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これから宝箱 財団法人 ソニー教育財団

私たちが子ども達を愛し大切にするように、未来を担う子ども達は社会全体の宝物であり、大切に育てていかなくてはなりません。多くの企業においても、子ども達のための様々な活動が行われていますが、意外に知られていないのが現状です。そこで幼稚園ねっとでは、これら企業の社会活動にスポットをあて、直接訪問しお話を伺い、みなさんへご紹介していきます。 今回のコレカラ宝箱は、半世紀にわたり子ども達への教育支援活動を続けている、ソニー教育財団の常務理事・坂口正信さん、松本紗世子さん、髙木恭子さんにお話を伺いました。

(2008年2月18日 取材/文中敬称略)

Together For Tomorrow - Hobdaの社会活動

―― まずはソニー教育財団の取り組む子ども達への社会活動の概要を教えてください。

坂口さん:ソニー教育財団は、「科学」を通して、子どもの豊かな感性、創造性や主体性、思いやりの心を育てることを基本理念としています。私たちの願いは子ども達が人や自然、ものとの様々なかかわりを通じて、「ふしぎだな」「どうしてだろう?」と感じ、想像し、考えながら、豊かな感性や創造力を育み、夢を持って未来を切り拓く人に育つことです。そうした願いを実現するために、科学に関する学びの場を支援しています。

ソニーは1959年、小学校の理科教育助成を始めました。まもなく中学校が加わり、1972年には財団法人化、2002年には「ソニー幼児教育支援プログラム」として、幼児期の豊かな感性と創造性の育成を願い、幼稚園・保育所などへも活動を展開しています。また2005年には小・中学校の子ども達を対象にした「科学の泉―子ども夢教室」、2007年からは「ものづくり教室」もスタートし、次世代を担う子ども達の豊かな創造性を育むための活動を推進しています。

現在の活動の大きな柱の一つ「ソニー幼児教育支援プログラム」「ソニー子ども科学教育プログラム」においては、学校や園の先生方から、教育実践に関する論文を募集しています。「科学する」ということに焦点を絞り、幼稚園・保育所では豊かな感性と創造性の芽生えを、また小中学校では更に科学の好きな子どもへ育成することを目的に、意欲ある園、学校を表彰し、支援しています。

また、教育の現場の先生方への支援活動も積極的に行っています。現在全国49支部、約1,900名の小中学校の先生方が様々なセミナー、研修会等で活動しています。その他、海外の教育組織と交流し、お互いの研究成果からレベル向上も図っています。

更に2005年から始まった「科学の泉―子ども夢教室」では、小学5年~中学2年の子ども達を対象に、「科学する」場を提供しています。ノーベル化学賞を受賞された白川英樹先生を塾長に、自然とのふれあいや科学を通して、人としてのあり方や学ぶことの楽しさ、すばらしさを感じる活動です。2008年度の募集は、3月上旬頃に、ソニー教育財団のホームページへ掲載いたしますので、興味のある方は是非ご覧ください。

科学する心を育てる~幼稚園教育支援プログラム

松本さん

―― 半世紀近くも科学教育を支援し続けているのですね。企業の子ども達への活動を調べてみると、小中学校を対象とした活動に比べ、「幼児教育」に関しての支援は多くはないように思います。「幼稚園ねっと」として、この「ソニー幼児教育支援プログラム」について詳しく教えていただけますか?

松本さん:幼児教育支援プログラムは就学前の子ども達の健やかな成長を願い、支援活動をしています。幼児期の「どうして?なぜ?」「すごい!ふしぎ!」など素直に感じる心は、豊かな感性と創造性の芽生えを育みます。この子ども達に大切な「科学する心を育てる」実践を論文としてご応募いただき、優れた取り組みに対して助成し、支援活動を行っています。2008年度の募集要項など詳細は、『ソニー幼児教育支援プログラム』の論文募集ページをご参照ください。入賞した園には助成と教育機器を贈呈しています(最優秀プロジェクト園は助成金百万円とソニー製品)。参加賞として応募してくださった園全てに、デジタルスチルカメラをお贈りしていますので、「科学?難しそう」と気構えず、他の園の取り組みと成果を参考に、よりたくさんの園に参加していただきたいと願っています。

今までの取り組みは、当財団の『ソニー幼児教育支援プログラム』ホームページでご覧いただけます。優れた実践の具体的な情報をお伝えすることで、保育者・保護者はもちろん、地域の方や子育てに関心のある方々とのつながりももてるようになってきました。子ども達の魅力的な姿をご紹介しているので、子どもにかかわる全ての方に楽しんでいただきたいと思っています。また、書籍「幼児期に育つ 科学する心」も発刊いたしました。こちらは、ご家庭で保護者の方と育む「科学する心」のヒントもたくさん詰まった本となっています。併せてご覧ください。

論文応募で最優秀プロジェクト園に選ばれた取り組みは、実践発表会で発表していただいています。2008年度は6月を予定しており、また各地で入選園を中心に研究会など、随時実施しております。ホームページでも開催案内や内容をご紹介しておりますので、お近くの方は是非ご参加ください。

