまり情緒です。
もしかしたら、私は人の心に触れることに興味があるのかもしれません。
心の問題は、“気”の持ち方一つで180度変わってしまうものですから、“心”って面白いものです。

とにかく、人間としてこの世に生命を戴き、その生命を全うするまでの何年間を時には謙虚に、時には伸びやかに、意義あるものにしていきたいと思います。

どうぞ、良いお年をお迎えください。

オフィス 鎌田 代表 鎌田妙子

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元保育園園長、鎌田妙子が、今まで学んできた子育て理論や体験談などをもとに、子育ての悩みどころに対してアドバイスしていきます。毎回身近な事柄をテーマに、子育てアドバイスをお届けしていきますので是非ご覧ください。

<鎌田妙子> 1975年、北海道大学教育学部発達心理学研究室終了、認可施設 財団法人慈愛会保育園園長として9年間勤務。施設型保育の限界を超えるべく1986年独立。当時、日本では珍しいベビーシッター事業を立上げ、現在オフィス鎌田の代表として活躍中。

第17回 「なんで英語を学ぶの?」

ALOHA! ヨーロッパ各地の知人達から、長くて寒い太陽のないヨーロッパの冬の到来を告げる便りが届くようになりました。
以前ハワイの子どもたちに、冬の間太陽を恋しがる北欧の子どもの話をしたところ、大変興味深く聞いてくれました。ハワイの子どもたちには、何ヶ月も太陽が顔を出さないことは、信じがたいことなのです。ヨーロッパの冬を体験すると、冬でも太陽が拝める日本やハワイは、本当にありがたい恵まれた気候です。

さて、日本における英語熱は相変わらず高いようですね。
「短期間で英語がしゃべれるようになる」とのキャッチ・フレーズは、アメリカの「短期間で痩せられる」とのキャッチ・フレーズ同様に、日本では多くの人を引き付けるようです。

アメリカ経済が世界経済を大きく影響するようになり、英語が国際語としての地位を確立してしまった以上、国際間のコミュニケーション手段としての英語習得にはそれなりの意義があると思います。しかし、英語を学習することと、日本語をおろそかにすることは、異なるはずです。むしろ母国語を豊かに使いこなせる人の方が、コミュニケーション・技術も向上し、英語の習得にも拍車がかかります。

私は、以前から日本人観光客の使う日本語が気になっておりました。暦が日本語で言えない(ついたち、ふつかではなくいちにち、ににちとう)、数が正確に表現出来ない(紙を一個と数える)や敬語をオーム返しに使う等。そしたら最近の報道で、日本人大学生の日本語力が日本に留学している外国人留学生よりも劣ると警鐘されていまた。これは大問題です。

お父さん、お母さん、お子さんに綺麗な正しい日本語を一杯聞かせてあげて下さい。本や詩を読んだり、歌を歌ったり、言葉遊び(しりとり、伝達ゲーム、カルタとり等)をしたりして、生きた美しい日本語を一杯浴びさせてあげて下さい。きっとお子さんの脳細胞の隅々まで刺激を与えてくれると思います。

私がスイスでフランス語を学んでいた時、日常会話や下宿のマダムとは仏語、友達とは英語を使い、日本語を使う機会が全くありませんでした。
ある時、夢の中で何語で自分を表現しようかともがいている自分を知り、夢の中で全くどの言葉も
出ない失語症に陥った自分をみました。
夢から覚めて、いやな予感がしました。
その後、ある機会に日本女性と出会い、二人でお互いに思い切り日本語で深みのある会話をしました。
途端に、脳のさび付いていた一部の歯車が、カラカラと回りだしたようでした。実に爽快でした。
その後英語も仏語も苦痛でなくなり、失語症の夢も二度と見ませんでした。

今からでも遅くはありません。お子さんとご一緒に、美しい日本語探しごっこを楽しんで下さい。

本年も一年間お付き合いいただきありがとうございました。
2005年の皆様とご家族のご多幸と、地球の平安を心からお祈りいたします。

来年もお子様たちの笑い声が地球にいっぱい響き渡りますように!

