2006年03月01日

第11回 おにごっこ

子どもたちが大好きな遊びの一つに「おにごっこ」があります。

おにごっこの一番初めの形は、「まてまて遊び」などと呼ばれるものです。
まだ、ハイハイの赤ちゃんに、大人も座ったり四つ這いになって、「まてまてまて~」と追いかける振りをすると、赤ちゃんは大喜びで逃げていきます。
捕まえたときには、こちょこちょしたり、もぐもぐ食べる真似をしたりするとさらに大興奮。
また、いかにも捕まえて欲しそうに、振り返り振り返り、逃げたりして、かわいいものです。ハイハイの頃や、ヨチヨチ歩きの頃に、こんな遊びをすると、楽しく自然に運動量が増えるし、何といっても、とても良いスキンシップができるので、ぜひぜひ、やってあげて欲しいなと思います。

2歳頃から、走ることも上手になってくると、ますます子どもは追いかけっこを楽しみます。
よく、園では、「オオカミと子ヤギ(もちろん子ブタでもOK)」「ネコとネズミ」「オバケと子ども」など、簡単な役割を決めて追いかけっこを楽しんでいます。
はじめは、保育者が追いかけ、子どもは逃げるのですが、繰り返すうちに、「ぼくもオオカミやりたいな」という子が出てきたりして、オニ役が複数になっていくこともあります。
追う側、逃げる側、自分の好きな方を選んで、友達や保育者と走り回ることを楽しむのです。

3~4歳頃からは、友だち同士の「おにごっこ」もできるようになってきます。
初めは、もっと大きい子のやるのを見ていたり、真似して走ってみたり、そのうち仲間に入れてもらったりします。
この頃から、おにごっこは、「触られたらオニ」というようなルールのあるものになってきます。
ただ、走り回っていた頃から、ちょっとステップアップしていくのです。ところが、このルールが、すぐに理解できない子もいます。
わかってはいるのだけれど、いざ捕まってみると、どうしてもオニにはなりたくないという子もいます。
つかまった途端に、泣いてしまう子だっています。
みんなで楽しくやっていたおにごっこが、中断してしてしまいます。
逃げ回っていた子どもたちが「どうしたの?」「誰がおになの?」と集まってきます。
泣いている年少クラスの友達を見て、大きい子どもたちは様々な反応をします。
「捕まったら、オニになるんだよ。」と、説明する子。
「泣いたってだめだよ。決まりなんだから。」と、ルールを守らせようとする子。
「小さいんだからさ、しょうがないよ。」と、かばう子。
「これじゃあ、できないよ。さっきの、おには誰?じゃあさ、そこからやろうよ。
小さい子にはタッチしないことにしよう。」と、特別ルールを作ろうとする子。
「○○ちゃん、私の手にさわって。ぽんって、さわって。そうしたら、私がおにだから。ね。はい、さわって。」と、自分が代わってあげようとする子。
・・・・・こうすればいいという、正解はないのです。みんな、それぞれ、素晴らしい。

そして、泣いてしまった子も、それは、とても、良い経験になると思います。
「小さいから」と、許してもらった子は、いつか、自分が大きくなったとき、泣いている小さな子に優しくできる人になれるかもしれない。
どうしてもイヤで、おにごっこの仲間からはずれてしまった子は、少し離れて見てみれば、みんなおにになっても、笑って走っていることに、そのうち気づくでしょう。

私も、保育者になりたての頃は、ルールは守らなければ。自分だけおににならないなんて、わがままな子だなんて、思ったものです。でも、周りの子どもたちの様子を見ていると、そんなにカリカリすることではないんだなと、思えるようになりました。
子どもたちは、案外、臨機応変で、寛大で、遊びは、なるように流れていのです。
泣いていた子も、卒園するまで、ずーっとおにができなくて泣いてるなんてことはなく、友だちを見ながら、どこかでできるようになっていくのです。

たかが「おにごっこ」、されど「おにごっこ」。
子どもたちの心も体も、たくましくしてくれる、なかなか侮れない遊びの一つです。

投稿者 wow : 10:49

2006年01月13日

第10回 子どもとおもちゃ

私は、私立保育園に12年ほど勤めた後、現在は、オリジナルの布おもちゃを作っています。

現役時代も、軍手人形やままごと用のバッグなど、時々作っていたのですが、やはり、日々の保育やその準備に追われる毎日で、プラスαの仕事は、なかなか、はかどらなかったものです。
退職後、時間に余裕ができると、自然と布のおもちゃを次々作っていました。
現在40余のおもちゃをHP「ゆっこせんせいのおもちゃ箱」で紹介しています。
子育て中のお母さん方や、保育の現場にいる方に、気軽に作っていただきたくて、簡単ではありますが、作り方も載せています。

