第25回 「言葉の大切さ」

ALOHA! 日本では夏の行事真っ盛りの頃ですね。お盆に、夏祭り、花火大会と。こちらハワイの巷では‘バック ツー スクール’(Back to School)の言葉が飛び交う時季となりました。直訳は‘学校に戻る’つまり、新学期です。

ラジオから子ども達の可愛い声が流れてきました。「‘バック ツー スクール’の言葉を聴いたら何を思いますか」との質問に子ども達が答えている声でした。「早起きしなくちゃいけないこと!」「女の子にやさしくしなくちゃいけないこと!」(勿論これは男の子の声)「お友達に会えること!」「OOOOのお店で学用品を揃えて、一生懸命に勉強してよい子になること!」これは、OOOOの今年のラジオ・コマーシャルの一コマですが、数年前は同じスポンサーで親の心理を良く現したテレビ・コマーシャルをこの時季に流していました。

‘一年でもっとも素晴らしい時季’のクリスマス・ソングをバックに、親がOOOOのお店でショッピング・カートを引きながらルンルン気分で学用品をカートに入れてゆきます。その後ろから、子ども達が口をへの字にしてしぶしぶついて行きます。あの時は思わず笑ってしまいましたが、今年のラジオ・コマーシャルの方が学校を肯定的にあつかっているようですね。でも、本当に長い夏休みの間の子どもの生活プランを立てることは、こちらの親達にとって大変な仕事なのです。(余談ですが、OOOOの学用品はこの時季に大量に仕入れる為か、値段が安くなり親は大助かりです。私もこの時季に文房具を買いだめします。)

以前お知らせした通り、ハワイでは幼稚園の一年間は小学校に付属されています。ですから、日本の年長組み(5、6歳児)は小学校に通います。その前はプレ・スクールと呼ばれ殆どが私立の小規模な施設になり費用もかなりかかります。(一人、一ヶ月4~6万円)共稼ぎ夫婦ですと、片親のパートでの収入がそっくり子どものプレスクール代にとられてしまうと、嘆く親も多いです。それ故、公立小学校の幼稚園に子どもが通うようになると、親は本当に‘ほっと’します。(注:幼稚園に通うようになった子には、‘バック ツー スクール’とは言いません。念のため。)

同じ言葉‘バック ツー スクール’でも、親と子ではだいぶニュアンスの異なった言葉として受け取られますが、この時季ハワイの親子のコミュニケーションで大事な言葉でもあります。

さて、ご存知のように子どもの成長過程で、言葉の発達は大切な成長過程の一つです。でも、その発達速度、発達の仕方、言葉とのかかわり方などは、人それぞれの違いがあります。言葉とは自分の意思を伝え自分の世界を広げる大事な手段であることに気づくと、人はその活用をどんどん広げる楽しみも覚えますよね。

私の長女が生まれた時主人と私の二人だけの家庭に参加した彼女の言語環境は、英語と日本語でした。つまり私たち夫婦の会話は英語と片言の日本語、私が電話で話す音は日本語、ラジオからは英語か日本語の音が流れるという環境でした。彼女は普通の日本人の子ども達が言葉を発する歳になっても、言葉が出てきませんでした。主人は英語で彼女に語りかけ、私は日本語で彼女に語りかけていたので、彼女の頭脳が異なる音から意味を理解するのに時間がかかるのだろうと、気長に待ちました。案の定、二歳過ぎて長女が言葉を発するようになると、彼女は英語と日本語の使い分けをちゃんと知っていました。几帳面でコツコツ・タイプの彼女は、成長と共に言語の才能を着実にのばし、三年前には私の著書「集まれ!地球の子ども達」を英訳しました。

次女が生まれたとき、長女はまだちゃんとした言葉を発せれない状態でしたが、行動力が活発な次女は、英語の音も日本語の音も使い分けをすることもなく、勝手に発しました。一歳前には、ごちょごちょと英語とも日本語とも判断のつかない音を口に出していました。彼女は一人前に、それらの音で自己存在を表現していたつもりのようです。現在でも彼女は日本語会話には不自由しません。一方日本語の読み書きは漢字が苦手な次女ですが、英語でも難しい単語はかなり努力して学んでいるようです。その代わり、表現力の豊かさは大学教授達からも褒められるそうです。

長男は、一歳未満で父親と日本を離れました。出発までの残り少ない日々、私は彼をお風呂に入れながら「はとぽっぽ」の歌を一生懸命歌いました。オーストラリアに行った長男に電話で話しても私の存在がわからず、受話器を通して「はとぽっぽ」の歌を私がうたったら「マミー!マミー!」と彼は叫びました。今でも彼にとって「はとぽっぽ」の歌の響きは、母親と別れた寂しさと母親の温もりが同居して甘酸っぱく彼には聞こえるようです。片言の日本語しか話せない15歳になった現在の彼は、若者の話す英語のスラングを一生懸命私に教えています。

幼稚園児の年齢は外の世界も広がり、言葉も急速に発達する時期ですよね。この年齢のお子様をお持ちのお父様、お母様,お子さん達にたくさんの言葉を伝えてあげて下さいね。児童書、紙芝居、映画、や様々な体験の中から楽しい言葉、嬉しい言葉、美しい言葉をたくさん教えて上げて下さい。お子さんが大きくなったら、そういう言葉がきっとお子さんからあなたに返ってくるはずですからね。
ノブコ タカハシ ムーア

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ハワイの語の母親
以前さまざまな言語で母親を意味する言葉を調べたら「M」の音で始まる言葉が多くありました。ママ、マンマ、マー、マミー、マモン、マム、マザー、ムーチン、ムッター、モアー、メーなど等。ではハワイ語(ポリネシア原住民の言語)ではと調べたら、makuahine(マクアヒネ)とあり、母親やおばの意味になります。つまりmakua 親と女性を意味するwahineが一緒になったようです。母親だけでなくおばも意味することから、多くの女性が母親代わりになって子育てに参加していた様子がうかがえます。そして子どもがもっとも早く発しやすい音‘M’で、やはり始まっていました。
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多民族社会ハワイから異文化理解に役立つ情報を発信している スクール ハウス インターナショナルの運営者です。異民族間 結婚の家庭で育つお子さんの生活環境、多民族化がすすむ日本社会 で国際人教育を必要とされている日本の子どもたちの家庭環境を 一日も早く整えるために、自分の体験に基ついて語ります。 ご参考にしていただければ、大変嬉しいです。

<ノブコ タカハシ ムーア>
関東学院女子短期大学英文科卒業後、デンマークのInternational Peoples’ College で 23カ国の学生と共同生活をしながら、国際理解、国際平和を学ぶ。帰国後 民間ユネスコ活動に出会い以来30年間日本社会の国際化の最先端で様々な 国際交流プログラムを企画実施する。1993年3人の子どもたちの学校教育の為 ハワイに移民。同年それまでの体験をまとめた「集まれ!地球の子ども達」を出版。 School House International のホームページはこちら>>