■「幼児期に育つ 科学する心」の案内ページ
http://www.sony-ef.or.jp/news/2007/070528.html
■書籍内で紹介されている事例の関連記事をご覧いただけます。
http://www.sony-ef.or.jp/news/2007/070528.html#jirei

科学する心を探ってみませんか?ホームページを活用しよう

―― 私もソニー教育財団さまのホームページを拝見しましたが、情報量の多さにたいへん驚きました。しかしながら「論文」というと少々取っつきにくくて…。

高木さん

高木さん:そうですね。「科学する」子ども達のいきいきとした様子を皆さんにお伝えしたいのですが、どうしても難しく捉えられがちです。そこで論文の紹介の他に、マンガや動画を用いて、気軽に親子で楽しめるような内容も充実させています。

マンガ「そうだったんだ~」の第一回は、4歳児が植木鉢に蒔いた種を見たくて、掘り返してしまったというお話です。子どもの好奇心を叱ったり、そのままにしたりせず、大人が拾い上げ、科学する心の芽生えとして育んであげることの大切さをお伝えする内容となっています。

また「幼児理解」のコーナーでは、子ども一人ひとりの心に沿った事例を取り上げています。子どもの小さな疑問や言葉に、大人が寄り添い、理解し、認めてあげることは、子どもの成長にとても大切です。お子さまの年齢に応じた事例を気軽に読んでみてください。
論文の応募は園や学校からですが、その事例の中には子育てのヒントがたくさん詰まっています。ホームページの中から、特に保護者の方にご覧いただきたい内容を「事例・教材」ページのコンテンツ、「保護者とのかかわり」にまとめました。「科学=勉強」ではなく、親子で一緒になって自然や人、ものと関わり合う中で「科学する」子育てを楽しんでいただければと願っています。

小さい頃から「食」は楽しいという体験を!

髙木さん:そうした保護者の方々へ、今年新たに「科学する心」をみつけよう、というテーマのフォトコンテストを始めました。応募時就学前(6歳以下)のお子さまの保護者の方が対象ですので、「幼稚園ねっと」をご覧の保護者の方々は、是非ご参加いただきたいですね。締め切りが来たる3月31日(月)ですので少々急いでいただかなくてはいけませんが、お子さまの生活や遊びの中での気づき、感動や探求の場面を写真としてご応募ください。詳しくは「フォトコンテスト」ページをご参照ください。

心動かす体験を~創造力・主体性を育てる

―― 最後に、幼稚園ねっとに集まるママパパ、そして子ども達へメッセージをお願いします。

坂口さん:坂口さん:「脳科学と教育」に関して優れた研究をされている小泉英明先生には当プログラムに多大なご協力をいただいています。先生によると、幼児期は脳の中心部、脳幹の部分が発達する時期であり、これが全ての活動の基本になる「意欲」を育むそうです。いわゆる「幼児教育」でいくら脳の外側の部分を鍛えても、脳幹や大脳辺縁系と呼ばれる古い皮質の部分が司る「やる気・意欲」がなければ本末転倒になってしまうのですね。

そしてこの脳の深い部分に働きかけるのが、幼児期における色々な実体験なのです。「科学する心」というと、何か知識を詰め込む、早期教育などのイメージを思い浮かべる方も多いかもしれませんが、そうではなく、自然や普段の生活の中で不思議に思ったり、感動したりしながら、わからないことを自分で解決しようとする創造力の源であり、自然や他者に対する思いやりの心でもあるのです。幼児期にこそ様々な経験をしながら「感じる心」を育み、「科学する心」の芽生えとしていただきたいですね。
そして未来を担う子ども達へ。自分で考え、自分で答を見つけられる力を身につけてください。失敗もたくさんするかもしれませんが、失敗の中から生まれるものの方が多いのです。保護者の方々も、小さい頃からあれこれと指図するばかりではなく、子ども達の挑戦や失敗を、時にはフォローしながら見守ってあげてほしいですね。

松本さん: 応募論文を読んだり、研究会に参加したりすると、「科学する心」によって、子ども達はもちろん、先生や保護者の方々が、子どもと一緒に感動し、不思議を発見し、考え、答を見つけて喜び、とても明るく前向きであることに驚きます。そして、より多くの子ども達、保護者の方々、先生方に「科学する心」の大切さを伝えていきたいと思っています。幼児教育プログラムに関しては6年目であり、まだまだ模索しながらの活動ですので、関心を持ってくださる様々な方からのご意見やご要望をいただき、子ども達のことを一緒に考えていけるような活動にしたいです。ご理解とご支援、よろしくお願いいたします。

髙木さん: 先頃の法改正により、幼稚園など幼児期の教育が「義務教育及びその後の教育のスタート」と位置づけられました。法的にも認められ、幼児期の教育が、子ども達の人間形成の基礎を培う大切なものであると大人がもっと意識していかなければならないと思います。こうした流れも受け、私たちの活動を更に充実させながら、未来を担う子ども達の豊かな心を育む支援活動を続けていきます。幼児期に大切なのは、様々な体験から素直に感じ取り、子ども自身の学びを支え、「意欲」を育てることです。そのために、親子一緒になって楽しむ体験をたくさんして、子育ての喜びにつなげていただけることを願っています。

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