ノブコ タカハシ ムーア

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メレ・カリキマカ!これはハワイ語のメリー・クリスマスですが、ハワイでは宗教色抜きで年末の挨拶言葉になっていす。多民族社会ハワイでは民族ごとにお祝いが異なりますが、年末だけは一緒です。そして、民族を超えてハワイ語が生かされるという、面白い習慣があります。最近ハワイでも地球資源の問題が深刻になり、good for INA と英語とハワイ語(AINAとは大地とか自然、地球のこと)を混ぜた言葉が頻繁に聞かれるようになりました。それでは、皆様メレ・カリキマカ!
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第16回 「生かされる生き方」

Aloha! 日本では秋たけなわでしょうね。あちらこちらで見つけた小さい秋がだんだんと大きく広がった頃ですよね。それにしても今年の夏は台風が多かったですね。その後を追って、新潟地震。被災された方々、そして怖い思いを体験された方々、お見舞い申し上げます。

ハワイでも朝夕や曇り空の日には風が冷たく感じられます。太陽が顔を出せば、すぐ熱くなるのですが、、、、、あらためて太陽エネルギーの偉大さを知らされます。こちらでは、ハロウィーンが過ぎて感謝祭の飾りが季節を告げますが、気の早い商店では、もうクリスマスの飾りが出ています。

先日、ワシントン州の大学に在籍している馬の大好きな次女が、馬の出産に遭遇した話しをしてくれました。小さな大学都市の郊外に広がる農牧地帯を彼女が自転車で通っていたら、馬が横になっているのを見つけたそうです。具合が悪いのかと心配した次女が近ずくと、何と昼間の大地の上で子馬が誕生するところだったそうです。無事出産を見守った娘が感動して、その場を去り、暫くして同じ道を戻ってくるとまたまた感激!生まれたばかりの子馬はすでに4本足で立ち、母馬と一緒に小走りしていたそうです。

色々な動物の成長を観察すると、人間の成長は大変時間がかかるようには思いませんか?親を離れてひとり立ちするまでの時間は、それぞれの生物ごとに持っている時間の計算が異なるのでしょう。

蝉のように数年間も土中で生息し、土から出てさなぎになるや否やほんの数日の寿命の生物もいます。大自然の中には様々な時間が存在します。宇宙時間もあれば、人間の決めた日常の時間もあります。

同じ人間の決めた時間、(つまり1年が365日、1日が24時間といった時間の概念)でも、ときとしては大変早く時の動きを感じることもあれば、その逆に大変遅く感じることもあります。

つまり生きるということは、自分が生かされている実感の継続が時間のレールの上を走っていることなのでしょうね。

そして子どもを育てるということは、子どもに生かされている親の実感を認識することなのでしょう。時には楽しくもあり、時には悔しくもあり、時には狼狽もあり、時には怒りもあり、、、、、子どもと同じ時間のレールの上を走りながらも、その時々によって速度の感じ方も違ってきます。

3歳児のお子さんとは3歳児であればこそ親の生かされ方があり、5歳児のお子さんとは5歳児であればこそ親としての生かされ方があります。親子関係は育児の時だけではなく、一生そして次の世代にもつながってゆく時間のレールの上を走っているのです。生きている、生かされているという実感が多くあるほど、人は充実した人生に満足するようです。

今日、日本にいる90歳の私の父から貰った91歳の田口八重さんの著書「おこしやす」を、私は読み終えました。人間誰しも生かされているという実感は、年を取れば取るほど鮮明になるようです。

お父さん、お母さん、自分のお子さんにご自分が生かされていると感じたことはありませんか?
この子を守ってあげたい!とか、子どもが生きがい!とか、子どもがいて良かった!とか思う
気持ちはお子さんに生かされているためなのです。

今夜はお子さんと素敵な夜をお過ごし下さい。

ノブコ タカハシ ムーア
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フラダンス日本でも中高年の女性の間で人気のあるフラダンスは、大きく分けて古典フラとモダン・フラがあります。古典フラは、日本文化で比較するなら古典歌舞伎のようで、言葉、動き、楽器、スタイルもしっかりと型にはめられています。歌舞伎は物語を演じますが、古典フラは神々に捧げる物語を舞うのです。西洋文明がハワイにやって来て移民を世界中から受け入れるようになると、楽しむ為のフラダンスが生まれました。これがモダン・フラです。古典フラの動きの基本から発展して、動きも、内容も、衣装も、様々な文化の影響をうけて実に豊かです。日本舞踊を習わせるように、お子さんをフラ・ダンスの教室に通わせる親もいます。
日舞の名取と同じように、フラの先生にも特別な格があり、その世界ではしっかりとした上下関係があるようです。
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第15回 「大切なものを大切に」

