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第1回「うちの子大丈夫?子どもの視力低下」
自身が近視であると特に、我が子の視力は気になります。めがねやコンタクトを装着せねばならない煩わしさを知っているだけに、「何とか、視力を落とさないようにがんばるぞ!」と、決意しているママパパも多いのではないでしょうか?実は私もその一人・・・。子どものちょっとした仕草にも、もしかして視力の低下??と心配です。
そんな「我が子の視力を保ちたい」ママを代表して、子どもの眼について詳しい、千葉県浦安市・かわばた眼科の川端秀仁院長にお話を伺ってきました!
(2007年3月24日 取材・青木 綾/文中敬称略)
取材協力:かわばた眼科(http://www.kawabataganka.com/)
〒279-0012 千葉県浦安市入船4-1-1 新浦安中央ビル3F 
TEL:047-700-6090

視力低下=近視という誤解

―― 「幼稚園ねっと」に訪れる、主に2〜6歳の幼児を持つ親にとって、「子どもの視力」はとても関心のある問題です。「近視」にならない為にはどのような事を注意すべきでしょうか。

川端院長  まずは、視力低下が全て「近視」ではない、ということを理解していただかねばなりません。特に2〜6歳というと、近視よりはむしろ「遠視」が心配です。幼児期の「遠視」については、後ほどまた説明しますが、その他にも、視力低下の原因には、乱視や一般的に仮性近視の原因にもなる調節緊張などが考えられます。

 めがねやコンタクトが煩わしいと思う余りに、近視が悪いもの、と考える人が多いのですが、近視は、少ないピント調節で近くにピントが合い、楽に近くを見ている状態であり、決して悪い眼ではないのですよ。楽に近くを見ることができるが、そのかわり、遠くが見えにくいのが近視です。

 例えば、背の高い人、低い人がいますね。成長ホルモンが出過ぎて、異常に身長が伸びた場合は病気であるけれど、そうでなければ病的ではなく、そのような身体的特徴が、親から遺伝したものと考えられます。同様に、近視、遠視も遺伝的要素が強いものであり、病的ではないものがほとんどです。

 ともあれ、視力が落ちているのでは?と思われるサイン(目を細める、テレビなどに近づいて見るようになるなど)に気づいたら、「近視」と決めつけるのではなく、医師のもとで、適切な眼科検診を受けることが大切です。

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視力の常識、実は非常識?

川端院長  近視=病気、悪いもの、のような考え方の他にも、視力に関しては、いわゆる世間一般で言われている事が誤解であることがいくつかあります。その一つが、仮性近視。近視の度合が弱いものが「仮性近視」であり、強いのが近視、また、仮性近視が悪化すると近視になる、と理解されている人もいらっしゃるかもしれませんが、どちらも間違っています。正しくは、近くを見るときのピント合わせの緊張が、遠方を見る際にも、解除せず残ったために、近視の状態になっているのが仮性近視で、調節の緊張がその原因です。先ほど、近視は「楽に近くを見ている状態」と説明しましたが、反対に、緊張した「楽ではない」状態を維持し、近くにピントを合わせているのが仮性近視であり、近視とは違います。

  仮性近視は、調節麻痺の目薬、生活習慣の改善、トレーニングなど、ピント調節の緊張をほぐすための治療の対象になります。しかし、近視は治療ではなく、日常生活に不都合がある場合、めがねやコンタクトによって矯正するもので、医師としての対応も全く違います。また、めがねをかけると近視の度合いが強くなる、というのも間違いです。めがねは、特に幼少期には、周りにからかわれたりして敬遠されがちですが、近視によって、生活や学習に不便があるようであれば、適切に矯正する必要があります。これから、小・中学校へ進む過程での視力低下では、「近視」の割合が多くなってきますので、是非理解しておいてほしいですね。


幼児期の視力低下は遠視を疑え

―― では、幼児期における、視力低下について、親として最も気をつけるべき「遠視」について教えてください。

川端院長  まず、いわゆる良い眼=正視について説明します。正視は、ピント調節の力を休めた状態で、遠方の視標にピントが合うような眼です。近くを明視するときには、距離に応じたピント合わせの力を使って見ることになります。遠視は、遠方のものを見る際に、遠視度数相応のピント合わせの力を使わないと、明視できないような眼であり、ものを見るのに負担の大きい眼ということになります。遠くの方が、近くのものに比べて、調節の負担が少ないのですが、だからといって必ずしも「遠くがよく見える」のではないのが、またもや世間の常識と違うところです。強度の遠視になると、遠くにも近くにも、ピントが合わない状態になり、どちらも見えにくくなります。幼児期は、実は、近視よりも遠視の割合が多いのです。

 多くの場合、3歳児検診で視力低下が疑われ、精査し、遠視であることがわかる場合が多いのですが、困るのは、弱度や中程度の遠視であり、ここで見逃されてしまう場合です。近視と同様、遠視も病気ではないのですが、遠視により「近くのものにピントが合わない」という状態は、近くのものを見る機会の多い現代社会において、子どもの眼に大変な負担を強いることになります。
  強度の遠視の子はもちろん、3歳児検診にひっかからなかった弱い遠視の子にとっても、近くを緊張して見続けるということは、眼が疲れやすいだけではなく、集中力の低下、落ち着きのなさにつながり、もっと怖いのは、弱視の原因になることもあるのです。ですので、めがねによる矯正が必要かどうか、医師に診断してもらう必要があります。遠視は、近視と違い、成長に従って、弱くなってくる例が多いのも特徴です。

 幼児期の遠視を見つける為に重要な3歳児検診についてですが、多くの自治体で、家庭で簡単な視力検査をしていくように指示されます。日頃の子どもの眼の様子で気になることがなくても、必ず、指示通りの検査をしていくようにしてください。ここで視力低下が見逃されると、次の公的検査「就学時検診」までには3年あります。遠視に関しては、早期発見し、適切な矯正をすることが、幼児期の眼の発達には大切なので、ここで異常に気がつくことはとても重要です。
  もちろん、検診を待たずとも、普段の子どもの様子を観察し、近方の作業を嫌がる、近くでも目を細める、斜めに見るなど、少しでもおかしいと思ったら、是非、眼科医に相談してください。


親の近視は遺伝する?