布おもちゃというと、赤ちゃん用という印象があるかもしれません。
確かに私のおもちゃにも、0歳向けのものも多くあります。
でも、発達に応じていろいろな成長段階で楽しめるおもちゃも作っています。

2歳前後からは、ボタンやスナップを使ったおもちゃや、ひも通し遊び(布で作ったリングにひもを通して遊ぶもの)ができるものなどがあります。この時期は、ちょうど指先の機能が発達し始める頃なので、こんな遊びに、子どもたちは夢中
になるのです。

幼児向けのものもあります。
今までのコラムでも、お話してきましたが、友だちとの「ごっこ遊び」が盛んになる時期なので、それを助けるようなおもちゃ・小道具を作ってみました。
エプロン・人形用おんぶひも・人形用お布団・バッグ・お財布・ティアラなどなど。
また、レースやサテンで簡単なスカートも作りました。100円ショップのレースのテーブルクロスやのれんなどを利用して作ると、安くて簡単で、子どもたちも大喜びのお姫様グッズができます。今は、素敵なドレスやなりきりセットみたいなものもおもちゃ屋で販売されていますが、高価なものを買わなくても、お母さんや保育者のアイディアと子どもの豊かな想像力があれば、身近なものでも、十分、遊びは盛り上がると思います。

私が、おもちゃをデザインする時は、まず、子どもの遊ぶ姿を思い浮かべます。
「あの時の遊びに、こんなおもちゃがあったら、もっと盛り上がるだろうな。」
「この時期の子どもだったら、こんな遊びに夢中になるだろうな。」
「こんなおもちゃだったら、繰り返し遊ぶだろうな。」

まず「子ども」がいて、「遊び」があって、それを助ける「おもちゃ」があるのです。私にしてみれば、「おもちゃ」は3番目です。
お店には、カラフルなもの・メロディーやメッセージのでるもの・多機能なもの・キャラクターをあしらったものなど、様々に子どもの目を惹くおもちゃが並んでいます。それが、悪いというわけではありません。ただ、主役は子どもだということ、おもちゃは子どもの遊びを助ける存在であるということは、忘れないでほしいなと思うのです。
「このおもちゃを与えたら喜ぶだろうな。」ということだけなく、「このおもちゃを与えたら、どんな遊びをするだろうか。」ということを、ちょっと考えてみることをお勧めします。
欲しがるからと、華やかなおもちゃをいっぱい与えて、結局、ちっとも遊ばない!なんてことにならないためにも。

投稿者 wow : 17:35

2005年10月19日

第9回 遊び方にみる、子どもの育ち  ~3歳から~

友だちへの関心が出てきて、言葉の数も増えてくる3歳前後から、気の合う「仲良し」のお友だちができ始めます。
2~3人の友だちと一緒になって「ままごと」する姿も見られるようになります。
一緒におままごと道具を並べたり、「お買い物」と称して手をつないで出かけていったり、「お母さんとお父さん」や「お母さんと赤ちゃん」などの簡単な役割もでてきます。

友だちとの仲が深くなっていくと、「イメージの共有」ができるようになっていきます。つまり、目の前に並ぶままごと道具だけでなく、その背景にあるもの、場面設定などのイメージの部分も共有しあい、遊びが膨らんでいきます。
「レストランごっこ」「ピクニックごっこ」「お店屋さんごっこ」「お医者さんごっこ」「幼稚園ごっこ」などのように、場面や役割を決めながら、遊びを勧めていけるようになっていくのです。
また、楽しそうな遊びは、新しい友だちを呼び寄せます。

4~5歳になると、数人の仲間で遊ぶ姿も見られるようになってきます。
アニメの「ポケモンごっこ」をするのだと、それぞれがポケモンになりきっていたり、女の子たちは「行くわよ!」「ええ、わたしが○○するわ」・・・など言葉遣いも普段とはうって変わって、みんなヒロインの顔つきになっていたりします。
「センセイも入って。」と誘われたこともありますが、その番組を知らない私には、とてもついていくことはできない世界でした。そんな私にも子どもたちは根気良く、「センセイはここで××していてね」と次にすることを教えてくれたものです。「ああ、こうやって、友だちとも遊びを作っていくんだなあ」と実感しました。

「○○ちゃんは、こうやってね。」とリーダーシップを発揮する子、「あっ、ねえ、△△っていうのはどう?」と次々にアイディアを出す子、にこにことみんなについていく子・・・・・いろいろな子がいますが、いろいろな子がいてこそ成り立っているのだと思います。

