幼稚園・園関係者 パート2

 安心で安全な幼稚園(保育園でも同じ)づくりを行おうとするとき、最も効果的な方法が人的防犯力だと申し上げました。そしてこの人的抑止力とは、園関係者の皆様の防犯力のことです。
 幼稚園は犯罪弱者と呼ばれる女性の方々が多く勤める施設であり、さらに最弱者である園児がたくさん生活している施設でもあります。そのような施設にあって本当に安全な施設づくりができるのかと思われるかもしれませんが、安心してください。できるのです。

 子どもや女性、高齢者の方々が犯罪弱者と呼ばれるのは犯罪被害の回避法の知識がまったく備わっておらず、さらに抵抗力や防御力がないにひとしいからなのです。先生がたをふくめた園関係者の皆様が「犯罪被害回避法」を身につけ、さらに「防御・撃退法」を身につければ園児たちを守れます。

 それでは、安全な幼稚園づくりの基本、人的防犯力による安全な園づくりの第一段階、危険察知力を備えるということについて解説します。
 まず、幼稚園で発生している犯罪被害の多くは、無人となった園の職員室や園長室への金品狙いの侵入盗のパターンです。ですから、安全な園づくりを行なううえで侵入盗対策は避けて通れない防犯対策ではありますが、ここでは省略します。何故なら、おそらく多くの関係者の皆様は、とりあえず園児を預かっているときの侵入者による被害対策・防犯方法を知りたがっておられるのではないかと思うからです。もし、いやいや、夜間の侵入盗対策も教えてほしいということであれば、機会をみつけてお話したいとおもいますが、とりあえず、ここでは園児がいる時間帯の安全確保、被害回避法についてお話をしておきます。
 まず、幼稚園の安全確保で最もたいせつなことは、幼稚園の敷地内へ入ってこられる訪問者のチェックがどれほどできているかということです。敷地内へ誰かが入ってきたらすぐにわかるように、また誰かがすぐに対応できるような園のシステムになっているでしょうか?この点を必ずチェックしてください。
 もし、敷地内へ誰かが入ってきても誰も気づかない、見えない、知らないような環境ならかなり問題です。なぜかというと、もし、その訪問者が凶器を持って園児や関係者を殺害しようという凶悪な意思を持った人物だったら、何の抑止力もなく園内や室内に侵入されて凶行を許してしまうことになるからです。それこそ池田小事件のような悲惨なことになってしまいます。

 まず、最初に皆様方が備えなければならない防犯力とは、このように危ない状況や場面を早期に発見・察知することのできる能力です。これを危険察知力といい、専門的には体感レーダー(警察関係者は体感治安と呼んでいます)というものです。
 これは、危ない、おかしい、怪しい、変だ、怖いなどという感覚のことで、例えば幼稚園へ入ってこようとする人を見て、危ない、おかしい、怪しい、変だと感じることができるか、見分けることができるどうかということです。難しいと思われるかもしれませんがそれほど難しいことではありません。どういう人が怪しいか、怖いか、危ないか、変かを知っていればいいのです。しかし、先ほどもいいましたが敷地内へ入ってこようとする人物を、園関係者の誰も見ることができない、わからない、知ることのできないような建物の構造やシステムでは園の防犯の最も基本的な早期発見という防犯力の一つが働かないということになります。
 皆様の園はこのように、敷地内に入ってこようとする人物のチェックができるような構造やシステムになっていますか?と聞いたのは以上のような理由からです。次に、建物内へ入ってこようとする人物はチェックできますか?さらに廊下や室内に入ってこようとする人物の発見やチェックはできますか?これができないようでは全く無力で無防備な園になります。
 
 安全な園づくりで最初に行なうべきことは、園の敷地内へ入ってこようとしている人物を誰かが必ずチェックできる、あるいは発見できる、みることができる構造やシステムになっているかどうかを点検してみてください。そして、発見しづらい、見づらい、わかりづらい場所や箇所があるならばそれらを改善する必要があります。監視カメラをつけるとか人感センサー付アラームをつけるなど、最低限の物理的な補強が必要になります。しかし、これらは物理的防犯ではありません。あくまでも人的防犯力を備えるための補強的措置とお考えください。そして敷地内への訪問者(侵入者)の発見やチェック体制ができれば、次は建物内への訪問者(侵入者)の発見やチェック、そして廊下や室内のドア前などでの発見やチェックが可否の点検を行なってください。
 
 園児を預かっている時間帯での安全な園づくりで最も大事なことは、訪問者の早期発見であるということを知っていただければと思います。そして、発見したら瞬時にその訪問者の安全度を判断する防犯力(危険察知力)を身につけていただかなければなりません。この第一段階の防犯力は、何が危ないのか、おかしいのか、怪しいのか、変なのかということを学ぶことです。
 それでは次回に、何が危ないのか、おかしいのか、怪しいのか、変なのかという判断力を身につけるための要点を解説したいと思います。

 それから話がかわりますが、今「いじめ」が大変世の中を騒がせています。でも、いじめはなくなりません。なぜなくならないのか!どうしたらいじめがなくなるのか、やめさせられるのか、など議論が百出していますが、園児や小学校のいじめは簡単に辞めさせられます。それは「いじめと」はどういうものか、そして、なぜそういうことをしてはいけないのかということなどを誰も教えていないからです。これまで学校では「いじめ」に関する指導や教育はタブー視されてきました。要は見ざる、言わざる、聞かざる、知らざるという卑怯な対応で過ごしてきたからです。
 「いじめ」は「8態」と呼ばれる形態があり、この8態を絵に描いてしっかり教えればいいのです。教育関係者に言いたいものです。幼稚園の先生がたを見ならいなさいと、皆様方の園児に対する対応こそ「いじめ」をやめさせるヒントがあふれていると思います。
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・防犯コンサルタント
・日本防犯診断士協会 常務理事

<中山 天(たかし)>
1948年 熊本県生まれ
1977年 東京出版株式会社 常務取締役就任
1982年 東京出版株式会社 代表取締役就任
1999年 社業のかたわら続けてきた自力防犯・犯罪被害の回避力に 関する研究を実践するために会社を自主閉鎖(2006年5 ~6月には再建の予定)日本防犯診断士協会の設立準備を開始
2003年 特定非営利活動法人 日本防犯診断士協会設立 常務理事就任
総合防犯コンサルタントとして、防犯診断士 (防犯コンサルタント)の指導・育成、著述、各種防犯セミナーの講演 などを主な活動としている。
http://www.bouhanshindan.npo-jp.net