―― 視力低下=「近視」と思いこみ、何とか近視にならないように・・・と願っていましたが、「近視」という目は、遠視よりは、むしろ現代社会に適合した目であるとも言えるのですね。しかしながら、できれば、めがねやコンタクトのお世話にならず成長して欲しいと、どうしても思ってしまいますが、両親が近視である場合、やはり子どもには遺伝するのでしょうか?

川端院長  近視になる原因はまだ解明されていませんが、顔や体型が親に似るといった意味で、近視になりやすい体質は遺伝すると考えられています。また、親子は生活を共にしている事が多いため、視力が低下しやすい環境も共有しているとも考えられますね。でも、どんなに努力しても、遺伝的要因で必ず視力が低下する、という訳ではありません。先ほど、背の高い人、低い人という話をしましたが、遺伝的に背が高い人でも、栄養状態により、実際の身長の伸びは変化します。同様に、遺伝的に「近視になりやすい体質」であっても、他の要因によって、最大限に悪くなることは避けられるのです。


子どもの眼の健康のために、親ができること

―― 最大限に悪くなることを避けるため、親が気をつけるべき事を教えてください。

川端院長  まずは、姿勢、照明、そして、栄養です。幼児期ですので、机に向かい勉強する機会は少ないかもしれませんが、背筋を伸ばし、椅子に深く腰掛ける姿勢をとる、適度な明るさの照明を用いることは、小さい頃から習慣づけたいですね。そして、鉛筆の持ち方にも要注意です。正しい持ち方をすれば、自然と良い姿勢になりますので、子ども任せにせず、きちんと教えてあげてください。
 あと、これはあまり一般的に言われていない事かもしれませんが、食べ物も健康な眼には重要です。眼球の壁である白目の部分を強くすると言われている食べ物と、反対に眼の健康には、取りすぎは良くないと思われる食品をまとめた表(※左)を参考に、バランスの良い食事作りを心がけてください。

 また、幼児期にはあまり関係ないのかもしれませんが、近年、ゲーム機による子どもの視力低下が多く見られます。同じゲーム機でも、テレビゲームよりは、携帯型ゲームの小さい画面を、手許に引き寄せて熱中する方が、調節緊張を起こしやすく、眼のためにはよくありません。例えば、ゲームは一日30分までと決める、調節緊張による視力低下が認められた場合、一時禁止にするなどの対策も必要になってきます。

参考資料:鉛筆の持ち方&箸の持ち方

眼科医からパパママへ

―― 最後に、幼稚園ねっとに集まるパパママへ、メッセージをお願いします。

川端院長  幼児期というと、ちょうど文字を書いたり、絵を描き始める時期ですが、「文字がうまく書けない」「簡単な絵をまねすることができない」など、気がつくことはないですか?多くは、発達の途上で心配ないのですが、中にはそうした事の原因が、視覚認知の発達に問題がある場合があります。
  「視覚認知」というのは聞き慣れない言葉だと思いますが、簡単に言うと、今見ている対象が何であるかを正しく把握し、その意味を理解することです。人は外界からの情報の多くを、視覚から取り入れており、視覚機能は、学習や手先の作業、日常の全身運動の基盤となります。
  しかし、視力が正常で、よく見えていても、それを理解しなければ意味を持たず、何を扱うべきか、何を行動すべきかわからないという事態に陥ります。幼児期では、視力に異常はないが、絵が描けない、すぐとなりにある文字をまねして書けない、落ち着きがなく集中できないなどの形で発現することもあります。主に、就学期以降に問題となる、ACHD(注意欠陥 多動性障害)、LD(学習障害)も、こうした視覚認知の発達と関係のある場合が少なくありません。
  かわばた眼科のホームページには視覚認知の発達に関するチェックリスト(学習に関連する質問は、就学年齢以上を対象)、また、視覚認知検査の模擬テストの体験ができるページがありますので、これらで気になる結果がでた場合、眼科検診とともに、視覚認知検査を受けることをおすすめします。視覚のメカニズムの異常を、幼児期に気づいてあげることは、そうした子どもにとっては、とても重要です。視力低下と同様に、注意深く、お子さんの様子に気を配っていただければ、と思います。


 週末の午後の診療後、お疲れの様子も見せず、「眼」について、全く無知な私の質問に丁寧に答えてくださった川端先生。常ににこにこと笑顔で説明してくださる、その医師としての真摯な姿勢、これなら、小さな子も安心して診ていただけること間違いなしです!
 我が子も、川端先生に診ていただこう、と決意しながら、マリナーゼの街・新浦安を後にしました。川端先生、お忙しい中、本当にありがとうございました。

第1回―おわり


 
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