前回から年齢を追って、遊びの様子をお話してきましたが、これはあくまでも流れであり、目安の一つに過ぎないことを付け加えておきます。
5歳になったら、どの子も皆、毎日、数人の仲間と遊ぶというわけではありません。
一人の仲良しの友だちをとても大切にする子もいます。一人でじっくりブロック遊びや工作に取り組みたい時期もあります。
それもまた、大切な気持ちであり時間であるのです。
どうか子どもを一つの型にはめて、一喜一憂することのないようにお願いします。
ゆったりとした流れの中で、それぞれのスピードで、いろいろな力を伸ばしながら、子どもは育っていくのだと思います。
ただ、子どもにとって「遊び」はとても大切なものなのだということ、決して「時間潰し」などではないことを感じていただけたら幸いです。

投稿者 wow : 12:49

2005年08月15日

第8回 遊び方に見る、子どもの育ち~3歳まで~

子どもは、そこに同じ年頃の子どもがいれば、すぐに仲良くなって、一緒にごっこ遊びを始められるというものではありません。
体や言葉の発達と同様に、遊び方も、0歳の頃から、だんだん成長・発達してくるものです。

年齢はあくまでも目安ですが、「ままごと」を例にとって、遊び方に見られる、子どもの発達を追ってみたいと思います。

1歳近くなる頃から、大人の真似をする「見立て遊び」が始まります。大人が、ままごと道具のコップを持って、「ゴクゴク」と飲む振りをしてみせると、子どももコップを持って「ンクンク」と飲む振りをするようになります。
もし、食事の時に、空のコップを差し出したら、「入れてちょうだい!」と身振りで訴える子どもが、遊びの時はうれしそうに空のコップを口へ持っていく・・・。小さいながらも、「遊び」ということを理解している証拠であり、「ままごと」の第一歩を踏み出した瞬間です。
私は、まだまだ赤ちゃんと思っていた子どもの、そんな人間らしい姿・仕草を見ると、本当に感動してしまいます。

「ままごと」は、このように「食べる振り」「飲む振り」から始まりす。
そのうち、「お皿を並べる」「お皿に食べ物を入れる」「どうぞと差し出す」など、お母さんがしてくれていることを、自分もやってみるようになります。「お母さん」という役割を演じるようになるのです。

この頃の「ままごと」は、自分一人であったり、大人対自分で進みます。近くで、同じ年頃の子どもが、同じように「お母さん」を演じていることもありますが、二人が積極的に一緒に遊ぼうとすることは、まだ少ないでしょう。「平行遊び」と呼ばれる時期です。
誰かが、お皿を並べて遊んでいる。おもしろそうだな・・・と、自分も隣でやってみる。保育園などでは、何人もの1~2歳の子どもが、ままごと道具を囲んでいる姿も見られます。でもそれは、「お母さん」「お父さん」「お姉さん」「赤ちゃん」・・・などの役割が決まった「ままごと」ではありません。一人一人が、みんな「お母さん」。それぞれが自分の中の「お母さん」のイメージで遊んでいます。
かと言って、周りの子どもに全くの無関心というわけでもありません。おもしろそうなことは真似してみる。時には一緒になってやってみたい・・・。だから、この時期は、おもちゃの取り合いなどのトラブルがよく起こります。
近くの友達の使っているおもちゃを、すぐに取ろうとする子。大人から見たら、「困った子」に見えるかもしれません。でも、ただ、周囲の友達に関心が強く、「真似したい。一緒に遊んでみたい。」という気持ちを行動に移しただけなのです。まだ、気持ちの伝え方を知らないだけなのですから、「困った子」と決めつけず、「○○ちゃんもやってみたかったんだね。」と気持ちを受け止め、同じようなおもちゃを見せ「ここにも同じのがあるよ。」と知らせたり、「貸してって言ってみようか。」と教えてあげればいいのです。
これも、遊びが発達していく一つの段階と言えるでしょう。

友達と関わりながら、「ままごと」をしようとするのは、3歳前後からでしょうか。
それ以前の子どもは、大人が良い仲介役となってあげれば、一緒に遊ぶこともできますが、それをせず、「ほら、仲良くしなさい。「一緒に遊ばなきゃ、ダメでしょう?」「うちの子、ちっとも友達と遊べない・・・」「いじめられているのかしら・・・」などと、言ったり悩んだりするのは、ちょっと早すぎるような気がします。
その子の遊びは、まだ、その段階にないのですから。

3歳前後の子どもは、自分の周囲の子どもに強い関心を示すようになり、一緒に遊びたいと思うようになってきます。もちろん、個人差は大きいものですが。
続きは、次回に。

投稿者 wow : 11:44