ALOHA! 世界のあちらこちらから、紅葉のたよりが届くようになりました。
アメリカ本土のワシントン州はもうすっかり秋もふかまったようですし、
ヨーロッパのアムステルダムでも紅葉の美しい季節となったようです。
日本の紅葉というと、私は真っ先に紅色のもみじと黄金色のイチョウを思い出します。ハワイでは紅葉を楽しみながら季節の移り変わりを知らせてはもらえませんが、スパーマーケットに漢字で梨とかかれたペアが並びハロウィーンの商品やカボチャが並ぶと、秋の到来を知らされます。

人にとって大切なものは、その時代、心情、生活環境等によって様々に変わりますよね。高校時代私にとっての宝物は、国連マークの付いたエアー・メイル

(航空書簡)でした。当時「国連ガイド」になりたくても、相談相手もなく情報も殆どありませんでした。40年ほども前のことですから、もちろんインターネットもありませんでした。そこで思い切って、ニューヨークの国連本部に問い合わせの手紙を出しました。その返事が届いた時の驚きを嬉しさ!国連本部の広報部にすれば問い合わせに応答した当たり前のことではあったのでしょうが、私にとっては「この世の中、自分の気持ちを現したら何処かに受け止めてくれる人がいるのだ!」との感動まで伴なって届いた、国連マーク付きのエアー・メイルでした。その後数年間、この宝物は私の手元にずーとありました。

他人にとってはたわいのないものでも、本人にとっては大切なものって沢山ありますよね。子ども達も同じです。大人にとって大切なものでも子どもにとってはつまらないものであったり、子ども達にとっては宝物であっても大人にとってはガラクタであったり、、、、、、、、、。

今はワシントン州の同じ大学に在籍している私の娘二人が、日本で幼稚園に通っていた頃、ママゴト遊びに夢中になっていました。泥に水を加えては、パイやケーキを作り、木の葉、木の実、小石や小枝で、パイやケーキを飾り立てては悦に入って満足していました。その頃の娘達にとっては、河原で見つけた美しい小石や海に行った時拾った変わった形の貝殻が大切に小箱に入れてありました。道端で見つけた美しい鳥の羽を、大切にしていた時もありました。自然からの贈り物は、彼女たちにとって捨てがたい大切なものでした。

一方、当時流行していた高価なおもちゃは、めったに娘達には与えませんでした。
経済的理由もありますが、年いった親の目には、子供心を奪うプラスチック製の消費一辺倒のおもちゃには、財布の紐をきつくしたものです。温もりのある木製のおもちゃや工夫を凝らした創作おもちゃには、逆に私の財布の紐はゆるんでしまいます。たまに見つけるおもちゃに娘達は大喜びし、大事にあつかい、おもちゃも長持ちしました。主人も私も昔人間ですから、包装紙、紐、空き瓶、空き缶の再利用を率先しました。物を大切に使うことを考えるようになると、地球資源を大切に使うことにも気ずくようになります。

その子にとってその時の大切なものを尊重して上げることは、とっても大事なことです。他人の大切なものを尊重することを学びますし、いずれ、皆にとって大切なもの?命、自然の恵み、地球環境・資源等―を大切にする心を育ててくれるからです。

お子さんの大切なものをしまっておく引き出しを、時々そっとのぞいてあげて下さい。そこに何が入っているのか、お父さん、お母さん、知っててあげて下さい。
お子さんが自分のお部屋も引き出しも持っていなければ、お子さんの心の引き出しを開けて下さい。なにげない会話の中から、心の引き出しを開けるチャンスがあるはずです。大切なものが理にかなったものなのか見極めた上で、お子さんの大切なものを尊重してあげて下さいね。もしも、理にかなわない、腑に落ちないものがお子さんの引き出しの中に入っていたら、それをとっておく理由を親として知るべきです。こういう時は決して感情的にならずに、冷静になってお子に尋ねて下さい。お子さんの真っ白な、でも小さな心に疼いていた痛みを見つけ出すこともできるのです。

