第21回 「わがままと自己主張」

Aloha! 皆様お元気でしょうか? 新しい年度がはじまり、日本では春たけなわのことでしょう。春の花々が色を競い合えば、すぐに新緑が芽吹き緑に覆われた季節が待っていますね。夏の暑さを予感しながらも、緑を渡る風の心地良さに暫し生きるエネルギィーを施してもらえますよね。

日本のように四季のないこちらハワイですが、微妙に雨季と乾季の季節が分かれます。雨季は11月~3月、乾季は4月~10月ですが、最近は地球温暖化のためか、明確に分けにくくなっております。雨季の期間でも、乾季の期間でも、晴れればちょうど日本の5月の新緑の季節のようなすがすがしさです。萌える緑に、海の青さがコントラストを描くのですから、それは絵葉書のような美しさです。

そんなハワイの美しさを求めて、春休みは大勢のお子様連れの日本人観光客の方々が来られました。最近の日本のお子さんは、はっきりと物を言える子が増えているような気がいたしますが、皆様はいかが思われますか?解らないことは遠慮なく質問されるし、自分の好みも明確に説明されます。これは大変良いことではないでしょか。但し、自分と直接かかわりのないことへの関心度は・・・・、
いかがなものなのでしょうか? ふとそんな疑問が、私の脳裏をかすめます。
つまり、物を見る目が自分中心になり過ぎていないかとの疑問です。

「日本人は自己表現が苦手であり,下手である」と、欧米の知識者の多くから長年に渡って指摘されてきました。日本社会においては、皆と同じであることが社会ルールの前提のような社会風習があるので、人との違いを表現することはかなりの勇気を必要とされます。学校教育においては、個性を認める教育とかスローガンでは言われても、管理教育ではそれを実現することは大変厄介なことなのです。教育のみならず、何においても管理する場合は、統一された基準があった方が、ずーと楽に管理出来ます。そういう管理体制の中で、個性尊重と言っても、熱い油の中でアイスクリーム・天ぷらを揚げるようなものです。

すると、各児の個性を尊重した教育が、学校現場より重要となるのは家庭となりますよね。自己表現は個性に合わせて千差万別ではありますが、お母様、お父様、すでにお気つきのように、幼稚園児になりますとお子さんの自己表現の一つである自己主張が多くなってきます。「いやだ!」「だめ!」「いらない!」「やらない!」「つまらない!」「買って!」「嫌い!」等、どこからこんな風に言葉の使い方を覚えたのかと驚くほど、子どもの自己主張語が極端に増えます。これは成長期において当然起こりうる現象ですが、親も生身の人間です。これらの主張に、やり込められたり、反発したり、感心させられたり、、、、
これも親業のレッスンの一つです。このレッスンは親でないと受けれない、大変ありがたい授業なのですが、要注意点があります。

それは「この授業の主導権を子どもだけに与えてはいけない」ということです。
主張は誰でも出来ます。でも、その主張を受け入れるか否か、その判断は大人がしなくてはなりません。場合によっては、お子さんと話し合いの上、という得策もあるでしょう。 5歳6歳の子どもの主張は、自分の経験や感情に基ずいていますが、やはり生まれて数年後の子どもの判断力と親御さんの判断力では、雲泥の差があります。それ故法律でも,子どもには責任をもたせません。5,6歳どころか、私は時々14歳の我が息子にも、この判断力の幼稚さを知らされ親の責任を再認識させられます。

お子さんだけに主導権をもたせると、それは「わがまま」を増長させてしまいます。自分の主張は何でも受け入れられると思い込み、自己中心的な判断をするようになるからです。今度自分の主張が受け入れられない環境におかれた時、どのように対処するのかわからず、いじめに走ったリ、暴力的になったり、自己嫌悪におちいったり、、、、、、、、と良い結果は生まれません。

お子さんの主張をお互いの話し合いによって受け入れるかどうか決めたり、親の判断を説明して決めたりする時、コミュニケーションの大切さを親子共に学べますし、色々な考え方の違いがあることも学べます。又親が示す様々な具体例によって、小さな頭脳は親の偉大さを学ぶでしょうし、自分の知らない世界があることや他人とのかかわりの大切さも学べます。たとえ主張が受け入れなくとも、そうやって教えてくれる親の存在の有難さを感じるでしょうし、そこに言い尽くせぬ愛情の温かみを解ってくれるはずです。それこそが、本当の個性教育です。大人にとっては実に忍耐のいることであり、聡明で率直な子どもに立ち向かうのですから、それ以上に聡明で寛容な態度も要求されます。ですから、これは親としての大事な試練のレッスンなのです。

さあ、今度お子さんが自己主張を強くしてあなたを困らせた時、これは大切な授業をお子さんが与えてくれていると思って、ありがたくこの授業を受けてみてください。時々お子さんはあなたの愛情を確認したくて、このような手段を使うこともありますよ。そういう時は理論や理屈よりも、態度で示しましょう。

どのようにあなたの愛情をお子さんに示すか解らない方へ:
欧米のような抱擁やキスが生活習慣になくても、お子さんが大事にしていることに関心をもったり、お子さんとの時間を作ったり、あなたが幼い頃に親からしてもらって嬉しかったことをそのままお子さんにして上げたらどうでしょうか。
あなた自身が自己主張の苦手な方なら、お子さんに見習ってこれから自己主張のし方を取得いたしましょう。決して「わがまま」にならないようにね!

ノブコ タカハシ ムーア
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ハワイ語―マカイ対マウカ
ハワイで良く聞く挨拶言葉は、アロハやマハロ(ありがとう)がありますが、
方向を尋ねる言葉としてマカイとマウカがあります。ハワイ語でカイ―Kai
とは海を意味し、ウカ—Ukaとは山を意味します。つまり東西南北の言葉
ではなく、海の方・山の方と表現して方向を示します。ご存知のようにハワイ
諸島は海底火山の噴火によって誕生しているので、どの島にも噴火によって
出来た山があります。昔は山から海へと、パイを切り分けるように、領土を
分配したそうです。そうすれば山の幸も海の幸も各領土平等に収穫出来る
からです。今でも気象情報や道路情報で、日常語として使われていますし、
広いアラモアナ・ショッピング・センターでお店を探す場合も「マウカ側
ですか?マカイ側ですか?」と聞かれます。
日本人にはkai = 海なので覚え安いかも知れませんね。
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多民族社会ハワイから異文化理解に役立つ情報を発信している スクール ハウス インターナショナルの運営者です。異民族間 結婚の家庭で育つお子さんの生活環境、多民族化がすすむ日本社会 で国際人教育を必要とされている日本の子どもたちの家庭環境を 一日も早く整えるために、自分の体験に基ついて語ります。 ご参考にしていただければ、大変嬉しいです。

<ノブコ タカハシ ムーア>
関東学院女子短期大学英文科卒業後、デンマークのInternational Peoples’ College で 23カ国の学生と共同生活をしながら、国際理解、国際平和を学ぶ。帰国後 民間ユネスコ活動に出会い以来30年間日本社会の国際化の最先端で様々な 国際交流プログラムを企画実施する。1993年3人の子どもたちの学校教育の為 ハワイに移民。同年それまでの体験をまとめた「集まれ!地球の子ども達」を出版。 School House International のホームページはこちら>>