ノブコ タカハシ ムーア
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ハワイの州立図書館
ハワイにきちんとした住所をもつと、州立図書館の書籍やビデオを借りれるカードを発行してくれます。カードを持っていなくても、図書館には誰でも自由に入れます。ただし、飲食は禁止ですし、他人に迷惑になるようなお喋りも禁物です。一番大きな州立図書館は、ダウンタウンにありホノルル市庁舎とアメリカ唯一の王宮であるイオラニ宮殿の間にある州立図書館本館です。
ここには日本語・韓国語・中国語の書籍のコーナーもあります。私はここの中庭にある椅子とテーブルがお気に入りです。風通しが良いですし、静かですし、しかも誰にも邪魔されずに好きな本を好きなだけ読めれます。お子さんの児童書読書コーナーもあるので、観光地とは異なるハワイを体験されたい方にお薦めです。余談ながら、こちらで本をかりると3週間の期限で、借りる数に制限はありません。お陰で私はいつも10冊20冊と抱えて図書館を出てきます。
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第3回 子どもたちの『目』

ある保育園でのお話です。園児の父親の中に、三人、どうしようもない父親がいたそうです。
どんな風に「どうしようもなかった」のかは聞いていないのですが、とにかくどうしようもなかった。そしてその父親たちに、保育園も、ほかの保護者もとても手を焼いていたそうです。
 ところがその保育園の園長先生、年配のおばちゃん先生ですが、すごいパワーの、日本で三本の指にはいる(その人いわく)先生でした。

 園長先生は秘策を練りました。その秘策とはいわゆる「お泊り保育にその三人を参加させ、子どもたちの世話を一緒にさせる」というものでした。

「なんで俺たちが…」という顔と風貌で現れた当の三人。何十人という幼児の世話をあれこれ命じられ、いやいやながら動き始めました。

 ところが夜を迎える頃になると彼らの表情や態度に変化が出始めました。鋭かったまなざしに優しさが現れてきたのです。

 翌日、園児が帰るころには、三人の顔はすっかり柔和になり、「とてもいい経験をさせていただきました。ありがとうございました!」と口々に御礼をいって帰っていったそうです。そして、その後、すっかり「よい父親」になったそうです。

 「うっそー!」と思われるでしょうが、本当の話です。

 私も教諭の免許を取るために、幼稚園で実習をしたのですが、たくさんの幼児を前にしてまず感じたのは、「なんてキレイな目をしているんだろう」ということでした。それに比べて大人になった自分の、ある意味で汚れた目と感受性にショックを受けたことをはっきり覚えています。

 子どもに「教えてやっている」、だけでなく、純粋なその目から何かを感じてみてください。

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幼稚園ねっとにご登録いただいている幼稚園コラムです。 各幼稚園のコラムを順次ピックアップして紹介していきます。

かすが幼稚園 理事長・園長 米川安宜
京都市右京区の私立園。園長は同志社大学法学部卒業後、國學院大學で神道学、佛教大学で幼児教育を学ぶ。キリスト教、神道、仏教と三つの宗教の大学で学んだ特異な経験をもつ。「子どもは大人よりも能力が高い」という目で子どもと関わり、子どもの脳の発達にあった教育と、積極的な心構えを育てる新しい幼児教育を行っている。また、「幼児期こそ、しつけの最適期」として、しつけ・礼儀、道徳教育も重視している。 (http://www.kasuga.ed.jp/)

第14回 「最近、思いきり笑ったことがありますか?」

Aloha! 今年の夏から秋にかけて南半球の海水の温度が異常高騰したようで日本では台風の当たり年、アメリカ(正確にはカリブ海)ではハリケーンの当たり年となってしまいました。ハワイの夏も、例年よりも不安定な曇り空が多かった気がします。日本ではもう残暑の頃でしょうか?暑い夏だったそうですから、残暑が短いといいですね。

最近は暗いニュースが毎日のように報道され「テロ」という言葉が日常用語になりつつあり、大変残念なことです。毎日緊張の連続、毎時間心配の連続、毎分不安を抱く連続では、どこの国民でも、民族でも、人間の精神は磨り減って心がすさんできます。それがどういう状態かというと、すぐに「きれ」てしまう人間になります。「きれ」て他人に攻撃的になるか、自分に刹那的になり自殺を考えるケースさえも生じかねません。このように自分を「きれ」やすい状態にさらさないためにも、世の中の出来事の正悪を判断する力、自分の人生を前向きに考える力、自分と他人や社会との関わりを肯定的に築ける力を養う必要性が、特に現代人には一人一人に要求されているようです。でも忙し過ぎたり疲れ切ったりした心では、これらの力が養えません。
そんな時何よりもの心の癒しは、笑いです。特に子ども達の屈託のない無邪気な笑いは、だんとつの特効薬です。

大人になると様々なしがらみに縛られ、笑いも、周囲への配慮からの含み笑いであったり、笑える動機も解らず単に周囲につられての笑いであったり、一人で妄想の世界に戯れる忍び笑いであったり・・・、
そんなこんなで天真爛漫な心で笑える機会が減ってしまいます。
でも、子ども達の真っ白な心が、理屈なしの楽しさに感動して上げる笑い声ほど天真爛漫な笑い声はありません。「笑う門には福来たる」
という日本のことわざがありますが、やはりれっきとした根拠があるのです。こちら多民族社会にも、民族間のギスギスを笑いの潤滑油で吹き飛ばしてしまうような笑い話が多くあります。

幼稚園児をお持ちの皆様は、この笑いの特効薬を身近におもちなのですから、羨ましい限りです。お子さん達の屈託のない笑いの渦の中に思い切り飛び込んでください。涙を流すほどに笑った後には、きっとご自分の心が軽やかになったのを感じるはずです。

我が家のように子どもがティーンエイジになると、子どもを正しく大人の世界に導かせるために親の頭脳作戦を要求されるので、単に子どもにつられて笑ってばかりもいられなくなります。時には14歳の息子と腹を抱えて笑うこともありますが、近所の子ども達や通りすがりの子ども達の屈託のない笑いから、心の癒しを分けてもらうことも多いです。

子ども達の屈託のない無邪気な笑いは、幸せの象徴です。そんな子ども達の笑い声が失せないようにするのが、私たち大人の責任です。
こんなに素晴らしい心の癒しを与えてもらえるのですから、子どもの笑い声を守るのは当然の大人の責任ですよね。
今夜は思い切りお子さんと笑いあって下さいね。

ノブコ タカハシ ムーア
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ハワイのコメディアンと笑い話
有名なフランク・デリマは、ハワイの学校に出向いて様々な笑い話を披露しています。 彼自身様々な民族の混血で、様々な文化への造詣も深く多民族社会におけるコメディアンとしての自分の役割も良く心得ているようです。
「神様があなたの願い通りの鳥に変えて上げると3人の人に言いました。アメリカ人は鷹と言って、空に雄雄しく飛び去りました。日本人は鶴と言って、空に優雅に飛び去りました。ポルトガル人はペンギン鳥と言って、海にポチャリと落ちました。」(注:ハワイにはポルトガル人をからかうジョークが多いですが、これはプランテーション時代に砂糖農場主の白人たちから、白人であったポルトガル人が同じ移民である東洋人達を監督する仕事を与えられ優遇されていたその時のひがみが反映しているようです。)
次は、デリマの作品ではありませんが、映画タイタニックが上演された後作られたジョークです。
「沈没しかかっている船に残っている人達に救助隊がやって来ましたが、アメリカ人、ドイツ人、ブラジル人、日本人の4人が怖がって海に飛び込みません。そこで救助隊員がアメリカ人に、?お前には保険がかかっている!と言ったらアメリカ人は海に飛び込みました。?これは命令だ!と言ったらドイツ人は飛び込みました。ブラジル人には、?飛び込むな!と言ったら飛び込みました。日本人には?皆飛び込んだぞ!と言ったら飛び込みました。そして、4人全員が救助されました。」(注:ハワイではこれらのジョークをお互いに笑って済ましてしまいます。目くじらを立てるようでは、多民族社会に生活できません。ハワイに住むとハワイ人になってしまい、自分の民族を客観的に見れるようになるようです。)
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多民族社会ハワイから異文化理解に役立つ情報を発信している スクール ハウス インターナショナルの運営者です。異民族間 結婚の家庭で育つお子さんの生活環境、多民族化がすすむ日本社会 で国際人教育を必要とされている日本の子どもたちの家庭環境を 一日も早く整えるために、自分の体験に基ついて語ります。 ご参考にしていただければ、大変嬉しいです。

<ノブコ タカハシ ムーア>
関東学院女子短期大学英文科卒業後、デンマークのInternational Peoples’ College で 23カ国の学生と共同生活をしながら、国際理解、国際平和を学ぶ。帰国後 民間ユネスコ活動に出会い以来30年間日本社会の国際化の最先端で様々な 国際交流プログラムを企画実施する。1993年3人の子どもたちの学校教育の為 ハワイに移民。同年それまでの体験をまとめた「集まれ!地球の子ども達」を出版。 School House International のホームページはこちら>>